前提が違うということ
Nice to read you!
生命の神様を読むときは、いやそれ以外を読むときも!
部屋を明るくして
目の負担を軽くして読んでね!
「う、う……」
頭の足りなそうなうめき声を上げた。真っ暗な空間に僕はいた。
えーと?ここは、というか、うん? さっきまで何をしていたんだっけ? あれ、気を失ってたんだよな、僕。なんで、これは正座をしているじゃないか。いや、そうかきっと僕は気絶していても無意識に正座するほど品があるんだ。この件は解決。
では、あれ? 真っ暗闇じゃない、真っ黒なんだ。だって僕の体は今明確に見えているじゃないか。指をにょろにょろさせてみたら、まぁしっかりと見えること。そうか、暗いわけじゃない、解決。
次は、下半身が動かない。歩けない動けない。おかしいな。拘束なんてされてないのに。薬でも飲んでしまった? 意識がこんなにはっきりして、痛みだってないからそれは違うか。
何で僕はこんなに冷静なんだ? いいやひとまず、ここは
「だーーれかーーーー!」
・
・・
・・・
おいおい、誰も返事をしない。ついでに音が反響することも、帰っても来ない。なんだぁ、ここ。
ピコーン! ここで名案を思い付く。
腕は動く→手を足代わりに歩けばいい(100点)
GJ Me.さてこの英語は合ってるかな?まぁどうでもいいか。
進む、曲がる、進む……。
なんの収穫もないまま腕が疲れ切った(0点)。いよいよ寝る以外ないかと思われ目を閉じた。
パシン! と頭をビンタされる。
「君、何移動しちゃってんの。わざわざ足固定したのにもぅ」
oh why? 某、何か悪いことでもしたのでござるか?
目を開けるとそこには若そうな赤毛の女性がいた。あら、美人。鋼の冷静さを誇っていた心がここでようやく動いたようだった。
「これはどういう趣向」
またパシン! なんだ、しゃべるなと、そう言うのか。僕を見下ろすその美しい顔は無表情、いやこれは退屈そうな感じだ。
「これは面接です。でも安心してください。推薦で来た学校の面接と同じでごみ以外落ちないので」
記憶にないな、僕は面接を受ける予定なんてあったのかな。
赤毛はいつの間にか椅子に座り、いつの間にか分厚い透き通るような緑色の本を持っていた。どっから出てきたあの品々。
「はい、では名前を」
何か始まってしまった。本を読みながら質問してきた。
「僕の名前は、名前? あれ? わかりません。ド忘れしたようです」
自分の名前を忘れるなんて間抜けなこと、なかなかないよなぁ。
女性は本から顔を上げないまま、めんどくさそうに言う。
「いいから名前を。いい? 君は自分の名前を知っています。これぞマイネームと思うものがあるでしょ」
………………いやぁ、ないぞ? でもこれは答えないと進めない予感がする。
「じゃぁ、、、白河夜船です」
「はぁん、なるほど。本名にかすってもないですね。けど今からあなたの名前は白河夜船になりました。よろしく白河、私の名前はトトンクロムです」
どういう理屈で話が進んでいるのか。
「面接は以上です」
早。
え、早。
まだ名前、しかも偽名しか言ってないのに。いや、今日からそれが僕の名前なのか。なら解決だ。
「さいごに、質問はありますか」
「ここはどこですか?」
「面接会場です」
「なぜ真っ黒な空間なのですか」
「そういう場所だからです」
「僕は誰かの推薦でここにいるのですか?」
「同僚のメルセデスの推薦でそこにいます」
「これは何の面接ですか?」
「この私の助手になる面接です」
「あなたとその同僚は何をしている人なのですか?」
「そのうちわかります。さぁ、質問は以上とします」
トトンクロムは本をパタッと閉じて消えてしまった。ふわぁっと。
あ、だめだ全体像が見えない。困ったな。と思っていると180度、いや違う! 360度にぎっっちり本が敷き詰められた大きなホールのようなところに浮かんでいた。さっきまでと違い、白い光と清潔感に溢れ、丁寧に並べられた色とりどりの本が、心をわくわくさせるような、そんな空間。
「これは、図書館だ!」
よく見ると鏡も無数に漂っている。その一つが僕の目の前に来た。極めて無個性な、もういっそ個性的とすら言える姿。そうか、そういえばこんなのが僕だったかもしれん。
その様子を観察していたトトンクロムはこう独り言を言った。
「なんでメルセデスはあんなのを……」




