ーー『異常』からの4ヶ月目②ーー
私のアパートに到着しました。
「お釣りはいりません。」
それだけ伝え、春夏を抱えて自分の部屋を目指します。
春夏の顔色は…悪くはありません。
ですが呼吸が不安定、匂い。「何か」が干渉している。
部屋を開けた瞬間ーー
『………………………………………………』
一瞬唖然としました。
スミスさんが『玄関に立っている。』まるで来るのが分かっていたかのように。
「スミスさん。」
『…………………………………………………』
スミスさんは私達を少しの間、見定めるかのように顔を向けています。
「スミスさん…お願いします。」
その時、スミスさんはこちらに背を向けて歩き、『いつもの定位置』に座って私を見ます。正確には見ている気がします。
考えている余裕はありませんでした。
私は春夏をスミスさんの前で寝かせます。
状態はさっきと同じ。
私は見守ることしか…できない。
スミスさんが動きます。
黒衣から出したのは 大 量 の 『白い短剣』
それをーー
『目にも止まらない速さ』ってこの事を言うのでしょう。
その速さで短剣を春夏の頭、目がけて突き刺します。
「!!」
私はスミスさんの速さと『容赦』のなさに一瞬「恐怖」します。久しぶりに。
「スミスさ」
しかし
止 ま ら な い スミスさんの突き刺し。
もの凄い速さで春夏の全身を滅多刺しにしていきます。隈なく隙もなく。
以前見た時よりも「音」が違います。
刺しているのに何か重い物がぶつかるような。
…違和感…
スミスさんが……
……『怒ってる』……
何故かは知りません。けれど分かります。
短剣に刻まれている文字が見えました。
『monstrum』と『interficio』と刻まれています。
『monstrum』…『interficio』…
……「怪物」…「殺す」…?
…!…なんで…意味が。
分かる。なんで?
……いえ、今はまだ良いです。私はー
私はスミスさんを信じるしかないです。
すると春夏の口から
男 の 声 が
『ナゼ、ココニイーー』
その瞬間
スミスさんが『短剣』を 容 赦 な く 春夏の口に突き刺します。
『最後まで喋らせない』そんな徹底した意志をはっきり感じました。
私の目の前には『全身を短剣で滅多刺しにされた春夏』。ハリネズミのような姿。
白い煙が春夏の全身から湧き出します。
その間、スミスさんは『口に突き刺した短剣』を離しません。
「春夏」
自然に出ていました。
『突き刺したままの姿勢』でこちらを向くスミスさん。その顔は変わらず『闇のまま』。
しかし『まだ動くな。』と言っているような。
春夏から出る白い煙が収まった時、スミスさんは春夏に突き刺した『大量の短剣』を丁寧に抜いていき、最後に口の短剣を抜きました。
短剣にはどれも『黒い液体』ようなものがついています。
『………………………………………………………』
スミスさんは最後の剣を抜き、春夏に顔を「向けて」います。しばし『2人』で春夏を見守る感じでした。すると
「……ん…」
春夏が声を出します。
「…あ…あれ?私、寝ちゃってた?」
春夏…
「ご、ごめん!響!って、ここ響の部屋じゃ」
彼女を強く抱き寄せる。
「あわわわ!今日のひ、響はずっと大胆ん…!」
『………………………………………………』
既に『いつも通り』のスミスさん。
静かに前を見据える不動の「何か」
でも
あなたにはまず感謝を。
「春夏……」
抱きしめたまま。
安心したのか自然と声が低くなっています。
「ひゃい。」
「一生のお願いがあります。」
「な、なんざんしょ…」
「今日は泊まっていってください。お願いします。」
あれ?
わたし泣いてる?
「………うん。仕方ないなぁ。」
春夏の声がとても優しくて…
もう…
離したくない。




