13話 仲間の絆
暴走事件から一夜明けた朝。
空は青く、昨日の嵐が嘘のように静かだった。
だが、チェルの胸の中は晴れなかった。
仲間を傷つけそうになった恐怖。
自分を制御できなかった悔しさ。
仲間たちの叫びがずっと耳に残っている。
チェルはひとり、焚き火の前で膝を抱えていた。
「はぁ。どんな顔してみんなに会えばいいんだよ」
そこへ。
「チェルー?起きてるか〜?」
ノエルがひょっこり顔を出した。
チェルはビクッとして背筋を伸ばす。
ノエルはニヤッと笑いながら言った。
「そんな端っこで体育座りしてると、余計に怪しいぞ」
「うっ・・・」
ノエルの後ろから、仲間たちが集まってくる。
チェルは深呼吸し、全員の前に立った。
「みんな、昨日はその・・・」
頭を下げようとした瞬間。
フローナが先に叫んだ。
「チェル怪我してない!?痛いとこない!?」
「フローナ、俺は大丈夫だよ」
ラナは呆れながら腕を組む。
「アンタさ、謝る前にまず“おはよう”でしょ」
「・・・おはよう」
サラは優しい微笑みで言った。
「私たちなら、ちゃんと受け止めますわ。
どうぞ、言いたいことを」
ジンは無言で頷く。
その目には非難はなく、ただ聞く準備だけがあった。
そしてひまわは尻尾を振りながら座る。
「ほら、言ってみ、僕たちは仲間だろ?」
とノエル。
チェルは少しだけ笑い、改めて深く頭を下げた。
「みんなごめん!!
俺、みんなを傷つけそうになった。
怖い思いさせたし、守るどころか逆に迷惑かけた!」
拳をぎゅっと握る。
「半妖の力を、俺はまだちゃんと制御できない。
だから、これからまた暴走したらって思うと・・・」
奥歯を噛みしめるチェルに、仲間たちはそれぞれの返事を返した。
「チェルが謝ることないよ!だって、戻ってきてくれたじゃん!私、すっごく嬉しかったんだよ!」
とフローナ。
「私たちを誰だと思ってんの?
チェルが選んだ仲間でしょう?もっと信用してよね」
とラナ。
「そうそう!仲間が暴走したら止めるのが仲間!
ついでに言うと、暴走チェルを間近で見れた俺って結構運が良くね?」
とノエル。
「私はあなたが戻ってきてくれたことが何より嬉しいですわ。
そして、どんな姿になってもあなたはチェル様ですもの」
とサラ。
「暴走など、鍛えれば制御できる。
チェルにはその素質がある。俺が保証する」
とジン。
「チェル、君は昔からそうだ、一人で背負うから苦しくなるんだよ、
これからは俺たちにも背負わせてよ」
とひまわり。
チェルの目が潤む。
「うん!うん!」
ひまわりが泣いているチェルの涙を舐める。
「それでいいんだよ」
チェルは涙を拭い、いつもの明るい表情に戻った。
「よし!じゃあ俺、もっともっと強くなる!
次は絶対に暴走なんかしない!みんなを守る為にも!」
仲間たちは笑い、自然と円になった。
太陽は昇り、金色の光がチェルの頬を照らす。
それは確かに仲間の絆を強くした朝だった。




