喫茶店
やっと騒動が始まる・・・のかな?
宿を出た俺は、最初にこの世界の装備の確認と市場調査を兼ねた店回りをする事にして商業地区に向かう事にした。
(あ!買い物するにはお金が必要だから確認しないと)
そう思って鞄の中を見るとお金が入っている袋があった。
確かこちらで使うお金は支給されるって説明されていたが細かい金額までは聞いていなかった。
まさか道の上でお金を出して強盗やスリに狙われるような事は馬鹿のする事だと思ったので鞄の中で袋の口をちょこっと開けて中を確認した。
(お!金貨があるから取り敢えず何処か喫茶店みたいな所に入るか)
本当なら宿を出る前に部屋で確認するべきだったのだが、朝飯の誘惑と久々の快眠にすっかり忘れていた。
商業地区に向かって歩きながら喫茶店を探していると少し歩いた所にコーヒーカップの看板が掛かった店があった。
(お!この看板はどう見ても喫茶店だよなちょっと覗いてみるか)
「いらしゃいませ」
扉を少し開けて中を覗こうとしたらいきなり元気なお姉さんの声が聞こえた。
そこ声に驚いた俺はそのまま店の中に入ってしまった。
「すいませんがここって喫茶店ですよね?」
「ですよ!喫茶ゲーリックですが?」
「あ!昨日この街に来たのでよく分からなかったので」
「あ!冒険者さんか何かですか?」
「はい。冒険者です。」
「じゃダンジョン攻略の為にいらしたのですね。」
「はい。」
「取り敢えずお好きな席に座って下さい。入り口に居られると他のお客様の邪魔になりますので。」
「あ!すいません。」
そう答えて何気無く後ろを見ると二人組が苦笑いしながら立って居た。
「邪魔してすいませんでした。今入りますので。」
後ろの二人組に謝ってから店の隅の目立たないテーブルに座った。
座るとさっき声をかけて来たお姉さんがメニューを持って来た。
因みにこの世界では水も有料で日本みたいに座って直ぐに水が出る事は無いらしい。
メニューの一番上に果水銅貨1枚と書いてあるから。
(水が100円位かってエールも100円?流石ドワーフが居る世界だエールは水扱いか)
流石に朝からエールを飲めないので(この時間も勤務中なのを少し忘れてたが)果茶銅貨2枚を注文する事にした。
「すいません!果茶をお願いします。」
「はい。果茶ですね。少々お待ちを。」
注文を終えた俺は早速鞄をテーブルの上に置き中のお金の確認をする事にした。
当然鞄の中に入れたままで。
(お!金貨10枚銀貨10枚銅貨5枚・・・あ!昨日5枚使ったっけ11万千円ってところが支給金か結構多いな)
袋のお金を確認して鞄の口を閉めようとして紙に気がついた。
紙には‘不要の支給装備品は売却可能です。またこのお金は返却不要ですが追加は基本有りませんので注意して使って下さい。`と書かれていた。
(返却不要って給料とは別って事か・・・結構太っ腹な会社だな)
もっともこの世界のお金を持って帰れないのを知るのは先の事になるのだが。
紙に書いてあった不要の装備品が気になって鞄の中を見るとプレートがいくつかあるのを見つけた。
プレートには盾と剣、斧、弓、短剣のえが描かれていた。
(これが不要の支給装備品かな?後で使い方とか聞いておかないとまずいか)
そんな事を考えていたら店の外が騒がしくなっているのに気がついた。
次話ではまだ無双はしませんがそこそこ強い場面がある予定です。読んでくれた皆さん有難う御座いました。