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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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被爆4世、白日夢

作者: 藤秋治

やはり再会は無いか。もっと国のために勇敢に死ねたら会えただろうか、今となっては無意味だ。

戦争で死ぬなら銃での自殺を選んだ。見て、家族の楽しそうな顔。お母さん1番笑っている。私の死を、もうじきにあなたも同じ運命を辿るに決まっていますが、見届けください。戦時中というのもあり、贅沢が何もない、水のような雑炊など、食事とは楽しくないものである。しかしながら、私たちは種々様々な果物が買えた。何故か、それは単純だ、金銭の計画を打ち切ったからだ。これには祖父母も納得でした。私たちの国は旗色がかなり悪く、敗戦濃厚、いや確定か。このまま得体の知れない国に犯されるより、自分らで選ぶ死が最も信頼に値するのだ。そんなこんなで、ありったけのご馳走を貼り付けた笑顔で味わった。味は、美味しかった気がする。目から垂れてきた透明の粒のせいで味が霞んだ。もう、何もないのだ。生きる意味も、希望も。そして、私たちは現世を諦めた。最後は家族全員で街を徘徊し、基地外と化し、射殺されるため演じた。軍人から銃を奪い取りお互いに殺し合うのが信頼に値した。刑務所に入ったりなんかしたら最悪だ。そこで、軍人に飛び掛かるやいなや兄と母が撃たれた。そして私が銃を奪い取ることに成功し、軍人、祖父母、父を撃ち殺した。もう、私は落ち着いていた。5つの死体が満面の笑みで地に這いつくばっているように見えた。頭蓋から液体を美しく、地面に広げている、アートそのものである。兄は少し怖かったのか、直前手で頭を抑えていたため、指が吹き飛んでアスファルトに1本ほど指が落ちていた。後の指は知らない、死体は物と変わりはない、たまたま笑顔に見えたり、悲しそうに見えるだけだ。雲を見て、猫のようだ、文字みたいだ、と何ら変わらない。しかしながら、軍人から銃を奪い取るまではひどく怖しかった。さっさと殺して欲しかった、射殺の警告をされるたび生きたいと願ってしまうからだ。ただ、生きていてどうするのだ、気力も余力もないではないか。だからいいんだ、これで良かったんだ。こうして私は15でこの生を終えた。決着をつけた美しい人生であった。心残りは家族ともっと楽しんでみたかった、戦争のせいで全てが消えてしまった。私を愛してくれた人達よ、荼毘に付してはもう会えないだろうけど、私も愛しておりました。最高の日々を送りたかったです。デハ、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

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