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僕と宇宙旅行

作者: 木田 梅子

僕は今、太陽という一見メラメラした星に買い物に来ている。

この星に買い物に来れることを知っている者は、ぼくの星ではとても少ないと思う。

今、僕の星地球では宇宙船と言うものは沢山ある。

1番安いのは、風船みたいにふくらまして乗る宇宙船で、これは体力と忍耐力が必要だから、あまり実用的ではないと思うが販売している。

でも、購入している人は見たことがない。

高いのは知っての通り、機能も乗りごこちも大きさなど、限りがない。

僕はある時、鉛筆型の宇宙船を見つけてから、それが欲しいと思っていた。

1人乗りで荷物も乗るし、軽量でいて無駄がない。

僕はそれをクリスマスの日にセール品で見つけたので、その日、しばらく購入するかとても悩んでいたけれど、結局今が買い時と思ったので購入した。

もう2年近く乗っている。

宇宙船は、さっき言った風船みたいなものでも宇宙で壊れてもさほど人体に影響がないため、ぼくの星ではメンテナンス義務はない。

宇宙船が宇宙で壊れても、「死ぬ」なんて事は絶対にないからね。

人の方も進んでいるんだ。

ぴったりした防護服に顔の隠れるヘルメットがあれば十分だ。

話は戻るが、ぼくが太陽に買い物に行くようになってからと言うもの、僕の宇宙船はいつでも万全な状態でいて、外観も汚れている事はなく、とても美しい状態でいる。

太陽という星で生きる者たちが、これまた几帳面な者たちで、買い物している間にメンテナンスなどしてくれている。

この星の全てのものはピカピカで、古きものも古くなく、いつまでも新品のように美しい。

どんなものでも大切に大切に使用しているのだ。

対価を求めることもなく、少しの汚れでも気づいたものが美しくしていく。

だからなのか、ここの者たちは心も行動も明るく美しい。

僕は一度目で太陽という星の虜になってしまった。

この星は、外から見ればメラメラと、とても熱い熱を発しているように見える。

だが、みんなそこに騙されている。

思い込みは可能性を狭める。

と、ここに来た僕だからこそ言えてしまう。

みせかけとまでは言わないが、表向きはメラメラと熱い、という防御網を張っているだけで、中はとても快適だ。

入り口は、ここに来る数少ない宇宙の(かた)から教えてもらった。

遠くから見ると小さな黒い点も、近づけば大きく開いてトンネルの様に通ることができる。

そこを通ってしまえば、あとはどこの星とも変わらない。食べ物も飲み物も、太陽の方々も心優しく、住み心地抜群だ。

将来を考えたらここは住むにはとてもいいと思う。

だがまだまだ、僕個人はここに住むには早すぎると思っている。

僕の鉛筆型宇宙船に、ここで買った荷物を積み込み、僕は太陽をでてある星に向かった。

次に向かう星は、まさかあんなところに!って思われている星で、きっと誰も行ける事を知らない。

僕は当時、レンタルした宇宙船に乗って初フライトした時、宇宙船との意思疎通が出来なくてこの星に連れてこられた。

その時は、正直生きた心地がしなかった。

今でも、人は入れないとされている星だから、正直命が終わったと思ったけれど、そんな事はなかった。僕の命を張った間違いが、一歩先をいった瞬間だった。

今では、そのレンタル業者に感謝しているくらいだ。

もちろん、意思疎通が出来なかったから、宇宙船の記録はめちゃめちゃで、おかげで費用も安く済んだ。

無料にしてもいい案件だとは思ったけれど、この星のことを考えると、僕はそれ以上何も言わないほうが自分の為だと思った。

僕はこれからも、もっといい旅がしたいからね。

これから向かう星は一般的には、ガス溜まりのとてもひどい所とされている星で、生き物は住めないとされている所だ。

太陽もそうだが、僕は見えるところが全てではない、ということを教えないが、心の奥底では教えてあげたいと思っている。

と、たまたまみつけた僕が言うのもおかしいな。

ここもまた、ガス溜まりと言われる空間は、確かにそうだが、太陽と同様にトンネルがある。そのトンネルの先には、それはそれは素晴らしい景色が広がる世界になっている。

この星はガスで埋め尽くされているが、実は水がとても豊で、この星の者達は水の中で生活している。

ここはガスで有名だが、実際は水の星で、水の中が生活領域なのだ。

でも、水といっても地球で馴染みのある水とは違う。ひとつの空間である水は想像の域を超える。水ではあるが水ではなく、柔らかい物質の様で空間でもある。

歩くことも泳ぐことも、話す事も走る事も寝る事も、なんでも出来る。

そして、火は無いが熱がある。と、言ったところだ。想像するには難しいとおもう。

僕はここで欲しいものがある。

前回来た時に頼んでおいたものだ。

クリアなガラスのように見えるが、それはとても強くて硬い。僕は鉛筆型宇宙船のフロント部分に、より強固なカバーとして付けようと思っている。

本当に、この水の世界だからこその美しい製品だ。

それに、ある人たちへのプレゼントも頼んである。

ひとまず宇宙船を、馴染みのものに預けてその場所に向かった。

この星は水の世界だけども、酸素付きの防護服なんてものもいらないから、ものすごく歩きやすい。酸素も豊富で歩いても走っても疲れない。

だから無茶苦茶遠い場所でも、ほんの数分で体も軽く着いてしまう。

「旦那!!そこまでですやい。わしっとこですやい」

この星の錬金術師だ。

「注文したものはできているかい?」

すると彼は作業しながら、左手を顔の前で何かをつまむような仕草をしたかと思うと、徐にそれを左に引いた。

すると、フワーッと店主の元まで流れてきて、お願いしてあった製品が目の前に現れた。

品物を包み込む水の先端はグミのような紐になっている。

僕は太陽で買った真っ白な鉱物と地球の石を対価に渡すと、そのままその紐を引っ張って自分の宇宙船まで戻った。

こんな一見重そうな荷物も、なんてことなく運ぶことができるこの星は、なんてすばらしい。

商品の周りを覆う水のベールを破り、すぐに宇宙船に取り付けた。

宇宙船の先端に、光沢のある、より強固なカバーがついた。

僕の船が格好良くなった。

そうして、カバーと一緒に購入した物を宇宙船に積み込み、僕は気分上々で、地球に戻ることにした。

小さな宇宙船だけど、タイムワープ機能がついている。

クリスマスにナイスな商品を出してくれたと、僕は心から感謝したい。

「いざ!地球に帰還しゅる!」

ちょっときいおい余って噛んでしまったが、早帰りのボタンをポチッと押した。

これ使うと本当にあっという間。

外は歪んだ世界だが、宇宙船の中にいれば何の問題もない。

居眠りしてる間には、青く美しい我が地球がみえてくる。

こっくりこっくりしていると、視野の許容範囲を超えて、青く美しい星が現れた。

「あぁ、美しき我が祖球。さぁ、ここからが仕事だ」

僕は地球にむかって、鉛筆号を刺すように入球。

無事に地上まで辿り着くと、今度は仕事だ。

赤道に沿って、水の星で買った塊を、等間隔で地球一周ぐるりと埋めていく。

大変な作業だが、世界のお偉いさんたちには内緒だが、ちょっとびっくりな幸せの魔法だから頑張らないと。

太陽へ行った時、宇宙で宇宙船が壊れたとしても、死ぬことはないと言っていたけれども、地球の中では死ぬことがある。

それは戦争だ。

時代は進化してもまだまだ宇宙から見ればアナログだ。

自分たちは発展していると勘違いしている。

命を軽視している時点で、まだまだアナログな世界だと、恥ずかしく思って欲しいものだ。

僕は宇宙を見て来ているから正直恥ずかしい。

だから、僕が太陽や水の星に行くことができたことは、何かの使命なんじゃないかとおもう。

僕は塊を全て埋め終わると、太陽で購入した太陽の粉。それを世界中の海にまいた。

ひと通りの作業を終えると、家に向かった。

宇宙船を車庫に入れると、相棒にカバーを掛けた。そして僕は、久しぶりの我が家にて宇宙帰還用のカプセルベッドで就寝した。

2日目の昼に僕は目が覚めた。

頭を掻きながら、ベッドから降り、ぼーっとしながらテレビをつけた。

「戦闘が行われていた爆撃が、不思議な水の出現によって戦闘不能となっています。

また、戦争していた国同士、または世界各国の各地で、皆が手を繋ぎ、喜びあっている姿があちらこちらで見受けられます。どうしたことでしょうか。」

僕は嬉しかった。

違うチャンネルにかえてみると、

「各地の病院から、沢山の患者が退院して来ます」

僕は嬉しくて、クルクル回った。

寝起きだからバランスがつかめないので、あちらこちらにぶつかったりしたけれど、いつまでも嬉しくて笑った。

「さぁ、地球もまた、ここからだ。青く美しい地球は、外も中も美しくあれ。そして人々が楽しく笑って暮らせる平和な星に進む為に、今度は何をしてやろうかな。」

僕はテレビのスイッチを切って大きく背伸びをした。

太陽の粉には、人々に作用する平和を愛する不思議な力があり、水の塊は爆撃を無効にするだけではなく、頭から身体からすべて空に浮く様な感覚に包まれるほどの幸福感とリラックス力がある。

僕はこの地球が美しくあるために、他の星の力を借りて、ほかの星の者達の様に、この星の人々も美しくしようと思う。

僕はまた鉛筆号で宇宙へ飛び立つ。

僕なりの指名として。


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