ーー『異常』からの3ヶ月目③ーー
………静かです。とても静か。
そりゃ自分の部屋だから当然ですよね。
(常に喋らない人外がいますが)
しかし今はこの静寂が少し不穏です…
それは今日、ここに来客があり、そこに『親友』がいて…
『恋人』になりました。
問題はその『恋人』がシャワーを浴びてからめっちゃ無言なことです。
「………………………………………」
「…あの春夏…?」
「ひゃい!?」
なんと痴漢を見るような…身を守る小動物のような(可愛い)、心外です。
「なぜさっきから私が触れようとしたり、声をかける度にそんなワンパターンな…」
あ、余計だったかも
「ヮ、ワンパターンだとぅ!?ひ、響が!泊まってけって言ったんでしょう!?」
言いました、だって
「もう少し一緒にいたかったんです。」
正直に素直に本音を言います。今までも私から言うことはあったと思うんですが…
「〜!?」
「ひ、響って誰に対してもそう言ってんじゃないよね!?」
な、なぜそのような思考に!
分かってるはずでは!
「春夏だけに決まってるでしょう!(事実)」
「……心臓が持たない」ボソ
!…春夏が胸の辺りを抑えています!
あれはあまり良くありません!まずは深呼吸を!
「だぁぁぁ!いま私に触るなぁぁ!!」
「なにゆえ!?」
『…………………………………………………』
…あ、スミスさんが座った。もう日付が変わったんですね。
……??
スミスさん?
おかしい…スミスさんの右手に「短剣」が握られています。
しかもスミスさんが
『こっちを向いた』
合図だ…
最初は「私?斬られる!?」でしたが流石に分かるようになりましたよ。
「春夏こっち」
少し強めに春夏を引いて、抱き寄せます。
「え!?ま、まだ…ちょっ…切り替えが…」
その瞬間
スミスさんが『短剣』を床に刺します。
刺した剣には「vallum」と刻まれています。
相変わらず読めねえなもう。
さらにスミスさん、部屋の『角』という角に短剣を凄まじい速さで投げ付けていきます。
見えた文字は
『Excipere hostem』(迎撃)
「!?」
意味が……解ります。なんで意味が…
これは…ちょっと…
「ひ、響?…どしたの真剣な顔して」
来る
部 屋 が 揺 れ る。
まるで大地震かのように……
恐ろしいのはこんなに激しく揺れているのに…
『物』は一切動いていません。
「ひゃ!?」
春夏が突然の揺れに声を出します。
「大丈夫です。」
強く言います。春夏の不安を少しでも削ぐように。
「で、でも響…なんかおかしいよ…物が…」
倒れていない。いえ動いてすらいない。
春夏の不安はもっともです。
私も3ヶ月スミスさんと一緒にいて初めての体験です。
『……………………………………………………』
スミスさんは動きません。不動。
でも確かに今スミスさんは目に見えない『何か』と対峙し続けている。
信じるしか…ないんですよね…
いつも…いつも…
「大丈夫。いずれ終わります。」
私は春夏の顔をこっちに向けさせて
「響?」
春夏が私の胸元で不安そうにしています。
だから
春夏の額にキスして再度抱きしめました。
いや、なんか、丁度いい位置にあったんで。
「〜!??」
なにやら胸元でバタバタもがいてます。
静かになさい。
徐々に揺れが収まっていきます。
ほら、終わりました。
『……………………………………………』
スミスさんは動きません。しかしいつもなら『終わった』後は短剣を抜いていくのに…
床や部屋の角に短剣は刺したまま、『いつものように』直立で前を見据え始めました。
本当はいつもなら一声かけるんですが、今日は春夏がいるので。
しかし、今の現象は…
「…スン………」
春夏…怯え…てはいないですね。
顔が赤くてなんか拗ねてる?(可愛い)
「春夏、収まりましたよ。大丈夫?」
「………に…」
に?
「どさくさに紛れて何してんじゃあぁぁぁ!!」
「そっち!?」
『関係の変化』も『異常』もありましたが
今日も結局、スミスさんはいつも通りです。
まず『祝福』をお願いしたいです。




