第二話
考え方がいつ変わるかなんて分からない。この頃からシングルスよりダブルスの方が楽しみになっていた。
合宿の夜、一人一人試合に対する心構えを言う場面で、自身は「自分がするべきことをちゃんとやっていれば、ししょーが必ず決めてくれる。」と言ったのを覚えている。
腹の底から出た本音だった。
今まで一緒にコートに立っていたからこそ、得る事のできた強い信頼だった。
いつだってあたしは自分しか信じていなかった。
中学のときペアを組んだ子には、ネットの脇に張りついているように指示していた。
そっちさえ抜かれなければ、他に取れないボールはないと考えていた。
一人でダブルスをやっていた。
一人でテニスを楽しんでいた。
たぶん初めて、人を頼ったんだと思う。
引退前最後のダブルスは遠くの会場で行われた。他のペアもそれぞれ自分達の名前のある会場に向かった。
正直、
正直試合以前にその事に緊張していた。二人きりで一日、何を話したらいいのだろうか、と。
でも実際、お互い支度をしてコートに入ったら気にならなくなったのだが。
120%の力を出す練習の仕方はもう知っていた。
「ダブルスで上がる」と誓った日から、この時打つ最後の一球のための練習をしてきていた。
顧問の先生にはどうやら好き嫌いがあって、あたし達は両方とも「お気に入り」ではなかったため、割と放置されていたが、最後にチャンスを下さった。
練習が終わったあと、呼び出してこう伝えられた。
「このシードなら崩せるかもしれない。ここさえ崩せば県(大会)に行ける。お前達に賭けるぞ」
周りの皆は「プレッシャーかけるなぁ」と言った。
彼女はそんなあたしの心配をしているようだった。
「大丈夫。リンなら大丈夫だから」
一回戦を勝ち上がり、二回戦の対戦相手は隣の高校のダブルス1のペアだった。
前に練習試合でうちの2が負けていた。あたし達はダブルス3だったため、基本難しい相手だった。
しかし、顧問の先生はこのペアを倒す前提で話をしていた。シードはこの次だ。コートに、立つ。
この上ない、晴天の日だった。




