ーー『異常』からの半年と1日目②ーー
ーー『異常』からの半年と1日目②ーー
(霊[りょう]視点)
俺ぁ今はスモーキング&コーヒータイムを
大通にある公園で満喫中だ。
禁煙?知るかよ。
しっかし、たまげたぜ。
まさか日本のアパートなんぞで「アイツ」に会うなんてなぁ。
おっと今は『スミス』だっけか。
「……『スミス』ねぇ…」
1週間で『名付け』るなんざ。下手したら
「斬り刻まれてたろうなぁ…」
あーあぁ…妙な仏心で『Vita』の石も渡しちまうし、あれなかなか貴重品なんだぜ?
「……………………………」
あ?
ありゃ、田中のツレの
『春夏』…だったな。
どうみても普通じゃねえな。
つーことで。
「おはよう。目は覚めたかい?春夏さんよ。」
行動は早いに越した事はねえ。
ここはベンチの上だ。
「え!?あれ、ここ…大通?やだ、ちょっと散歩するだけだったのに…」
…混乱してんな。だろうなぁ。
コイツん中で『雷』と『炎』が渦巻いてちゃ慣れてねぇ人間はそうなる。
「あ、あなたは…霊さん?昨日ぶりです。」
へえ、覚えてくれてたか、やっぱ『良い女』だ
「私なんかボーっとしてたみたいで。響のところ帰らなきゃ。」
ちっと確認したいことがあるなぁ
「まあまあ春夏ちゃん。急いだって息切れするだけだぜ?」
「それ当たり前ですよね?」
ひゃっはっは。容赦ねえな。多分嘘や誤魔化しは通じねえタイプだ。
「ちっと話したい事がある。」
「響のことですか?」
愛されてるねえ、田中さんよ。
「違う、アンタだ。」
正直に言った方がスムーズだろうな。
「わたし?」
「まあ、座りなよ。」
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もうそろ昼時か、腹は減らねえ。
『必要』がねえ。
「それで話しってなんですか?」
ストッープ!!
「?」
「俺と話す時に『気を付けなきゃいけないこと』3つを教える。」
ルールは大事だ。この前無視したけどよ。
「み、3つ!?」
ひとーつ
「チクチク言葉は使わねえこと。ガラスだからだ。(心が)」
ふたーつ
「目を見て話さないこと。照れちゃうからだ。」
最後にみっつ
「敬語はやめろ。苦手なんだ。さん付けも出来ればいらねえ」
少々びっくりしたような顔
「はい…あ、分かったよ!霊さん!任せて!」
順応性早えーなぁ。おい。
「それで話しって?なんじゃい。」
…なるほどなぁ…
「それが春夏ちゃんの処世術か…いや…田中絡みかな?」
「良いからまず要件言って!落とすよ!」
どこに!?
「まあいいや、スミスに『なに』渡された?」
見れば分かる。何か渡されたはずだ。
「なんで知ってんの?!霊さんキモイ!」
いやキモいは言い過ぎだろ。…キモイか?
「熱くねえのか?」
いや『熱い』はずだ。高熱どころの騒ぎじゃねえ。……本来はな。
「え、熱いよ。スミスさんから『短剣』渡されてから。ちょっとだけ。」
………なに?
「短剣を…渡された??」
マジか、アイツ何考えてやがる。
「う、うん。差し出してくれたから。」
「よりによって『短剣』を渡されただぁ?それは渡したんじゃなくて『譲渡』って言うんだよ!」
「え!?」
「じゃあ私も昨日みたいなバトル漫画みたいなこと出来るってこと!?」
バカなの!?素なの!?
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なんか色々心配した俺がバカだったぜ。
「はぁ…春夏さんよぉ…」
ちっと忠告だけしてやってズラかるか。
「あ、溜息。幸せが逃げちゃうよ!」
なんだ?知らねえのか?
「溜息は幸せになる『準備』だ。」
「ほう」
なんだその『そういう捉え方』もあるんだ〜
みたいな反応。
……なんか忠告とかしなくてもいいって思えてきたな。
「まあ、またな。春夏さんよ。田中にも縁があればってーー」
すると
「『響』」
あい?
「響って呼んだ方が喜ぶよ?昔から田中って呼ばれるの好きじゃないの。」
……なんつー俺に取ってどうでもいい情報だ。
「あと私のことは春夏でいいから。」
なんかこいつの距離の詰め方…危ねぇな。
「わかったよ。『春夏ちゃん』、『響』によろしくな。」
…多分だが、嫌でも関わってくんなぁ…こりゃ…
ーーーー――――――
『……………………………………………………』
ふと過る、『スミス』の姿。
ーーーーーーーーーーー
相変わらず前ばっか見据えてんだなぁ…
お前は…
「あ!最後に質問!」
元気な嬢ちゃんだよ、ほんとに。
「ああ?なんだ?」
「昨日の地震、『デカイ狼』って言ってたでしょ?どれくらい大きかったの?」
……ワザとか?それとも天然か?
まあいい。
「あそこら辺くらいだな。」
俺は北の大通り公園を差す。
「…うわ…でっか…この公園くらいなんだ…」
「ちげー、もっとあっちだあっちだ。」
もう1回指を差す。
「……え!? あのタワマン!? デカ過ぎ…」
だーかーらぁ
「もっと向こうだ。あるだろ。『試される大地』、『蝦夷地』が。」
「…………へ?」
言い方が遠回し過ぎたな。メンゴメンゴ。
「……え、北海道……?」
そりゃそうなるわな。
「47都道府県?」
どういう確認してんだお前。
「だから言ったろ。『バカでかい狼』ってよ。」
「限度があらぁ!」
まあ分かるぜ。最初はみんなそうだ。でも段々『慣れて』くるさ。
「あれはそうそう『出て』くるもんじゃねえ。
それにしばらくは来ねえさ。昨日スミスに土手っ腹に風穴空けられたんだからなぁ。」
あれは災害じゃなくて、ただただ道端歩いてたら『エサ』があって噛み付いてきただけだ。
「そーんな霊さんみたいに達観できないよ!!」
あわわわ……って今更その反応する?
あー…そうだな…
「……同棲しろ。」
もう率直に言った。
「え?やだよ、霊さんより響が良い。」
そういう事じゃねえよ!面倒くせえなこいつ!
「いやだから田!…響とって意味だよ!俺だって嫌だわ!」
「あ、ご…ごめん。でも……『同棲』?」
なぜ急に恥ずかしそうにしてんだこいつ。
「出来る限り傍にいろって『忠告』してやってんだよ。恋人だろ?一石二鳥じゃねえか。」
嬉しいもんなんだろ?
出来たことねえから分かんねえけど。
「…で、でもまだ付き合って3ヶ月だし…ご両親にも挨拶が…あと…響ってたまに寝相悪いんだぁ…たまに抱きついてくんの…」
…………………果てしなくどうでもいい惚気だ。
「うぅ〜…」
…だが…不思議だなぁ、悪くねえ光景だ。
『慈しみ・睨み続けた眼。』
『執着を超えた覚悟の意志。』
『そして勝ち取った者』
……………………似てる…
「関係ねえだろ。」
「あい?」
間抜けな声だ。
「恋人になって3ヶ月?関係ねえ。
6年間の積み重ねも一要素でしかねえ。
大事なのはお前らの『現在』と『未来』の在り方をどう望むかだ。」
「…………」
「春夏ちゃんよぁ。」
静かに
ただ確かに伝えた
「あんたもう少し欲張りになってもバチは当たらねえぞ?」
沈黙
すると
「…………グス」
え!? 泣くとこ!?
絵面的にヤバくない!?
「あ…はは…ごめんなさい…なんだか『他人』に言われたら……やっと…『認め』られた…気がして…」
……『第三者の評価軸』…か。
恐いもんでもあるが『必要』なもんでもある。
こいつは……ひとりで『戦って』たんだなぁ
『自分自身』とよぉ
だがなぁ。
「『自分』は味方だ。そいつを忘れんな。」
あえて慰めねえでやんよ。それは俺の『役割』じゃねえ。
「……うん」
良い顔だ。
そんで…『良い女』だ。
ピコーン。霊と春夏が物語に加わりました。




