ゴブリン退治の終わり
まるで夢のようだった。ゴブリンロードの鼓膜をやぶるかのような大きな断末魔に普通のゴブリンは逃げ出した。唖然とした、なにが起こったのかわからない村人も理解が追いつくと笑顔でラインハルトを称えた。
多数のゴブリンを使役するゴブリンロードの討伐難易度B。Eランク冒険者のラインハルトは本来ならば相手にならないはずだ。いつのまに自分はこんなに強くなったのか自分でも不思議だった。
ゴブリンロードを叩き殺した鉄の剣の刃こぼれが酷い。もう戦うことはできないだろう。ゴブリンロードの死体をもらった。これを冒険者ギルドに持って行けば討伐代金が国から出るのと、素材としてギルドが買い取ってくれる。例えば血は魔物避けになるし、牙は武器に使える。肉は食用で食いたくはないが魔法使いなんかが魔力を高めるために食うらしい。
万歳、万歳という村人の声を背に、ラインハルトはゴブリンロードの遺体を村人からもらった台車に乗せて冒険者ギルドに向かった。疲れから途中でうとうとしてしまい仮眠を取るとゴブリンロードの遺体はなくなっていた。討伐として出さなくてもその遺体の価値は高い。
信じられない僥倖でゴブリンロードと言う難敵を倒した後のオチが実に自分らしいとラインハルトは思った。仕方がないから、薬草を探し摘みながら冒険者ギルドに戻った。すでにゴブリンロード討伐の情報が入っていたのか、珍しく受付嬢が顔を赤らめ興奮した顔つきでこちらを待っていた。こんな田舎町にゴブリンロードの遺体はまず入ってこない。めったにない大きな仕事に自分より年上の女性が少女のように目を輝かせて待っている、遺体がないことを伝えるのに罪悪感を持ちながらラインハルトは説明した。
ゴブリンロードの遺体を盗まれたと言う話をすると最初、遺体の横流しを疑われたが遺体が無ければ国からの討伐代金がでない。それを考えると討伐代金と素材代金の両手(両方から貰うこと)の方が横流しより儲かる事からラインハルトの潔白か、またはだれか権力者に脅されて無理矢理安値で売らされたか、冒険者ギルドとしてはこれ以上、追求はできないようであった。
ラインハルトは新しい依頼を受けると安宿に戻って、汗を流した。討伐代金は入らず、ゴブリン牽制の代金だけが入ったから懐は相変わらず寂しい。しかし、安酒を飲む程度には暖かい。さっぱりしたあと居酒屋に向かい、腹を満たすと歯を磨いて寝るのであった。
明日はまた、薬草摘みだ。
ゴブリンロードを食べました。ステータスが変わります。
状態・異常、寄生
HP70→120
MP20→150
力20→60
守12→50
スキル
火の息、自動回復中