闘技場
遠近法って面白いですよね。
ギルドを出て教えて貰った建物を目指して歩き始めた。
目指す建物はドーム状になった大きな建物でお椀をかぶせたようにつなぎ目のない石に見える物で出来ていた。
(100人近い魔術師や魔法使い達が協力して作ったらしいけどここから見たら一つの岩に見えるな)
「でもあんなに小さくって大会何て開けるのかな?」
距離の感覚がくるってることに気が付かない俺はさっきの説明で30分程歩くって言われたことをすっかり忘れて歩き出した。
30分って異世界の住人が歩いた場合だったのだろうか、しっかりと1時間かかりドームの前で唖然とした見上げていた。
デカい!兎に角でかい!東京ドーム程は有るだろうか?完全にお上りさん状態の俺は口を開けたまま良く見えないドームの天辺に目を向けていた。
「どうなされましたか?」
不意に声を掛けられて振り向くと猫耳をぴくぴくさせた中年の男性が立って居た。
まるで何処かの貴族様みたいな雰囲気を持ち服装もかなり上物らしく俺が見ても高級品だとわかる程だ。
手にはステッキを持ち後ろには3人の獣人達を従えていた。うち2人はメイド服を着ていて残りの1人は軽鎧を着け腰に剣を刺していた。
「あ!他所から来たので建物の大きさに驚いていたところです」
「そうなのですか?中は見られましたかな?」
「いえまだですが?」
「多分中はもっと驚かれますよ!」
「中はもっとすごいんですか?楽しみですね。」
「入口はあの小屋です。中に係の者がいますので詳しくはその者に聞いて下さい」
「ご親切に有り難う御座います。では失礼します。」
「十分に楽しんで帰って下さい。では」
そう軽く会釈をして俺が来た方に歩き出した。一寸先には何だか紋章が入った馬車(引いているのは小型の恐竜みたいな生き物だが)が入口を開けて止まっていた。
(ふ~ん何処かのお偉いさんみたいだな)
そんな感想を持ちながら教えて貰ったドーム入口があると言う小屋に向かった。
その小屋はドームとは違い丸太小屋の様に木で出来ており入口のドアは山小屋のそれに良く似ていた。
‘エリンエフ第1闘技場観客入場入口’と書かれたドアを俺はノックしてみた。
「はい?開いてますからどうぞお入りください。」
中から落ち着いた女性の声が聞こえて来た。
「失礼します。ギルドから紹介されて来たのですが?」
「え?今大会は開催されていませんが?」
「いえ!魔法のテストに闘技場をお借りしたのです。」
「あ!魔術師ですか?なら練習場はもっと手前の建物ですよ。」
「魔導士なのですが?」
「え?・・・・失礼しました魔導士様でしたか。でしたら選手入口からお願いします。ここは客席入口なので。」
「選手入口って何処ですか?」
「隣にある丸い柱が入口になっています。触っていただければ入れますが魔力が基準値に達していないと反応しませんのでその時は練習場でお願いします。」
「わかりました。取り敢えず触ってみます。ところで使用料はいくらですか?」
「ここは国営なので料金は掛かりません。あ!練習場はギルドの所有なので多少お金が必要ですが。」
「はい。練習場の料金の事は聞いてます。では、行ってみます。」
そう言って挨拶をしてから小屋を出て隣に立って居る直径1m高さ2mの柱に触れてみた。
その途端全身が光に包まれ何処か他の場所に移動する感覚に包まれた。
読んでくれた方々本当に有り難う御座いました。まだ触り部分で詰まらないかもしれませんがこれから面白くなります(多分)