怪談会
「おそいぞ~」
「みんなにシェイクのお土産だよん♪ 条くんがごちってくれた」
「おお、さんきゅ♪」
おにいちゃんは自他ともに認めるマック好きだ
「ほら、豚汁あっためたよ」
「さんきゅ♪マミたん」
「ん~おにいちゃんのおにぎり神!!! なにこの美味しさっ」
「大袈裟だな(笑)でも嬉しい。たくさん食べて」
相変わらず慈悲深い微笑み
「ひろちゃん、条くん、おいぴいね~♪」
「よかったね。安藤、このホタテも旨いよ」
「魚屋のだぁーちゃんがくれたのよ。いいホタテが入ったって」
だぁーちゃんはおにいちゃんの釣り友だちで魚屋さんをやっている
「ハンバーグも唐揚げも美味しい♪」
「チカたん、豚汁旨いよ」
やったぁ♪ ひろちゃんが褒めてくれたっ
「チカはスープ類全般、ハズレなしよ」とマミ
私達はわいわいお喋りしながら主食を平らげるとマミが紅茶を淹れてくれる
「さてと…腹もふくれたことだし、そろそろはじめますか」
おにいちゃんのひと言を皮切りに楽しい伝説&怪談会がはじまった
※
「じゃあ俺から…チカたんの好きな伝説をひとつ…」
「おにいちゃんっ! ヴ、ヴァンパイアだねっ」
「そうだよ…時代は中世…昔とても残酷なVampireの伯爵がいたんだ」
「愛する妻には優しいけど使い魔にもひどくてね…ある公爵が大事にしていた使い魔のチュパカブラが彼の馬車に誤ってぶつかってしまったんだ」
「チュパカブラといっても世間で云われている風貌じゃなくふわふわしてぬいぐるみみたいな可愛くてお利口さんな子だった」
「けれど情のない伯爵は自分の馬車にぶつかったことに腹を立ててその子を殺めてしまったんだよ」
「ひどい…」
「可愛がっていた公爵は嘆き悲しんでVampireの長老に話してその子を蘇生してもらったんだ。
その事件が発端となりあまりに傍若無人な伯爵の振る舞いは長老や大魔王達の怒りを買い彼が大切にしていた愛妻を捉えて百年間、悪魔に犯し続けさせた
冷酷で残忍だった伯爵は愛する妻が泣きながら犯されるのを瞳が真っ赤になるほど泣きわめいて長老に許しを請うが
なら、お前は今まで何の罪もない者達が命乞いをしても見逃してやったと言うのか?
己の身勝手な残忍さがどれほど罪深く残酷なのか愛する妻の姿を見て悔い改めるがいい…と長老に言われ百年後…
妻は解放されたが苦しみと悲しみでルビーのように真紅に染まってしまった彼の瞳は元には戻らず、彼は心底反省し、今まで傷付けた者たちに謝罪して己を悔い改め、それ以来別人のように使い魔や自分より弱い立場の者達を大切にするようになって優しい伯爵になり愛妻とおだやかに暮らしたんだ」
伝説に詳しいおにいちゃんはその後も切なく悲しい話やハッピーエンドの伝説の数々、恐ろしいいわくつきの宝石の伝説を語ってくれた
そしてドSキングのひろちゃんは…
「ではぼくはチカたんの好きなハーキーマーダイヤの話をしよう…」
とても切ないハーキーマー侯爵の伝説に私は深く感動し、ひろちゃんから以前頂いたハーキーマーがますます輝いて思えて大切にしようと改めて思ってしまった
そしてひろちゃんが子供の頃から今までに体験した怖すぎる実話怪談は悲鳴をあげずにいられなかった
条くんはお雛様や人形に纏わる上質な実話体験怪談の数々やゾクリとする伝説や楽しい妖精の話を語り
怪談クイーンのマミは語りの上手さで周りの空気を凍てつかせた
そして私の怪談はなぜかみんなに笑われ癒しになってしまった(笑)
次から次へと語られる伝説と怪談は飽きることなくまるで不思議な異空間に迷い込んだように楽しかった
「なんか小腹空かない?」
「おにぎりの残りがあるわよ」とおにいちゃん
マミに聞いたらゲイではないがおにいちゃんは小さい頃から日舞を習っていたせいかお姉言葉が口癖らしいのだ
「じゃ、俺達、コンビニでおでんと肉まん買ってくるよ」
ひろちゃんと条くんが熱々の肉まんとおでんを買って来てくれて夜食をとりながら深夜の1時から第二部が開幕
明け方まで続いた怪談会は大いに盛り上がり日曜の午後にお開きとなりランチに私とマミがドライカレーを作って皆で食べながら和気あいあい
「チカたんの怪談、ぜんぜん怖くなくて面白かったよ」
「条くんひどい~。でも私、怪談語るの下手なんだよね~」
「だってさ、六つ子が次から次に開けていくトイレに入ってたってギャグだよな~」
とドSキング様
「ふふ、怖さが和らいで良かったわよ」とおにいちゃん
「しかしマミちゃんの怪談は上質だね」
「うんうん、僕ももっと聞きたい」
「語っている姿がなんともグログロしてホラーだね」とおにいちゃん
するとマミは突然白眼をひん剥いてサムライミ監督の「死霊のはらわた」の真似をし出した
マミのお得意ネタである
「ちよ、怖いって! やめてよ~」と半べそで逃げまわる条くんを追いかけまわすマミ
ニヤニヤ傍観するひろちゃんとおにいちゃん
大いに楽しんだ私達は週末は集まってホラー観たり怪談会をしようと約束し夜の20時に解散した
※
「あ~楽しかった♪」
後片付けをしながらご機嫌に喜んでいる私を優しく見つめるマミ
「私も♪よかったねチカ。毎週ひろちゃんに会えるし楽しみが出来たじゃん」
「ほんとほんと~♪ あ、でもさ、おにいちゃんと二人っきりになれないね」
私の言葉にマミはニヤニヤしながら
「大丈夫よ。毎日会ってるから」
「へ? いつ?」
「あんたが寝た後で。チカは一度寝ると起きないイイ子ちゃんだから」
ウインクしながらそう言うマミに私はポカンとしながらも笑ってしまう
「もお! 知らなかった~。ねえ…ひょっとして…あのう…二人はもう…あるの?」
「何言ってるの、私は清らかな乙女よ~もう妖精になれるね」
笑いながらはぐらかすマミを問い詰めると…
とっくに心も身体も結ばれたそうだ
しかも相性もいいらしい
本当にマミは隠すのが上手い秘密主義だ
「あはは~そんな顔しないの。でもチカちゃんや、もしひろちゃんとそういう関係になったら私に言うのよ」
「うん! そうなったら絶対話す。聞いてほしいもん…アドバイスもしてほしいし」
「よしよし…ママは楽しみにしているからね」
「はいママ♪」
マミに頭をナデナデされ冷凍庫から出したチョコバッキーにはくつきながら私達は深夜まで恋バナに花を咲かせた
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