ーー『異常』からの4ヶ月目ーー
おはようございます。
田中響です。
アレは『同居人』のスミスさん。人外です。
『……………………………………………………』
今日は『春夏』とお出かけなのです。なかなか予定が合わず(私、土日休み。春夏シフト休)お付き合いしてから1回しか会ってません。
あの日は春夏は泊まっていきましたが、朝起きたら「何にもしねえヤツがあるかぁ!」とポカポカ叩いてきました。(可愛い)
……そっか。確かに。
私は春夏の温かさがあって安心できたけど…
なんか「やれやれ」って感じで呆れられました。ご、ごめんなさい。
今日はあれから久しぶりに会う。
………なんかちょっと緊張してるかも…
ま、まずはいってみよー!
『……………………………………………』
なんだよお前、ここで三点リーダーやめろよ。
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街中〜
待ち合わせ場所に行くと春夏がもう来てました。
「あ、響!こっちだぜーい!」
相変わらずのテンションです。先月のしおらしさはどこに消えたんでしょう。
「おはよう。早いですね。」
…私…普段通りできてるかな?
「ちょいちょい。そこは。『待った?』がお約束だぞい?」
「知りませんよ。そんな誓約。」
なんか付き合う前と変わんないな…意外とこういうものでしたっけ?
まあ良いです。久しぶりに春夏の顔が見れて嬉しいし。
「さ!映画始まっちゃうから、ちゃっちゃか行きましょ!」
はいはい、ちゃっちゃかですね。
ではお手を拝借。
「え?」
春夏の声。
「へ?」
何かあります?
普通に人も多いし、私達恋人だし、何も問題ないはずでは?
私たちは手を繋いで歩き始めます。
「……………」
俯いてる春夏。危ないな。
余計に手が離せません。自然と力が入ります。
「……………」ピク
今、反応がありましたね。
「春夏?俯いて歩いたら危ないです。顔を上げてください。 か お を 」
理路整然とした指摘です。反論はなかろう。
「おめえのせいなんだよぉぉ!!」
「わたし!?」
反論はありました。
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映画〜
(省略
「ずっと手ぇ繋がれちゃ集中できねえよ!」
怒られました。(映画は面白かった)
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街中散策中〜
「あー、あれ可愛いなー」
…ウィンドウショッピングなんて『春夏』と初めてだ。
そっか。大学で出会ってから私達は『特定の場所』から動いて来なかった。
待ち合わせして喫茶店で話したり、飲みにいったり、どっちかの部屋でお泊まりしたり。
こうやって『長く移動するのが』初めてだ。
……春夏はずっと…私に『好意』を隠しながら…
それって辛かったんじゃ…
急に目の前の「春夏」が尊いものだと実感が湧いてきた気がする。
今まで私なんかで我慢してきたのなら…
大切にしてあげたい
大事にしてあげたい
もっと喜ばせてあげたい
笑顔でいさせてあげたい
もっと私が笑わせてあげたい
「……びき…?…」
私を呼ぶ声が聞こえる。
「あ、はい?」
「もー、どっちが可愛いって聞いてんの!」
いつの間にか服屋の中にいました。やばいやばい
また怒られてしまう。
「春夏が1番可愛いです。」
「てめえは私の専属の殺し屋かぁぁぁ!?」
溝打ち
「ぶふぁ!?」
怒られました。
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といった感じで楽しく(?)2人で街中を歩いています。
「ねね、響って土日休み固定だよね?」
ベンチに座りながら、春夏が尋ねてきます。
この子は切り替えが早いです。
「そうですよ。」
「…じ、実はさ、私来月のシフト休、2週間毎に土日休みにしたんだけどさぁ…」
なんとならば、今回みたいに期間はあけなくて良いってことじゃないですか。
「ひ、響のことだからどうせ用事とかないでしょ?だから空いてたら…」
なんか今ちょっと余計な文章入ってませんでした?しかし
「逢いましょう。私は春夏の顔が見たいです。」
本音です。もちろん。
「…う、うん。」
春夏が、涙ぐんでる。
「あ、ありゃ?なんでだろう?き、キモいよね?あああと重い!」
春夏が続けます。
「つい少し前まで、響と『一緒』なれるなんて1ミリも考えてなかったからさ!はは!」
………
「なんか…夢なのかなって…この1ヶ月怖くってさ!いやぁ参りましたな!」
…!!
気付けば彼女を抱きしめていました。
「!?ひ、響…人が」
分かります。ごめんなさい。でも
「『私は』2人なら気にしません。春夏は気になりますか?」
「…ううん」
春夏からも抱きしめ返してくれました。
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春夏が今日初めて怒りませんでした。
「はぁ…もう…真昼間からイチャイチャしてバカップルかよぅ…」
ふふ、そうですね。バカップルですね。
「む?なにニヤニヤして…ん…」
ヤバい!また来ます!今度はどこだ。
人中か!?脇下か!?
「……ん……ハァ…ハァ…」
……いや、春夏の…様子がおかしい…
「………!………」
春夏が身を預けてきます。呼吸が荒い…
何より…
「匂い…」
何だこれ。この匂い。まるで吐瀉物の中に大量の塩が入ったような。
「……ハァ……ハァ」
今度は浅い。呼吸が。
タクシーを止めます。
春夏、辛抱してください。
春夏を抱えてタクシーに乗り、運転手に自宅の住所をいいます。
春夏の呼吸は荒くなったり、浅くなったりと一定がありません。
春夏の様子に気付いた運転手が
「お、お客さん。お友達具合悪いなら救急車呼んだ方が…」
「黙って運転してください。」
はい…と小さく声が聞こえましたが
知らない。
早く
早く
スミスさん…




