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ゴブリン退治1話

ラインハルトは町に戻ると冒険者ギルドに向かった。ラインハルト以外が薬草を取りに来るというのは非常に珍しいことであった。依頼が出ているのかもしれない。モンスター倒し、薬草の依頼は冒険者ギルドに出される。薬草は販売店で買えばいい、大量にか、それとも特殊な薬草なのか、儲けの匂いがする。


冒険者ギルドは普通の一軒家を少し大きくしたと言った小柄なものだ。一度見た都会にある冒険者ギルドの10分の1の規模くらいだろう。それぐらい田舎に冒険者はいないしラインハル自身きたのは半年ぶりくらいだった。ドアを開けると若作りした女の店員がラインハルトに声をかけてくる。半年ぶりに来ても顔を覚えられている、それぐらい冒険者はいないのだ。都会にある本部の援助金がなければ維持することはできないと思う。

「いらっしゃい。珍しいわね」

「ああ、薬草関係の依頼は出てないかと思ってね」

「残念、ないわよ」

予想が外れ、がっかりしたラインハルトに受付嬢は続ける。

「でもおいしい仕事はあるわよ。おすすめ」

「おいしい仕事?」

「ゴブリンが出たのよ」

ゴブリン。小柄で力はないが魔物のくせに知恵があり集団で人間の街を襲う傾向がある。

「冗談だろ。ゴブリン退治のどこが美味しい仕事なんだよ」

薬草採取の途中でゴブリンにあうが戦闘にはならない。自然界での怪我はそのまま命に直結する、腕を怪我をしているときにほかの魔物に襲われたら?ゴブリンは頭がいい、そんなリスクは負わない。剣を構え臨戦態勢をとるとゴブリンは自然と逃げていくのだ。そんな知恵があるゴブリンが町を襲うということは繁殖期に入って人間の女を襲いたくなったか、何らかの理由がある時だ。死に物狂いでくる魔物と戦うのはリスクが高すぎる。

「大丈夫、大丈夫。退治じゃなくて避難の誘導。退治はほかの冒険者がするわ」

「それならいいな。報酬は?」

額を聞くと思ったより報酬がいい。推定のゴブリンの数も少ないし、地理の知識もある隣町。

「わかった。引き受けるよ」

「毎度ー」

引き受けた理由の一つはエリートのCランク冒険者が派遣されるそうだ。その姿を見たかった。

自分は才能なく、一度Dランクまで上がったが返上しEランクの冒険者だ。30歳を超えて自分ではまだまだと思っていたが鏡は嘘をつかない。鼻毛に白いものが増えた、白髪はまだだが髪が薄くなってきた、傷の治りが遅くなってきた。体力の衰えを認めないわけにはいかない。


冒険者は馬鹿がなるものだと思う。頭のいい奴は商人になるラインハルトと同じ40歳に近くなったころには結婚していて、子供がいる。部下を持ち頭を使って金を稼ぐ。しかし輝かしかった、子供の頃、ラインハルトが見た冒険者の姿。その姿を追い求め、いや、それだけを心の支えに自分はまだ冒険者を続けているのかもしれない。金がない体力の衰えた老後はどう生活していけばいいのか。冒険者を選ばず、もっと、その考えを心の奥底に無理やり叩き込みラインハルトは隣町に向かうことにした。貸し切りの安宿の一室に戻り、無理やり寝る。明日は早い、朝一に出発しなければ明るいうちに隣町につかない。


隣町に着くとすでに襲われた後のようで建物のいくつかに痛みが見られる。

数匹のゴブリンの死体が広場に転がっている。遅かったか、そう思いながらCランク冒険者集団ラビットアイのリーダであるアルスに挨拶する。20代前半の人間の人生の中で最も体力が充実する時間をいきる彼は文字通り光輝いて見えた。

アルスの話では数日襲われており、都度撃退しているので避難の必要はないかもというものだった。Cランク冒険者の前にはゴブリンの集団も敵ではないということのようだ。ラビットアイのメンバーは戦士6人、うち二人は弓矢を使える。

若くて有能だが経験不足だと思いラインハルトは言った。

「逃げたほうがいい、全滅するぞ」

ラインハルトの言葉にアルスは顔色を変える。

「なぜですか?」

「なぜなら、ゴブリンの襲撃が様子見だからだ。こちらの戦力差を調べるために、それにこちらに増援があるかも見ている。これは対等の者の行動ではない。率いるやつが、ボブゴブリン、ひょっとしたらもっと上級の魔物がいる」

「偵察?」

「ああ、気づかないのか?襲ってくるなら全力で襲ってくる。1回目の襲撃でこちらの戦力はわかったはずだ。にもかかわらず失敗したのに同数程度で再び襲ってきている。ゴブリンはそんなに馬鹿じゃない」

アルスは仲間たちのほうを向く。目線だけでそんなことがあるのか仲間内で会話する。

「そこまでは考えつきませんでした。よほどのご経験があるものと思いましたがこれまでどれくらいゴブリンと倒されてきたのですか?」

「ない。しかし、対峙することは何度もあり知識を蓄えてきた」

そういうなり、笑い声が聞こえてくる。

「そりゃあそうだ。Eランク程度にゴブリンを倒せるはずがない」

「ボブゴブリン程度なら何度か倒したことがある、来ても問題はない」

嘲笑の渦に、ラインハルトは答えた。

「わかった。退治はそちらにお願いする。俺は襲われたときに村人を避難させる」

反論はいくらでもできた。しかし能力が低い自分にゴブリンは倒せない。

その事実は変わらないのだ。ここで無駄なおしゃべりをする前に逃走ルートを確保しなければならない。

ちょうどゴブリンを引き付けるエサは目の前にいて、しかも自らゴブリンの相手をしてエサになってくれるというのだ。ちょうどいいエサになってもらおう。

先ほどは驚かせて、変に警戒されたら困ると思い、いわなかったが、ここまでゴブリンを統率できるのがボブゴブリン程度なはずがないゴブリンロード、または考えにくいことだがそこまで知恵の回るとは思えないが戦闘に特化したゴブリンジュネラルかもしれない。それなら冒険者では足らない、城の兵士に来てもらうしかないのだ。これはもうゴブリンの街を襲われているというレベルではない。ゴブリンと人間の戦争なのだ。

ラインハルトのステータスレベル12

状態・異常、寄生


HP65

MP20

力15

守8


スキル

火の息、自動回復低

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