ギルドで登録
やっとギルドまで来ました。PTと会うのはまだ少し先です。
宿を出たら正面は半円のような広場になっていて真ん中噴水が吹いていた。
噴水の池の真ん中にグリホンに乗る青年の像があり剣を掲げるポーズをとっていた。
「お~何だかローマか何処かヨーロッパみたいな雰囲気がする場所だな」
周りを見渡しながらそう呟き4段ほどあった階段をおりた。
結構賑やかで行きかう人も地方都市位は居たが人種達はあきらかに違っていた。
コスプレかと思うような猫耳や犬耳を着けたような獣人達やトカゲの様な皮膚に大きな尻尾を持った竜人に身長は小学生位なのに顔面髭だらけのドワーフ達が和やかに通行していた。
(う~ん奴隷とかは居ないのかな?首輪とかしてる人は見えないけど?)
「え~とギルドは隣って言ってたっけ?」
そう言いながら右隣りを見るとそこには剣と盾の看板がありギルドリュノース支店と書いてあった。
「そう言えばこの街の名前を聞いていなかったがリュノースって言うのか」
ギルドの入り口は昔の西部劇に出てくるような真ん中にドアが有って上下とも中が見える様になっていた。
その扉を開けて中に入ると正面には受付のカウンターが有り、右手側には飲み屋のようなテーブルとカウンター在った。
飲み屋の方のテーブルには朝だというのに6人ほどが1つのテーブルに座って陶器の様なもので出来ているグラスで多分酒だと思われるものを飲んでいた。
俺は練習場を借りる為の手続きをするために受付カウンターに向かった。
カウンターには受付の人が2人いて普通の人間の男女だった。
男性の方は書類をのぞき込んでいて忙しそうなので女性の前に立った
「すいません!ギルドの登録をしたいのですが?」
「お疲れ様です。ギルドの登録ですね。ではこちらの魔法石にお触り下さい。」
と言いながらカウンターに直径10cm位の丸い透明の石を出した。
(まるで占いか何かに使う水晶の玉の様だ)そう思いながら魔法石に触れた。
「ルロドースさん・・・魔導士様ですか・・・上級魔法及び回復に・・・支援魔法まで!」
驚きに言葉が付いて行かない様な感じで独り言を言いながら書類に記入していた。
「登録の方は完了しました。魔導士様なので登録料はギルド持ちになります。」
「え?只なのですか?」
「はい!魔術師までは銀貨1枚ですが、魔導士様は別格なので登録して戴ければ支部のランクが上がりますので。」
「そう言う者なのですか?」
「リュノースでは魔導士様として登録されたのは貴方様が初めてです!」
そんな言葉に周りの視線が集まってる気がして飲み屋の方を見た。
さっきまで酒盛り中だった6人が、固まった様にグラスを持ったままこちらを見ていた。
{魔導士様だって・・・あの若さでか?・・・エルフか?・・・魔法で若返ってるとか・・・}
そんな6人の会話が聞こえて来た。
よっぽど魔導士は珍しいと見えて酒盛りが再開されるまで結構な時間が掛かっていた。
「あの~練習場を借りたいのですが?」
「え?練習場ですか?あ!新しい魔法のテストですね!」
「え!ま~あそんなところです」
まさか魔法を一度も使った事が無いから練習したいとは言えずに曖昧な返事をして誤魔化した。
「では上級魔法にも耐えられる闘技場をお使いください。」
「闘技場ですか?」
「はい!毎年行われる大会に使われる場所なので、最上級魔法まで対応可能ですが現在は上級魔法までとなっていますのでそこのところはどうか宜しくお願い致します。」
「はい!分かりました。で場所はどこですか?」
「あ!場所を教える前にギルドカードを渡さないと」
そう言ってカウンター奥にあるドアを開け中に入っていった。
暫くして女性が戻ってくると手にお盆の様な物を持ちその上にはカードサイズの白い板が乗っていた。
石でも木でも革でも無い不思議な素材でできたそれには何も書かれてはいない。
俺が不思議そうにそれを見ていると受付嬢はにこやかに
「これはギルドや施設等に有る魔道具に重ねないと内容は見えません。それに本人以外が持ったら表示されなくなりますので悪用もできません。」
「あ!魔道具には必ずご自身で重ねて下さいね。」
などの説明を受けた後に闘技場の場所を教えて貰いギルドを出て向かった。
普通は魔術師で十分なので魔導士まで進むのはエルフのような長寿な種族位なので人間では数人しか存在していない。因みにそのうちの5人は派遣社員です。