【天然危険物】AI文士の何が〝悪い〟のか
僕は無断機械学習している生成AIには明確に反対の立場で、そのユーザーも含めて醜悪とさえ思っています。
なので、このエッセイではそれらを論外とし、〝たとえ完全オプトインのクリーンな生成AIだとしても〟という前提で語っています。
なお『AI文士の脅威と共存の可能性』も併せてお読みいただけたら幸いです。
黒崎 「ども。GoogleのAIでエッセイストと紹介されたことがある素人物書きの黒崎です」
チロン 「そんな御主人のヤバげな妄想が生み出したイマジナリー狐っ娘メカ女児、チロンちゃんなのです」
黒 「今回は前作『AI文士の脅威と共存の可能性』をもとに、もうひと掘りしてみようかと」
チ 「りょ」
【AI文士の何が〝悪い〟のか】
黒 「AI文士問題の議論をながめてると、よく〝何がダメなん?〟的な意見を目にする」
チ 「前も言ってた、面白ければ作者が人間だろうがAIだろうが構わない派の人っぽいですね」
黒 「だろうな。でなきゃ、そんな疑問は抱くまい。前回〝AI文士の脅威の本質は作品の質ではなく量──すなわち比較的簡単に大量生産できてしまうことにある〟旨を指摘し、その理由も説明したけど、たぶん彼らは納得しないだろうね。よしんばロジックとして理解はできたとしても」
チ 「まるで理解すらできないような口ぶりにシビれつつ草ボーボーなのですw」
黒 「言っちゃ悪いけど、別にAIでもいいし派が賢明な消費者とは思えないからなぁ」
チ 「おー、これはなかなかの爆弾発言。勇んでパワーアップしすぎて思わず焼身自殺しちゃうボンバーマンじみた火力なのです」
黒 「けどさ、人並みの思慮があるなら、ポン出しAI文士は蝗害みたいなものだって気付くと思わないか?」
チ 「農作物を食い尽くすイナゴ、ですか」
黒 「ああ。小説界の限られた資源と機会を食い潰しかねない存在だからね」
チ 「んー……言わんとしてることは、なんとなく解るのですが、もうちょい詳しく解説プリーズ」
黒 「ここでいう資源とは、小説投稿サイトや賞レースがさばける作品数の許容量。
機会とは、読者に作品を見つけてもらえる可能性のことだよ」
チ 「あうー……かえって謎めいたのです。さばける作品数の許容量って、どーゆーこと?」
黒 「たとえば、誰か一人が小説投稿サイトに毎日大量の投稿をしたら、新着情報や更新情報がその人だらけになって、他の人が締め出されるだろ?
あるいは賞レースの場合、想定をはるかに超える応募数になったら限られた人手じゃ対応しきれず、選考の質が落ちるおそれがある。1次選考ではタイトルとあらすじだけで〝足切り〟する、なんてことにもなりかねないからね。
さばける許容量を食い潰すとは、そういうこと」
チ 「むー。解ったのか解らないのかよく解らないけど、とりま解ったことにするのです」
黒 「ま、とにかくAI文士による大量投稿は他の作者にとって大迷惑だってことさ」
チ 「でも、集中的な大量投稿で新着情報を占有しようとする人って、前からいましたよね。AI文士に限った話ではないのでは?」
黒 「ネットでもそういう反論がみられるが、生文士とポン出しAI文士とじゃ、単位時間あたりの作業量とその持続力が圧倒的に違うわな」
チ 「あう……言われてみれば、たしかに」
黒 「人間の場合、毎日多数の投稿をするには一定量を書きためておく必要があろう。だから、いずれは弾切れになり、再び書きためるまでインターバルが生じる。が、AI文士にはそれが無い。
しかも、ちょっと勉強すれば誰でも簡単にそこそこのAI文士になれてしまう。
さらに専門知識を身につければ、自動的に小説を合成・投稿し続けるシステムを構築することさえできるんだよ。
チ 「そんなことが可能なのです?」
黒 「ああ。技術的には大して難しいことじゃない。極端な話、相応の投資をすれば、毎日1万本の短編小説を投稿し続けることだってできてしまう」
チ 「まじですか。それは驚異のメカニズムでお馴染みのジオンさんもビックリなのです」
黒 「実際、すでに1日100本以上投稿するAI文士が現れてるよ」
チ 「ひやー、なにやら終わりの始まり感があるのです。ちょっと怖いのです。
でも、生成AIは長編小説が苦手なんて話も聞きますし、もしかしたら思ってるほどの脅威ではないのかも──なんて希望的観測にすがってみたり」
黒 「今の生成AIは作業指示の実行に要する作業記憶に限界があるため、長編小説を合成させるとストーリーが破綻しがちなのは確かだ。が、その程度の問題はいずれ克服されるだろう。それに真の脅威は別にある」
チ 「さらにヤバヤバなことが?」
黒 「ああ。最大の脅威は、小説の大量合成と投稿を自動的におこなう〝AI文士bot〟がバラまかれることだ。これは決して恐怖を煽る陰謀論なんかじゃなく、明日にでも起こるかもしれない災厄なんだよ。
無数のAI文士が毎日膨大な量の小説を投稿し続けるとか、考えただけでゾッとするわな」
チ 「むー……それってば隣のゴミ屋敷から押し寄せてくる大量のコバエなみにウザいのです」
【「でも合法だから」というサイコパシー】
チ 「だが、しかし! ここで聡明なボク様は気付いてしまったのです。生成物の著作権侵害とかの問題はさておき、ポン出しAI文士さん自体は違法ではないのだ! と」
黒 「だから?」
チ 「あやや、予想外の塩対応。お味噌汁なら即死レベルの塩分濃度なのです」
黒 「〝でも生成AIは合法だから〟系のサイコパシーな御高説は、飽きるほど見てきたからなぁ」
チ 「うわー、ボク様ってば有象無象の一人にすぎなかったと? 驚愕の真実に刻の涙を見ること必至なのです。
にしても御主人、さすがにサイコパス扱いは酷くないです?」
黒 「まぁ一応、論拠はあるんだけどね。一部メディアで報道されたから知ってる人も多いだろうけど、カリフォルニア大学の研究チームが次のようなレポートを発表したんだ」
〈生成AIを頻繁に利用する人は自己愛症や権謀術数主義、精神病質といった性格特性である「ダークトライアド」を持つ傾向が強い〉
チ 「おー。これはなかなか破壊力高めな研究報告なのです。……ところでマキャべリズムって何物?」
黒 「目的のためなら手段を選ばず、平気で人を欺きもする思考のこと。独りよがりな権威主義さ。
ちなみにダークトライアドは直訳すると〝闇の性質〟。意訳するなら〝社会不適合者の特性〟かな」
チ 「ふむふむ」
黒 「いわゆるAIブロスにみられがちな承認欲求の強さは自己愛の、自分たちに批判的な人を反AIと呼んで見下す高慢さは権威主義のあらわれとみれば、なるほどなって感じがしないか?」
チ 「ですね」
黒 「件のレポートを〝サンプル数が少ない〟と批判する人もいるけれど、少ないサンプル数で有意な傾向がみられた事実は、それが広く蔓延してるかもしれないことを示唆する。つまり──」
チ 「事態は予想以上に深刻かも、なのですね」
黒 「ああ。事実、AI愛好家にありがちな〝合法だから問題ない〟という態度は、マキャベリズムそのものと言えるわけだし」
チ 「てことは〝AI文士の何がダメなの?〝とか〝生成AIは合法だから〟とか脊髄反射で言っちゃう人は──」
黒 「ま、そういうことさな」
チ 「だとしたら、リソースとチャンスの食いつぶし問題を指摘しても、それがどうしたって平気で言いそうですよね……」
黒 「生成AIがらみの懸念って、だいたいの場合、根底にあるのは個人の社会性の問題なのよ。
たとえば、誰かが自分一人のためだけに新幹線の指定席を全部買いしめたら、他の人はそこに乗れなくなってしまうだろ? それって違法ではないけど傍迷惑だわな。
どうしても独りじめしたいなら、定期便とは別の貸切便を仕立てるのが最善。そうするのが社会性ってものさね。
〝合法なら何をしてもいい〟と思ってる時点でサイコパスまっしぐら。少なくとも世間様から〝そういう目〟でみられてるってことは、自覚したほうがいいと思うね。
生成AIがいまいち社会に受け容れられない最大の原因は、他ならぬユーザーの民度の低さなのだから」
【まとめ】
黒 「いつかクリーンかつ高性能な生成AIがあらわれたなら、それを使うAI文士やAI絵師を批判するつもりはさらさら無い。てか僕様も使う。
さりとて同好の士への最低限のモラルは、ゆめゆめ忘れないでほしい。
〈度し難い物量作戦はひかえる〉
求められるのは、たったそれだけの簡単なこと。
無論、これはAIブロスだけでなく、全ての〝表現者〟が持つべき品性だと思う」
チ 「ここまで言われてもなお〝いや、マナー厨とかウザいんですけど〟なんて思うなら、素晴らしく極まったゲスさんのレッテルが似合うのです。あとベッキーとか好きそうなのです」
黒 「……ネタ古くね?」
──終劇──
【参考資料】
◆liebertpub.com/Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking(Evaluating Artificial Intelligence Use and Its Psychological Correlates via Months of Web-Browsing Data)
◆psypost.org/Most people rarely use AI, and dark personality traits predict who uses it more
お読みいただき、ありがとうございます。
多少なりとも興味深いとか面白いとか思ってもらえたなら、☆をポチってもらえると嬉しいです。
もちろん1個でもありがたや。
でもって、ついでに他の拙作もサクッと読んでみてほしいのであります。
く(`・ω・´)
◆ ◆ ◆
頂戴した感想には必ず目を通しますが、レスバは本意ではなく、また全員にレスすることが難しい場合もありますので、原則として返答はしません。
ごめんなさい。
では、また。
いつか、どこかで──




