ーー『異常』から半年目ーー
ーー『異常』からの半年目ーー
朝目覚めます。天気は快晴っぽいです。しかし
「めんどくさい…」
あー…そろそろ「春夏成分」が足りなくなってきました。
春夏は私の「元親友」で現在は恋人です。
あー…逢えるまであと3日かぁ~…
ベットの中でモゾモゾします。起きたくねぇー
すると
「朝から『めんどくさい』は良くないねえー。お嬢ちゃん。朝は大事な大事な1日の始まりだぜ?」
……………知らない男の声。
布団から顔だけ出します。
「…どちらさまで?」
「…へえ…知らない奴が部屋に居ても取り乱さねえか。肝が座った女だ。」
知らない男…金髪…外人?
白いスーツ…流暢な日本語…
…スミスさんは?もしも「嫌」なものならスミスさんが「静か」にしてるはずがありません。
「そんな顔すんなよ。同居人様はちゃんと仕事してるぜ?」
「!…スミスさん。」
身体を起こして確認するとスミスさんが「白い長剣」(初めてみた)を相手と私の間に刺し込んでいます。
「俺が部屋に入って、アンタのベッドに近づこうとしてからずっとこうだよ。そろそろ降ろしてほしいもんだぜ。」
…スミスさんに降ろす気配はありません。つまりそういうことです。
……とりあえずコーヒー入れましょう。
「おい、おかしくねえか?なんでこの状況でコーヒー飲めんだよ。」
なんかこの人、馴れ馴れしくて春夏に逢いたくなってきた(?)
「日課だからです。」
とりあえず私はブラックコーヒー、それから
「お兄さんは?」
「は?」
なんか間の抜けた声です。
「いや。ですからコーヒーには砂糖ですか?ミルクですか?両方ですか?」
「…………」
え、無視?スミスさん2号?
「…砂糖1杯。」
了解しました。
スミスさんは変わらず剣を降ろしません。
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テーブルイスを「金髪」のいるところまで持っていきます。
「立ちっぱなしもあれなんで良ければ座ってください。」
「…………」
金髪さんは何も言わずに座ります。
「はい、どうぞ、コーヒーです。熱いので気をつけてください。」
会社にはさっき連絡してお休みをいただきました。なんとなく時間がかかりそうだったので。
「…………」
さっきまで流暢にベラベラ喋っていたくせに急に静かです。
「くふ……」
くふ?
「くひゃっひゃっひゃっひゃ!!」
なぜ笑った!?失礼な!土足で入ってきてるくせに!……あ、ちゃんと脱いでた…
「なんだアンタ!肝が座ってるとかそんなレベルじゃねえ!クレイジーだ!ひゃっはっはぁ!」
く、クレ!?なんですか!このドストレート系失礼な方ぁ!
「ひゃっはっは…はぁ…悪い悪い。アンタみてえな人は数十年ぶりなもんでね。」
「…あなたの目的はなんです?」
「ストレートだ。悪くねえ。」
それはどうも。
「こっちも簡潔に伝えるか。「アレ」の状況確認と「同居人」の確認だ。だからもう済んじまってる。」
両手を広げて、肩を竦める。
「じゃあ帰ってください。」
率直に言います。
「まあ待て、あとは個人的に聞きたい事があるだけだ。」
まだなんかあるんですか。
「アンタ、『アレ』を見た時、なんでこの部屋を引き払わなかった?」
なんで、と言われても…
「普通は引き払うなり、坊さん呼ぶなりするだろ。」
なるほど、お坊さんはありませんでした。
「…つまりよぉ…アンタの目的はなんだって聞いてんだよコラ」
カチン、なんですか。その上から目線あとさっきから「アレ」「アレ」って。
「ここは私の部屋で家賃が安いからです。」
正直に嘘偽りなく。
そして
「さっきからなんですか!「アレアレ」って!
彼には『スミス』さんっていう私が付けた立派(?)な名前があるんです!!以後気を付けてください!!」
ちょっと後気が荒くなりました。
「………なに?」
『金髪』さんが怪訝そうな顔をしています。
「…アンタ『アレ』に名前付けたのか?」
「そうですが何か?」
ふんす、なんか気に食わないです。この人。
「『アレ』の反応は?」
「『スミス』さんです。」
譲れないところは譲れません。
「…失礼。そのスミスの反応は?」
あ、なんか素直。
「別にその時はいつも通りですよ。無言・無造作・無反応です。」
「…なるほど。付けたのは最近か?」
まーだ聞いてきますか。
「1週間目くらいです。」
確かそのくらいですよね?ウィスキーを渡し始めたのもそのくらいです。
「は!? 1週間だぁ!?」
び、ビックリした。なんですか。もう少しお互いのこと知ってからの方が良かったですか?
とにもかくにもこの『金髪』さんはスミスさんと知り合いみたいです。
「…………」
なんか急に無言になった。
あとコーヒー飲んでください。
「…おいアンタ…」
「 田 中 響 で す 」
アンタアンタうるっさいなあ。コーヒー飲みなさい。
「……田中さんよぁ。」
なんですか。
「もうコイツからは『逃げられねえ。』」
はい??
「いや、このスミスがアンタから『離れねえ』って言った方が正確か?」
『離れない』ってそれって…
「悪いことなんですか?」
正直な疑問。
「!……『魅了』じゃねえなぁ。田中さんアンタそれマジで言ってんだな?」
なんだか、まーただんだん腹立ってきました!
「何ですか!さっきから根掘り葉掘りと他人の家庭事情に踏み込んで!名前を付けたのは私!離れないのはスミスさんの意思!それ以上でもそれ以下でもありません!」
「…………」
ハァハァ…まただんまりですか!
「…そうか。悪かった。」
やっとコーヒーを飲み干していきます。
やれば出来る人だ。
「……『対等な主従関係』。そこから生まれた『自由意志』…か…」
主従関係?スミスさんとはそんな関係じゃないです。
「形式上の話しだよ。アンタはアレに……スミスに名前を与えちまった。そんでスミスはそれを受け入れた。俺らの側じゃそれを『永続調印』って言うんだよ」
なんと…
「しかもアン…田中さんはスミスを『尊重』してんな?本来ならあっては駄目だ。でもスミスがその「在り方」を受け入れちまってる。」
なんか難しいな。
「本来ならアンタは『裏切られても』可笑しくなかったんだぜ?よっぽど気に入られたな。芽生えたのが『自由意志』ってんだからよ。」
「…スミスはアンタに『害』するものを排除する。この部屋に入るもの全てだ。俺が排除されてねえのは『異常性』はあれど『害意』が少ないってとこだな。」
なるほど
「胡散臭さはカウントされないんですね。」
「ちょっと待てコラ」
朝に女の部屋に忍び上がって、顔覗き込んでる人に何か言う権利はありません。
「…確かに字面だけ読むとヤバいな。」
でしょう!?
「また来る。今度はインターホン押すから出てくれよ。」
考えておきましょう。
「……邂逅して1週間で命名か…これも…『縁』ってやつなのかね」
あ、そうだ一応
「スミスさん関連でまた来るんですよね?名前教えていただきますか?」
「…霊だ。」
え?オバケ?
「ちげーよ!霊って書いて『りょう』って読むんだよ!」
すっげー名前。厨二心をくすぐられますな。
「…それじゃまたな。勝手に上がって悪かった。スミスにもそう伝えてくれ。」
え?スミスさんにも?
「あの!タンマ!」
どうしても!これだけは聞かないと。
「なんだ?」
「霊さんとスミスさんの関係はなんです?」
真剣に真面目に聞きます。
「……ダチだよ。」
え?
「じゃあな。これでもダチに『剣』向けられ続けられるのは応えるんでね。」
『金髪』さんもとい『霊さん』は帰っていきました。
…………え?なんかこれ結構、重要度高い話しだったんじゃね?
ついに『スミスさん』側からの第三者介入。




