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『ツインソウル物語2』“年の差ツインソウル”  作者: 大輝
第3章《夢なら覚めて、覚めないで》
3/8

年の差ツインソウル3

昨日も夫は酔って暴れた。


(何が気に入らないんだか、会社で嫌な事が有っても私に当たるんだから…ったく、仕事を家庭に持ち込まないでよね)


(大声で喚き散らして、物を投げつけるし、テーブルの上はひっくり返すし…若葉は2階に居たけど、精神衛生上良くないわよね)


こんな家庭で、よくもまあ、あんなに素直に育ってくれたもんだ。


と双葉は思った。


(女の子は、良く「大人になったらお父さんみたいな人と結婚したい」なんて言うらしいけど…)


「やめて」


(あんなのと結婚したいだなんて、思ってないわよ)


若葉だけには幸せになってほしい。


父親のような、あんな男に似た男だけは選ばないでほしいと思った。


(まだ彼氏は居ないみたいだけどね)


(出来たら、黙ってたって私にはわかるわよ)


(母親だもの)


「さーて、今日は、久し振りに三津谷君の店で友美と呑むのよ」


【居酒屋】


「今日は、呑むわよー」


「いらっしゃい。あれ?双葉…何かちょっと感じが変わったな」


「そう?」


(どう変わったのよ?)


髪を切って、化粧品を買い換えて、服も買って、コラーゲンだって買い込んだんだから、少しぐらいは変わってくれないとねえ、と思った。


(そう、コラーゲン)


(効果出てるかな?)


「何かこう…女っぽくなったって言うか…」


(女っぽく?)


「何よそれ….それじゃ、今まで女じゃなかったみたいじゃない」


「悪りい、悪りい、そういう意味じゃなくて…」


「どういう意味よ」


(そりゃ、子供が出来てからは、女は捨てて母親に徹してたわよ)


それで気がつけば15年。


すっかりオバサンになってしまった。


そう思った。


(でも、自分の事オバサンて言わない方が良いって書いて有ったな…)


「何かさ、若くなったな、お前。うん、綺麗になったよ」


「え?やだ何言ってるのよ」


(コラーゲンの効果かしら?セールストークよね、そうに決まってる)


そうは思っても、嬉しかった。


(まあ、三津谷君に言われてもね…こーーーんなに、小っちゃい時から友達なんだから)


彼を男として意識した事が無かった。


今でも幼い頃と同じ気持ちだった。



「双葉お待たせ」


「ああ、友美。久し振りー」


そして、親友の友美に、宏二の事を話した。


「へー、偶然て、有るものね」


「そうなのよ。偶然何度も会うなんて、不思議でしょう?」


「まあ、無くはないと思うけどね」


「そうかも知れないけどさ」


「双葉が、運命の相手と思いたいだけじゃないの?」


(そうなのかな…?)


それにしても、偶然が重なり過ぎだ。


同じ日に物が壊れて家電量販店で会うのはどうだろう?


と双葉は思った。


「ソウルメイトだかツインソウルだか知らないけど、不倫の言い訳したいだけじゃないの?」


「不倫なんかしてないわよ、まだ!」


(まだ?)


この先チャンスが有ればするのだろうか?


(この私が不倫?)


そりゃ夫はあんな人だけど、家庭を壊す気は無い。


娘の為にも…


そう思っていた。


友美ならわかってくれると思っていたのに…


なんだかムシャクシャした。


久し振りに沢山呑んだ。


気がつけば記憶が飛んでいた。


「おい、双葉。飲み過ぎだぞ」


「なーに言ってんのよー。まーだ呑むわよー」


「もう、やめとけよ。友美先に帰ったぞ」


(あ…天井が…回って…るー)


「おいおい、大丈夫か?フラフラしてるぞ」


「だーいじょーぶよー」


「送って行ってやりたいけど。まだ店閉められないし」


若い頃は、良く3人で呑んだものだ。


記憶が無くなるなんて、珍しい事では無かった。


ただ、主婦になってから、こんなになるまで呑んだ事は無かった。


夫がウルサイからだ。



「自分は、呑んで暴れるくせに何よ。たまに私が酔っ払うぐらい、良いじゃないのよ」


「はあ?」


「昨日だって、暴れたじゃないよ」


「何だ…旦那の事か」


店の出入り口まで、三津谷が支えてくれた。


「本当に1人で帰れるか?」


「大丈夫、大丈夫ー」


「俺さ、お前の事が心配で…何だよ、40にもなってから、そんなに綺麗になりやがって」


「綺麗?今綺麗って言った?」


酔っているので、心の声がダダ漏れになっていた。


「大学の時、告白しとけば良かったよ」


「へ?」


「あんな男と結婚しやがって」


「本当…あんな男と…何で結婚しちゃったんだろ…私」


「俺、ずっと好きだったんだぞ」


「聞かなかった事にしよー」


「ああ、どうせ、明日は覚えてないだろ。だから言ってる俺も、情け無いけど」


【繁華街】


居酒屋を出ても、まだフラフラと歩いていた。


「なーに言っちゃってんのよー」


全く本気にしていなかった。


しばらく歩いていたけれど、どっちに行けば良いのかわからなくなった。


その時…


「おばさんじゃん」


「どーせ私は、オバサンですよー」


「酔っ払い」


それから記憶が飛んでいた。


気がつけば部屋の天井が回っていた。


ここは…どこ?


知らない部屋だった。


「え?何で、宏二君?」


「何言ってんの?一緒に呑んでたじゃん」


「え?」


宏二と会ってから、一緒に呑んだ記憶が消えていた。


辺りを見回した。


「ここって?」


ここはどこ?私は誰?になっていた。


「ラブホ」



「ラブホって…ラブホテル?!」


一気に酔いが覚めた…気がした。


それでもまだ天井が回っている。


双葉の頭の中もグルグルしている。


「シャワー浴びて来なよ」


言われるままシャワーを浴びた。


「じゃあ俺も」


(これは不倫?まだ離婚してないから、不倫になるわよね?)


何度も離婚を考えたけど、娘の事を考えると出来なかった。


(なんて、考えてる場合じゃなかった。逃げるなら今よ、双葉)


そんなこんなと考えているうちに、彼が出て来た。


宏二は優しく双葉の着ている物を脱がせた。


何もかもが夫とは違っていた。


今迄知っているどの男よりも良かった。


男女の夜がこんなにも甘く幸せな物かと、双葉は初めて知った。


そして、とっても切なかった。


(これは、夢よ、夢。目が覚めたら、家のベッドの上なのよ…きっと)


酔いはどんどん覚めて行く。


夢の方は、覚める気配が無い。


隣には、18才年下の大学生三条宏二。


(どうしよう…)


とても複雑な気持ちだった。


幸せと罪悪感。


夫への罪の意識よりも、宏二への気持ちだった。


(こんな若い子が、こんなオバサンとこんな事になっちゃって…)


「やっぱり俺達縁が有ったね」


「何言ってるのよ。こんなオバサンと」


「いつか、こうなる気がしてたんだ」


「何言ってるのよ、若い彼女居るんでしょう?」


彼女が居る事を、知らないフリしてそう言った。


「居るよ」


(ほらね)


「おばさんだって、結婚してんじゃん」


(それは…そうだけど…)



【三枝家】


「朝帰り…」


夫も娘も居なくて良かったと思った。


家に帰っても、まだ昨日の出来事が信じられなかった。


夢なら早く覚めて…でも覚めないで、という感じだった。


三ツ矢に告白された事など、すっかりどこかへ飛んでいた。


宏二と次の約束はしていなかった。


いつもは、別れた後すぐにメールか来るのに、今日は来ない。


(あれで終わりなのよ…きっと)


涙が出て来た。


(何で泣く事が有るのよ。若い男に遊ばれただけじゃない)


涙が止まらなかった。


(ツインソウルの涙?)


「神緒洸貴さんのブログ…有った」


〈ツインソウルは、涙が勝手に溢れて流れてくる〉


〈ツインソウルは、本当に良く泣くよね。僕は、普段は滅多に泣かないんだけど、ツインソウルの事になると、自分ではコントロール出来なくて…〉


〈長い魂の旅の中で「どうして今迄巡り会えなかったのか」って、魂が泣くんだ。時を越えて巡り会った時、魂が泣く…それがツインソウル〉


〈ツインソウルは、双子の魂だから、共通点が多いね〉


〈食べ物の好みが同じだったり。僕達は、初めてのクリスマスプレゼントに、お互い何にしたら良いかわからなくて、自分の好みのアンティークの腕時計にしたら、相手も同じだった〉


「へー…今回も何も聞けなかった…あ、手や爪の形、見比べるの忘れた」


(あーでも、一緒に呑んだ記憶も無いからな…)


もしかしたら、もう聞いたのかも知れないと双葉は思った。


(ああ、残念。何で覚えて無いのよ!今度会ったら、手と爪をちゃんと見なきゃ)


でも、もうこれっきりかも知れないと思った。


いつものように、別れた後にメールが来ない事が気になっていた。



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