001. 祝賀祭があるらしい
ヒズリさんに別れを告げた、吾輩とクーリア。
ドラゴンのキューイを仲間に加え、つれづれなる――いや、つれづれならない吾輩の旅は、今までよりもにぎやかになっていた。
今度は道に迷うこともなくイダの森を抜け、草原地帯をひたすら進む。
「キュイ、キューイ」
吾輩の肩辺りの高さで、キューイが飛んでいる。
母親を失った悲しみは消えないだろうけど、彼は強く生きようとしているみたいだ。
「でも、驚いたよね。偶然とはいえ、ラッキーだよ。タイミングよく、城下町でお祭りだなんてさ」
となりを歩くクーリアが言う。
今朝の出立までに、吾輩たちはヒズリさんから、これから向かうガレッツ城下町で祝賀祭が行われることを教えてもらっていた。
何でも、現在の国家元首が今の地位に就いてから、明後日でちょうど三周年になるんだとか。
つまり、そのお祝いとしてのイベントが催されるわけだ。
おそらく城下町は、普段以上に盛り上がっているはず。
そこで暮らしている住民だけではなく、吾輩たちのような旅人も、きっと集まってくるだろうから。
「よかったね、ワガハイくん。おいしいものが、いっぱい食べられるかもしれないよ」
確かに、観光気分で訪れる者を相手に、軽食などを販売する露天商人は多そうだ。
リーズナブルな食べ歩きを、ぞんぶんに楽しめるかもしれない。
吾輩の期待は、どんどんとふくらんでいった。




