年の差ツインソウル6
【サロンの奥の部屋】
ヒプノセラピーを受ける決心をした双葉。
「目を閉じてゆっくり呼吸をしてください。
そして双葉は、誘導されてヒプノに入って行った。
幼い頃…母親のお腹の中…と遡った。
それから…
「その扉を入ると、何が見えましたか?」
「闘技場かな?」
「自分の足元を見てください。何か履いていますか?それとも裸足ですか?」
「裸足」
「どんな物を着ていますか?」
「チュニックって言うの?」
「自分の名前がわかりますか?文字が浮かんで来るかも知れません」
「うーん…わからない」
「あなたの他に誰か居ますか?」
「ご主人様」
(え?この人、今の夫?!奴隷と主人の関係なの?暴力を振るわれてる。今と同じじゃない)
色々な場面を見ていった。
「闘技場の中…戦ってるのは…奴隷」
(この人、宏二君だ。愛し合ってた…ツインソウル?)
そして…
「彼が戦いで死んだ」
(涙が止まらない。宏二君よ。奴隷同士の戦いで死んだのよ)
「では、その人生の最後の場面を見てください」
そう言われて、最後の場面に行くと、主人が襲いかかる。
(この人、今と全く同じ、全然変わってない)
そして、鞭で打たれて死んだ。
ヒプノセラピーが終わった。
【セッションルーム】
「主人とは、過去世で奴隷と主人の関係。宏二君とは、ツインソウルみたいです」
「こればっかりは、自分にしかわからないんです。過去世との繋がりを見てはっきりとそう感じたなら、ツインソウルかも知れませんね」
「普通の関係とは思えませんでした」
「脅かすわけじゃないですけど、ツインソウルの再会となると、覚悟しておいた方が良いですね」
(何を覚悟するんだろう?18才も年下の男の子と恋しちゃって、不倫よ。この私が…考えられないわよね)
これ以上何の覚悟をする必要が有るのだろうか?
他の相手なら有り得ないと双葉は思った。
宏二だから、なるようになったのではないか?
でも何故?
それはツインソウルだから。
それなら納得がいく。
【三枝家】
家に帰った双葉。
落ち着いて考えると、大変なものを見てしまった気がした。
過去世で宏二と一緒だった。
そして、あの夫は、過去世でもあのままの人で、主人と奴隷の関係。
夜になると、部屋に来て襲いかかるし、暴力を振るう。
「ああ、嫌だ」
今日も夫が帰って来ると思うと、ゾッとした。
そして夜…
【寝室】
双葉がベッドに入ると、酔った夫がいつものように激しく求めて来た。
(あー、嫌!もう、触らないで!)
「ちょっと、やめてよ」
「冷凍マグロのくせに、文句言うな」
今日だけは、いつもより激しく抵抗する双葉。
抵抗すればするほど暴力を振るう夫。
(ああ、もうどうにでもなれ!早く終わって)
そして、冷凍マグロのように大人しく凍りついた。
【バスルーム】
シャワーを浴びながら考える双葉。
身体は夫に殴られてアザだらけ。
暴力も嫌だけど、冷凍マグロになるのも嫌。
(離婚…したい)
若葉の為に今日まで我慢してきたけど…
もうたえられない。
【若葉の部屋】
「まだゲームしてるの?」
「だって、まだ眠くないんだもん」
「またお父さんに殴られたの?」
「え?何で?」
「顔、アザになってるよ。明日病院行きなよ」
「大丈夫よ」
「大丈夫じゃないよ。顔だけじゃないでしょう」
「もう、良いから寝なさい」
双葉が部屋を出ようとした時…
「お母さん。離婚したら?」
「えーっ?!」
(若葉が大人になるまで我慢するつもりでいたのに、何よ)
「私の為に我慢とかって、やめてよね」
「若葉…」
「そんなの全然私の為じゃないから」
【寝室】
イビキをかいて寝ている夫の姿。
(今日は、あっちの部屋で寝よう)
「痛っ」
【洗面所】
鏡を見ると、目の辺りが青く腫れ上がっている。
「うわー…これ、どうする?」
(顔じゃ、湿布も出来ないわよ)
翌朝起きると、まだ顔が腫れていた。
仕方がないので、若葉の言う通り病院に行く事にした。
【病院】
治療を終えると、配偶者暴力相談支援センターを紹介された。
「同意しますか」
色々説明されたけど、どうしたら良いか悩む双葉。
同意するかと聞かれ「はい」と言ってしまった。
「では、こちらから連絡しておきます」
「はい、宜しくお願いします」
それから、カウンセリングを受けたり色々で、双葉の戸惑いをよそに、周りはどんどん動いて行った。
まずは別居という事になり…
(若葉だけは、絶対に渡さないんだから…お金もいるわね…)
【居酒屋】
「えー?別居するの?若葉ちゃんはどうするのよ。ちゃんと考えてる?」
友美に言われなくても、若葉の事はちゃんと考えてるわい、と思った。
「旦那と別れて、若い男と付き合おうとか思ってない?」
友美には宏二と続いている事は言ってなかった。
「まだ会ってるの?例の大学生」
(話題変えよう)
「ねえ三津谷。私バイトさせてよ」
「良いよ」
(あら、簡単)
とりあえず三津谷の店で働く事にした。
(なるようになる)
【宏二のアパート】
「えー?居酒屋で働くのかよ」
「何でそんなに嫌がるのよ」
「男相手の商売だろう」
「居酒屋だから、お酒運んだりするだけよ。オーナーは昔からの友達だし」
「オーナー男だろ、酔った客に絡まれたりするだろ」
(まるで駄々っ子だわ)
宏二は相変わらず彼女と別れていなかった。
それなのにヤキモチだけはひどい。
双葉が働き始めると、有りもしない事を想像してヤキモチを妬いた。
そして、狂ったようになって勝手に崩壊。
この頃になると、双葉には宏二の嫌なところが目につき始めていた。
「ちゃんと手を出して食べなさいよ。ほら、背中丸めて食べないの、行儀悪いから」
結婚当初よく自分が姑に注意されていた事だ。
(ツインソウルは、自分を映し出す鏡か…)
また、別の日に宏二のアパートへ行くと、玄関に出前のどんぶりが洗わずに出して有った。
「もう、ダメじゃない」
持って入って洗う。
これも、姑に注意された事だった。
(お母さんが居なかったから、誰も教えてくれなかったんだもん。姑には感謝してるわよ)
夫は嫌いでも、姑は嫌いじゃなかった。
別居の話が進んでも、電話で話したりしていた。
本当に、夫さえあんな男でなければ、姑とは仲が良くて、幸せなのにと思っていた。
それにしても…
最近宏二とは甘い時ばかりではない。
これが、神緒美貴さんが言っていた覚悟しなければいけない事なのか?
と、思った。
しかし、ツインソウルはこんなの序の口である。
【三枝家】
ネットでツインソウルの記事を読む双葉。
(ああ、有る有る。相手の崩壊…ツインソウルの試練ね…離れたり、離されたり…どうなるのかは、皆んな同じじゃないみたいだけどね)
最近少し宏二の事が嫌になってきたのだろうか?
そう自分の心に問いかけると、それでも好きと即答する。
嫌なのに好きな状態。
どんなに嫌なところを見せられても、嫌いになれないのがツインソウル。
嫌なところは有るけど、夫よりマシ。
そう思うようになっていた。




