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『ツインソウル物語2』“年の差ツインソウル”  作者: 大輝
第2章《絶対キレイになってやる!》
2/8

年の差ツインソウル2

(あーバカみたい。何であんな子にときめいちゃったんだろう?18才も年下よ。私が高校3年の時に生まれてるのよ)


(友美の子供と2つしか違わないじゃない。「私がオムツ変えましたー」って言ってもおかしくない年だわ)


それでも何だか悔しかった。


家に帰って鏡の前に座った。


お化粧を直す。


いつもより念入りにした。


(モデルさんみたいに綺麗な子だった…どうせ私はオバサンよ。ああ、髪…切ろうかな?……良し!明日美容院に行く!)


【美容室】


「イメージチェンジですね。肩ぐらいまで切りましょうか」


髪が軽くなったら、少し気持ちも軽くなった。


帰りにデパートで服を買った。


いつもは着ないようなオシャレな服を、店員に勧められるまま買ってしまった。


秋らしい色の化粧品も買った。


(オバサンだって、オシャレしたいじゃない。絶対キレイになってやるんだから)


ドラッグストアで、コラーゲンを買い込んだ。


【三枝家】


「ただいま。あれ、お母さん髪切ったんだ」


「うん」


「若くなったね」


「そう?」


嬉しかった。


夫は何も言わなかった。


(こんなに切ったのに、気づいてないんだか、なんだか…まあ、良いっか。初めから期待もしてないし)


「酒」


「呑み過ぎないでよ」


「毎日これだけが楽しみで仕事してるんだ、ガタガタ言うな」


あんまり言うと、また暴れるので、それ以上言うのはやめた。


双葉は、今日も酔った夫に激しく求められるかと思うと嫌だった。


(もう、触らないで!って感じだわ)


【寝室】


双葉が寝ていると、やはり酔った夫が襲いかかって来た。


(ああ、嫌だ…本当に、まるでレイプ)


宏二と巡り会ってから、よけいに夫との夜が嫌になった。


「お前、まるで冷凍マグロだな」


終わると夫がそう言った。


(ああ、嫌だ、嫌だ。シャワー浴びて来よう)



シャワーを浴びながら考えていた。


なんとかこの辛い夜を逃れる方法は無いだろうかと…


寝室に戻ると、夫はイビキをかいて寝ていた。


双葉は、そんな夫の姿を見て、部屋の入り口で立ち尽くしていた。


同じベッドで寝るのが嫌だった。


(今日は、若葉の部屋で寝よう)


2階に上がり娘の部屋に行くと、明かりがついていた。


「若葉、まだ起きてたの?」


「今、パーティー入ってるから、このダンジョン終わるまで抜けられなくて」


「何のパーティー?」


「ゲームだよ。4人でパーティー組んで戦うの」


「わけがわからない」


「お母さんゲームしないもんね。友達のお母さんとかやってるよ。可愛いキャラ作って」


「ふーん」


この時はまだ興味が無かった。


オンラインゲームなんて、やった事も無かった。


翌日娘の部屋を掃除していて、パソコンを見てふと思った。


(ゲームって、チャットしながらしてたわよね、危なくないのかしら?)


ドラゴン王国。


双葉は、娘が心配になり、ゲームを開いた。


「何これ?」


何とかマイキャラを作った。


(名前どうしよう?受け狙いにしようかしら?それともカワイイのが良いかな?)


(オバサンパワー?焼酎大好き?そんな名前の馬が居たっけ?あれは「サケダイスキ」だったか。うーん…)


「プルメリア」


好きな花の名前にした。


グラフィックが読み込まれて行く。


ゲームが始まった。


「え?何?」


(とりあえずナビゲーターの言う通りにやれば良いのか)


チュートリアルが終わった。


(ミッション?魚釣りか)


「あ、誰か話しかけて来た」


(フレンド登録?いきなりは嫌よ。拒否)


(沢山人が居る…)


吹き出しにチャットの文字。


(皆んな何言ってるかサッパリわかんない…まるで宇宙人)


また誰かに話しかけられた。


意味がわからないので聞いてみた。


(ああ、なるほど。文字数が限られてるから、略してるのね)


(あ、マックスだって、宏二君の犬と同じ名前。あ、行っちゃった)


マックスを追いかけたけど、マップ移動で見失った。


「あーあもう居ない…あ、こんな時間」


(さて、そろそろ出かけますか)



【神緒美貴のサロン】


「また来ちゃいました。もう一度カードを引いてもらいたくて」


「どれにしましょうか?」


「じゃあ、今日は、これ」


「では、石のカードで」


リーディングが始まった。


現在過去未来で、流れを読む。


「現在のカードは、インカローズ。ロマンスのカードです。衝撃的な出会いの暗示」


「え?」


「心当たり有りますか?」


(あれは、衝撃的と言えば衝撃的?ひったくりから助けてくれたんだから…「犬が」だけど)


(この前は、カップの2で「運命的な出会いの暗示」今日は、インカローズで「ロマンス」)


(やっぱりこの人のは当たる?聖霊に引かされるから、占いとは少し違うかも、って言ってたけど…)


「未来のカードは、モルガナイト。真実の愛です」


「真実の愛…」


「愛は形を変える物。時が流れて形が変わっても存在する愛って有りますよね。恋人から夫婦になって、子供が出来たりすると、家族愛になったり」


(この人は、きっと、結婚して幸せなのね。私は、夫を愛していない。愛しているのは娘だけ)


「カードの意味は、今わからなくても、後で「ああ、この事だったのか」と思う事が有りますよ」


(夫に対して愛は存在してない。娘が居るから我慢してるだけよ)


(この未来のカードって…)


「60枚のカードの中から、恋愛系のカードを2枚引くんですから、今のテーマは「愛」ですね」


やっぱり宏二の事が気になっていた。


まさか自分の事を好きになるはずが無いと思いながらも、身だしなみに気を使うようになった。


この町に来る時には、特に念入りにオシャレしていた。


駅から電車に乗った。


(今日は会わなかった…そうそう偶然会うはず無いわよね。ツインソウルじゃあるまいし)


数日後娘が食べたいと言う食材が近くのスーパーに無いので、またあの町のスーパーに行った。


買い物を終えてスーパーを出て歩いていると、後ろから声が聞こえる。



「そんなに、引っ張るなよ」


「ハアハアハア」


「待てよ、マックス」


振り返ると、マックスが宏二の手を離れて走って来た。


「マックス君久しぶり!あの時はありがとねー」


ちぎれそうなぐらい尻尾を振るマックス。


「あれ?おばさん…何か感じ変わった?」


(ほらきた、へへ、どうよ?)


双葉は、ドキドキする気持ちを必死に抑えて心の中でそう言った。


「髪切ったんだ…違う人みたいだな」


(何よそれ?)


「マックス君が気づかなかったら、通り過ぎてた?」


「わかるよ。人混みの中に居ても見つける自身有る」


「そういうセリフは、恋人に言いなさい」


「てか、偶然何度も会うなんて、俺達縁が有るのかもな」


「だから、そんなセリフ、オバサンに言ってどうすんのよ」


「今日は、そんなにオバサンぽくないし」


「若作りって事?」


オバサンぽくないと言われて嬉しかった。


(でも、無理して若作りしてるみたいに見えたら嫌だな。気をつけよう)


「ウチのお袋より若い」


「お母さんおいくつ?」


「45」


(やだ、あんまり変わんないじゃない)


ショックだった。


それでも彼に惹かれて行く気持ちを、自身でも止める事が出来ない。


「あ、そうだ。はい、マックス君。こないだのお礼」


もし会えたらと、バッグに入れていたビーフジャーキーを出した。


「俺も腹減った。又ね、おばさん」


「又ね…」


(って、又会うのかしら?)


又会えるのだろうか?


又会いたい、と双葉は思った。


でも、そうそう偶然が重なるとも思えなかった。


(ああ、でも、ここはマックス君の散歩コースみたい…だからって近くに住んでても全然会わない人も居るわよね)


電車に乗ると、メールが来た。


「オヤツありがとう、U^ェ^U ワン!」


「どういたしまして(=´∇`=)にゃん」


(何が「人混みの中に居ても見つける自身有る」よ…何が「縁が有るのかもな」よ…恋人が居るくせに)


その夜、いつものようにブログを読んだ。


気になる記事を見つけた。



(妹は37才なんだけど、自分の事「オバサン」て言うんだ。だから僕は「自分でオバサンて言っちゃダメだよ、本当にオバサンになっちゃうからね」って言ったんだ。だって、内面が美しければ、いくつになっても綺麗な人居るよね)


「ついオバサンて言っちゃうのよね」


(この人…神緒洸貴、40才独身。神緒?あれ?あのサロンの人…あの人も神緒さんだった)


「あっ、ツインソウルの事書いてる!」


(ツインソウルは、巡り会った瞬間から惹かれ合う。映画のように、喧嘩していた相手と恋人になったり、友達だと思っていた人を段々好きになったりしない)


(突然の恋の始まりに戸惑い、自分の気持ちを抑えたり、否定したりしても、魂が再会を喜んでいる「やっと会えたね」って)


「そうなんだ…」


(僕なんか、妹にヒプノで過去世を見せられるまで半信半疑だったけど、彼女の事は、偶然(妹に言わせると必然)初めて会った日から気になって仕方がなかった。そしてシンクロが始まったんだ)


「同じだわ…」


(ヒプノで過去世?妹?ヒプノって、ヒプノセラピー?神緒さんのサロンの看板に書いて有ったわよね)


SNSで宏二を見つけた。


タイムラインにゲームの事が書いて有った。


(皆んなこういうゲームするんだね…え?これって…あ…「ドラゴン王国」やってるんだ。へー…あ、写真…)


「え?!マックス?」


(やっぱり、あのマックスって宏二君?これって偶然?どうしてこんなに偶然が重なるの?)


ドラゴン王国を開いた。


「居た!」


マックスを見つけた。


(どうしよう……)


他のキャラのように、とにかくつぶやいてみた。


「始めたばりです。宜しく(^^)」


何人か応えてくれた。


「宜しくです( ´ ▽ ` )ノ」


「ガンバ(^ν^)」


宏二も応えた。


(あっ、応えてくれた)


「わからない事が有ったら、俺に聞いて(^_-)-☆」


(へー、優しいじゃない。若い女の子だと思ってるんでしょう。誰にでもそうなの?)


「あー、お母さんも始めたんだ」


「あー、ビックリした!いきなり後ろから話しかけないでよ」


本当は、宏二の事を考えていたから、過敏に反応した。


「これで仲良くなって、オフ会してる人も居るよ」


「危ないから、行くのやめなさいよ」


宏二に誘われたらどうしようかと思った。


ゲームの中では、可愛い女の子で居たかった。



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