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第5話

俺、狙井蓮(ねらいれん)をこの世界に召喚した青保留。

レグナによって現実世界に帰れない事が確定する。


「なんで俺を呼んじゃったの?」


人をコレ呼ばわり、召喚場所を遠くにする。

人を呼ぶ気全くなさそうに思えてしまう。

というかやっぱりまずマイホの貯メダル下ろしたい。


「……それはっ、貴方が偶然死んだからですっ!」


それが死者に言う台詞か?

俺だって死にたくて死んだ訳じゃない。

理不尽すぎるだろうその言い方は。

てか死んだ人間しか召喚できないの欠陥なのでは。


「生きた人間を召喚できないのかよ……」


「それが出来るなら苦労はしませんわよ」


これはもうダメだな。帰れないのが確定された。

いやまてよ? 百%はあり得ないんじゃないか?


どんな台でも当選濃厚とまでしか明記されないはず。

確定というのは決めれないはずだ。


つまり、何か別の方法がある?

可能性があるなら、

賭けてみる価値は大いにあるだろう。


賭け事はした事ないが、俺もプロだ。

やってみせようじゃないか。


「じゃあもう君には別の人を召喚してもらって、

俺はこの世界で自由に立ち回るって事でいいか?」


我ながら名案だと思う。

人をコレ呼ばわりする奴彼女にとって、最善だろう。

俺だって性格の悪い奴と一緒にいたくはないからな。


しかし、レグナはそうもいかないようだ。

肩をワナワナと震わせ、唇を噛み締めている。


「…………なんですの」


声小さすぎて何も聞き取れなかった。


「なんて?」


「ですからっ! 召喚は!

一度きりの魔法なんですのっ!」


屈辱だ、と言わんばかりに声を荒げるレグナ。

そんなに俺を召喚したの後悔してるのか。

なんか結構酷いな。


「え。じゃあなに?

俺が何かしないといけないの?」


面倒臭いことこのうえない。


レグナも凄い嫌そうにしているし、

これもう無かった事にするのが一番いいのでは?


「……くぅっ。そうですわ、狙井蓮!

貴方の力でこのパラクステリアを救って下さいな!」


しかし彼女は色々と諦めてしまったようだ。

人の事を指さして、そう言い放った。


俺は目を細めて、

彼女の言動を思い返しながら考える素振りをする。


「嫌だ」


素振りをしただけで、実際何も考えていない。


思い返すも何も、出会いからここまでの気分が

設定一のグラフよりも下回っているので、

彼女の願いなんて聞ける筈もない。


「ゆ、勇者よ。今一度私からも頼む。

どうかこの国を救ってはくれまいか!」


事の顛末を見守っていた店長のオーフェルも、

俺に対して頭を下げた。


これが人にものを頼むときの態度というのだろうな。

社会人はこれを当たり前のようにするから、

俺は好きになれなかった。


「ほらほら、

レグナさんも言う事があるんじゃないですか?」


しかし、

今この場に限っては俺は頭を下げられる側だ。


そもそも俺が協力する前提で、

召喚したのが間違いなんだ。厄介ごとは御免だからな。

少なくともレグナは、

俺に頭を下げる筆頭ではないだろうか?


彼女は頭を下げる店長の姿を見て、更に肩を震わせる。

女王みたいにお嬢様みたいな喋り方をするもんだから、

プライドがそっちの方向にいっているのだろうか。



「勇者よ。レグナに召喚を頼んだのは私なのだ。

勝手な事をして済まない。

しかし、それだけこの国は危機に瀕しているのだ」


店長は頭を下げながら、声を少し震わせる。


「お父様……」


そんな姿を見て、レグナは俯いてしまう。

このままだと、

俺が悪者みたいにみえてしまうのではないか?

というか、今も店員達の視線が痛い。


このままこれを無視してしまえば、

俺は出禁になる事間違い無いだろう。

帰れないと分かった以上やる事もないのも事実だ。


「……まあ、うん。わかったよ」


俺のその言葉を聞いてか、

店長は頭を上げて喜びを露わにした。


「おぉっ。やってくださるか!」


あれだけ頼まれては、断る方が難しいものだ。

まあ、俺が全力で拒否するのは、

借金の保証人くらいのものだからな。あれはダメだ。


ざっと一億クラウン。集めてやろうじゃないか。

メダル換算で必要な枚数を教えて欲しいもんだが。


「じゃあまず、この近場にパチンコ屋ある?」


俺のやり方でいいなら、

勝率は高い方で稼がせてもらおう。


「ぱち、んこ……?」


レグナは首を傾げる。

店長といい、

なんでパチンコ屋を知らないんだろうか。

名前くらいは知っててもいいだろ、周年があるのに。


「……勇者よ、お主の言うパチンコというのは、

恐らくこの国には存在しないものだぞ?」


どうやらこの国はここまでのようだ。

俺を召喚したのが運の尽きだよ。

あとは滅びゆくこの国の行く末を見守って、

帰る方法を探そう!


「マジで言ってるのか」


そんな冗談を、今度は本当に考えながらボヤいた。

どうすりゃいいの?


俺十年以上パチンコ屋にしかいないから、

国の発展とか、

経済とか何も思い浮かばないんですけど。


「それは一体なんです?」


「えー。ほらあれだよ。

銀の玉飛ばしたり、ボタンでリール止めたり」


そもそもの話。

パチンコ屋という存在がないんだろう?

それを知らない人にどう教えればいいんだ。


遊び方ならいざ知らず、

その存在そのものを教えるってとんでもないぞ。


ていうか、

この国ってパチンコ屋ないなら何して暮らしてるの?


俺にはそれ以外の生活とか考えられないからか、

特にわからないんだが。


「この国に娯楽ってないの?」


「娯楽……。なんでしょう、竜狩り……?」


とんでもない娯楽文化だ。

俺もこの世界に来た時恐竜に襲われたが、

あれってもしかして人間のせいなのか。

そういう文化のせいだよな?


まだパチンコ、スロットの方がまだ健全だろうな。

しかしそこで俺は閃く。娯楽がない、ということは。


「……作ればいいのでは? パチンコ店」


ふと、思い立ってしまった。

昔の人は、

パンがないならお菓子を食べればいいと言っていた。


それなら、

パチンコ屋がないなら作ればいいのではと思い付いた。


簡単な事ではないとはわかっている。

遊戯として俺は十年以上遊んではいるが、

作るとなると話は別。


しかし、だ。


ここは別世界。何がいいたいかと言うとつまり。

()()()()()()()()()()()()

俺の住む世界では、

パチンコ店は色々と法の規制が多く存在する。


それには過去の事件だったり、

まあ複雑な事情があるわけだが。


この国に限って言えば、

まだその規則すら存在していない。


それならば、

自分で考えたパチンコ店を作れるということだろう。

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