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年の差ツインソウル7

何だか毎日目紛しく変化していくなと感じる双葉。


三津谷の店で働き始め、別居の話しも決まり、アパートを探している。


(夫から養育費を貰うし、家賃は少しぐらい高くても…ああ、ダメダメ若葉の為にお金を貯めなくちゃ)


娘と2人で暮らせるなら、どんな部屋でも良い。


もう、あの夫の暴力も、地獄の夜も無いんだ…


と思った。


(そうよ、もう冷凍マグロのように凍りつかなくて良いんだ)


【居酒屋】


「別居決まったな」


「そうなのよ」


「そんなに嫌なら、何で結婚したのよ」


最初は良く見えたのだ。


会社では勿論暴力も振るわなかった。


あの過去世の主人も、一見良さそうに見えた。


(同じだ…まるで同じ、あの人の魂、まるで成長してない)


「別居の次は、離婚するつもり?」


「まだわかんないわよ」


(わかんない?するんでしょう、離婚…まあ、友美にはわからないって言っておこう。また何言われるか…)


配偶者暴力相談支援センターを紹介されてから、状況が目紛しくかわるので、明日はどうなっているのか自分にもわからない。


「俺に出来る事が有ったらするからな」


「ありがとう三津谷」


「ほっとけば良いのよ。双葉の我がままで別居するんだから」


(何とでも言って、あの地獄の日々から開放されるんだから、私)



そして、双葉がトイレに行っている間に、こんな会話がされていた。


「三津谷まさか、まだ双葉の事好きだったりしないわよね」


「うーん」


「やめときなさいよ、あんた奥さん居るんだし」


「わかってるけど」


「大学の時、双葉の事好きだったのは知ってるわよ」


「知らないのは、本人だけだ」


「男って、友達から伝わるとか思ってない?そうはいかないわよ」


そう、大学の時、三津谷が双葉の事を好きなのは皆んな知っていた。


知らないのは鈍感な双葉だけ。


人の良い三津谷には、一見仲が良さそうに見えて、実は意地悪な友達の事が未だに理解し切れていなかった。


「なーに話してたの?」


「ううん、別に」


理解してないのは、双葉も同じ。


どんなに意地悪言われても、親友だと思っている。


【隣町】


若葉の学校も有るし、そう遠くに引っ越すわけにもいかない。


かと言って、夫が住んでいるあの駅は嫌。


それで、隣町にアパートを見つけた。


【双葉のアパート】


(今日から若葉と2人だけで暮らせるのよー)


もう、コラーゲンを買い込むのも、若く見える服を買うのもやめた。


宏二と会うのはどうしよう?


ここに来させるわけにもいかないし…


やっぱり彼のアパートに行くしかないと思った。


夫や姑に見つからないように…


何より若葉の友達や、父兄にだけは見つかってはいけないと思った。



【宏二のアパート】


双葉は忘れていた。


この人の存在を。


宏二の彼女である。


鍵を開けて部屋に入ると…


「宏二?」


「あっ」


「誰ですか?宏二のお母さん?」


「違います」


やっぱりお母さんに見えるのだろうか?


わかってはいてもショックだった。


そんな事より、とうとう会ってしまった。


宏二の彼女と…


(これから修羅場?)


と思っていたら、宏二は中々帰って来ないし、話してみると意外と良い子だった。


(考えてみたら、この子可愛そう…彼がこんなオバサンと浮気してるんだもん…浮気?どっちが本気よ?そりゃ付き合ったのは私の方が後だけど…)


何とも複雑な気持ちになった。


(やっぱりこの子と結婚するのが普通よね…結婚?宏二君が?)


いずれ誰かと結婚するのだろうか?


そう思うと、やはり切なくなった。


だからって、自分と結婚してくれるとも思えないし、それに結婚生活は夫で懲りていた。



それでも離婚したいと思ったのは宏二が居たから。


(私…どうしたいんだろう?宏二君と結婚したいのかな?)


ツインソウルが結婚するかしないか、それは課題によって決められている。


全てのツインソウルが同じ課題とは限らない。


結婚して離婚するツインソウルも居る。


ツインソウルと巡り合っていても浮気をする人も居る。


その日、結局宏二とは合わないで帰った。


【双葉のアパート】


(ああ、どうしよう…宏二君の彼女…もっと嫌な子なら、早く別れちゃいなさい、って言えるのに)


だいたい、自分が宏二と結婚しても、子供を産んであげられるかわからないと思った。


いや、40才で産む人も居る。


と、思ったりもした。


(やっぱり無理なのよ…いつかちゃんと若い女の子と結婚させてあげなくちゃ)


そう思うと涙が出て来た。


どんな辛い事も笑い飛ばして来た双葉でも、ツインソウルは涙が出る。


(もう、何で泣くのよ!私らしくないな!)


若葉が帰って来る。


泣いてなんかいられない。


宏二がいつか結婚するなら、その時はその時だ。


たとえそれが自分じゃなくても、宏二が幸せになるなら…


(ああ、もうダメ。今は考えない事にしよう。本当にツインソウルって、どうして涙が出るんだろう、もう!)



弁護士が入っても、夫は中々離婚に応じなかった。


離婚するのは大変なエネルギーが要る。


姑が電話で泣くのが辛かった。


「離婚しても、若葉のお婆ちゃんなんだから」


「会っても良いのかね?」


「勿論よ」


もう少ししたら、姑と同居しても良いと思っていたのに…


あのお母さん、夫が再婚でもして、キツイお嫁さんなら虐められるのではないか?


そんな心配をする双葉であった。


(まだ離婚もしてないのに、心配してもしょうがないか)


そんな事より…


【宏二のアパート】


宏二は相変わらず三津谷や店の客にヤキモチを妬き崩壊する。


夫と結婚して子供を産んだ事が耐えられないと双葉を拒絶するようになった。


「俺のなのに、何であんな奴と」


(そんな事言ったって、過去は変えられないんだから、しょうがないじゃないよ)


「プロポーズされた時どんな気持ちだった?ウエディングドレス着た時は?旦那の子供妊娠した時は、どんな気持ちだったんだよ!」


どんな甘い新婚生活だったのか?


あの男の下着を洗濯したのか?


ご飯を作って帰りを待っていた時は、どんなだったのか?


男物の下着を買う女性を見ると、双葉もこんなふうに、夫の下着を買っていたのだろうか?


と思う宏二。


考えれば考えるほど、宏二は苦しくなるのだった。


ツインソウルの拒絶。


2人は拒絶の時期に入った。



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