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『ツインソウル物語2』“年の差ツインソウル”  作者: 大輝
第5章《オバサンから双葉へ》
5/8

年の差ツインソウル5

【三枝家】


鏡の前でお化粧をする双葉。


時間をかけて、念入りにする。


お化粧が終わると、クローゼットから服を出してあれこれ迷う。


あーでもない、こーでもない、と迷っているうちに軽く30分は過ぎてしまった。


「駅まで行くだけなのに、これじゃおかしいか」


(何やってるんだろう?私…)


それでもなるべく若々しい服を選んで着た。


押入れの奥から、隠していた袋を出す。


宏二へのプレゼントのダウンが入っている袋だ。


【町】


家を出て駅に向かった。


(この時間居るかな?)


近所の人と挨拶を交わしながら歩く。


双葉は、ふと思った。


昨日は突然会って何も考えずに2人で食事をした。


けれど…


知っている人が多いこの町で、宏二と会っている所を見られないようにしなければ。


娘の友達や、学校の父兄に見られたら大変だ。


勿論娘や夫にも。


何より突然訪ねて来る姑にだけは見られてはいけない。


そう思った。


【花屋】


店の中に宏二が居た。


双葉は、ドキドキした。


「おばさん」


「お客さんのフリするから、馴れ馴れしくしないでよ」


プレゼントだけ渡して帰るつもりだった。


(でも、どうやって渡そう?渡すところを誰かに見られたら大変よね)


「今日は、もう終わりだから待ってて」


「じゃあ、あそこで待ってる」


店から少し離れた所で待つ事にした。


(寒いから早く来てよ)


宏二が、帰りの支度を終えて来た。


「お待たせ、行こう」


(行こうってどこに?)


と、思いながらも彼の後をついて行った。



駅の反対側の北口に向かった。


商店街を通って、横道に入る。


「どこまで行くのよ」


「すぐそこだから」


【アパート】


(え?アパートまで来ちゃった)


「入って」


誰にも見られないように入れば、外をウロウロするより安全だと思った。


「へー、片付いてるじゃない」


「まだ引っ越して来たばっかだからな」


「彼女が来て片付けてくれるんでしょう?」


「うん」


(やっぱりね)


聞いてはみたものの、胸が痛んだ。


ベッドが1つ置いて有るだけの部屋だ。


(どこに座ろう。まあ、プレゼント渡したらすぐ帰るし)


ベッドを背中に座る形になった。


「はい、ちょっと早いけど、クリスマスプレゼント」


「ありがとう」


宏二は、プレゼントのダウンを出して着た。


(やっぱり良く似合うわ)


夫に着せるより、三津谷に着せるより、宏二が一番良く似合うと思った。


(まあ、若い子向けのデザインだしね)


「俺さ、生活キツくて、お返し出来ないや」


「良いのよ、お返しなんて。それ見たら衝動買いしちゃっただけだから」


本当は、宏二の為にあれこれ悩んで買った物だった。


座る所が無くて、並んで座った。


(ちょっと、あんまりくっつかないでよね)


「何してんのよ」


「良いじゃん」


キスされた。


今度はシラフの双葉。


固まってしまった。



「何びっくりしてんだよ。おばさんて、可愛いな」


(ちょっと、大人をからかう?)


と、思っていたら、ベッドに押し倒された。


双葉は戸惑いながらも身を任せた。


夢の中に居るようだった。


宏二は優しかった。


でも、彼女が居ると思ったら涙が出てきた。


「何泣いてんだよ」


宏二は指で双葉の涙を拭った。


そしてまたキスした。


【お風呂場】


双葉はシャワーを浴びながら考えた。


(これは不倫よ。この前は泥酔してわけがわらなかったけど…)


彼のお母さんに申し訳ないと思った。


私とそれほど年が変わらないのに…と。


(離婚して家を出た、って言ってたな…いくつの時だろう?うちと同じだ。あ!「ツインソウルは、育った環境が似ている」って書いて有った)


【部屋】


それから宏二の話しを聞いた。


父親が暴力を振るうので、宏二が幼稚園の時に母親が出て行ったそうだ。


「え?うちも同じ。父親が暴力を振るうから、母親が出て行ったのは、私が5才の時だった」


やっぱり育った環境も似ていた。


呑むと暴れる父親だった。


そんな所が同じ夫が嫌だった。


何で母と同じような相手を選んでしまったのだろう?


と、いつも思っていた。


でも、若葉に寂しい思いをさせたくない。


だから離婚はしなかった。


「ねえ、ツインソウルって知ってる?」


「何だそれ?」


(知らないよね…私も知らなかったんだから)


宏二は、ソウルメイトも知らなかった。


そもそも魂の存在すら信じていなかった。



【居酒屋】


夜は、友人の三津谷の店で呑んだ。


「双葉。お前…益々綺麗になったな」


「セールストークをありがとう」


この前三津谷に長年の思いを告白され事など、すっかり忘れていた。


「いやいや本当に。何か有ったのか?」


一瞬ドキッとした。


「何言ってんのよ。何も有るわけないじゃない」


「女は恋をすると綺麗になる、って言うからな。お前まさか本当に大学生に惚れちゃったか?」


「ちょっと、双葉。やめときなさよ」


(言えない。絶対言えない)


友美は親友だけど、キツい所が有るから、何を言われるかわからない。


まあ、反対の立場なら、同じ事を言うかも?


と、双葉は思った。


(でも、私なら、頭から否定しないで話しぐらいは聞くわよね)


携帯の通知音がなった。


宏二からメールだ。


(え?)


「会いたい」とひとことだった。


私も、と、思った。


いつものチャラい感じの宏二とは違う感じがした。


私も会いたいと思ったけれど…


「さっき会ったばっかりじゃない」と返した。


「誰からメール?」


友美が聞いて来た。


「ちょっとね」


「何よ。言えない相手?」


(言わない方が良いでしょう、あなたには)



それからちょくちょく宏二のアパートに行くようになった。


もう誰にも止められなかった。


ベッドの上で宏二が言った。


「何で結婚したんだよ。俺のなのに」


そう言われると、どうして良いかわからなかった。


宏二は、相変わらず彼女と別れていなかった。


「自分だって、彼女居るくせに」


このアパートで彼女との修羅場になったら嫌だな、と思っていた。


「双葉が、他の男に抱かれたと思うと、俺狂いそうになる」


(あら、双葉って呼んだ。オバサンじゃないんだ)


【並木道】


「今日は、行ってみよう」


【神緒美貴のサロン】


「恥ずかしいんですけど…」


と、宏二との事を話した。


「ヒプノセラピーしてみます?」


「それ、何ですか?」


「退行催眠で、過去世を見ていきます」


「退行催眠?」


一生に一度の人生なんだから、楽しまなきゃ、と思って生きて来た双葉。


辛い時はよけいにそう思って頑張った。


そんな双葉には、過去世が存在する事が信じられなかった。


「無理にとは言いませんけど」


(どうしよう…それで宏二君との事がわかるのかな?)


「あの…神緒洸貴さんて?」


と、聞いてみた。


「私の兄です。ツインソウルと巡り会っているんですよ」


「やっぱりそうなんだ!」


それから、洸貴のブログでツインソウルについて色々知った事を話した。


そして…


「やってください!ヒプノセラピー!」


双葉はヒプノセラピーを受ける決心をした。




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