表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

お叱りを受けました

鎌倉駅に着いた私はひとりでぼんやり青空を眺めていた


う~ん


両手をあげて大きく伸びをする


神奈川って空気が美味しいな


空の色まで違うような気がする


なんか落ち着くな…


「チカたん、ごめん。待ったかい?」


ひろちゃんと片割れの双子の条くんがニコニコしながら待ち合わせの改札口まで迎えに来てくれた


わ、条くんもイケメン♪ 私ってば両手に花ならぬ薔薇だわ



くっくっく…


「ひろくん、失礼だよ。でも、ぷっ、チカたんって面白いね~あはは」


優しくウケる条くんはひろちゃんの棘をぬいたような柔らかで優しい感じがする


「サボテンかよ(笑)」


あ、また読まれた。てかウケてるし


「では参りましょうか。お姫様」


イケメンな二人の王子様にエスコートされ彼らの自宅へ向かう


3LDKのマンションのドアを開けると…


わんわん♪わ~ん


ポチとチポが玄関まで走って来てお出迎えしてくれた


相変わらず可憐過ぎる!!



わん…



背後で座ったまま尻尾を振って優しそうに微笑んでいる?ように見える老犬ジョン万次郎さんに気付く


大きくて茶色の綺麗な毛並みにひろちゃんと条くんの愛情を感じる


「ブラッシングしてるからね。ジョン、チカたんだよ。よろしくな」



私は敬意を表して会釈をしながら挨拶した



「はじめまして。中村チカです。ジョン万次郎さん、会えて嬉しいな」



すると…彼は私の顔をじいっと見つめて…わん♪



「撫でても平気かな?」


「ジョン、チカたんが撫でたいって。いいかい?」


条くんが聞いてくれるとジョンさんは尻尾をブンブンと振ってくれた


「いいってさ」ひろちゃんにも言われて安心して私はしゃがんで怖がらせないように話しかけながらジョンさんの肩を優しく撫でた


ひろちゃんから犬はいきなり頭を撫でられると怖くて威嚇する子もいると聞いていたのでさっそく実践だ


わん♪ ジョンさんに伝わってくれたのか…優しくその手をペロペロしてくれる


「舐めてくれたよ♪お友だちになれるかな?」


「いらっしゃい。よろしくねって言ってるよ」と条くんがジョン万次郎さんの言葉を訳してくれる


「こいつ、動物の言葉がわかるんだ。俺もだけど(笑)」


「いいなぁ。わんちゃんとどんなこと話すの?」


「犬は犬と暮らしている人の匂いがわかるみたいでね…、あれは八月だったかな。夕方散歩してたら散歩中のチワワが話しかけてきて…

わんわん。あなたには犬飼いの匂いがします。犬種はなんですか?って聞かれて…」


「うんうん」


「ヨークシャテリアとゴールデンレトリバーだよって言ったら嬉しそうに尻尾振ってたからいろんな世間話してきたよ」


「世間話って?」


「最近の夏は暑くていやですね。朝の散歩は地面の熱が伝わって暑くて辛いんですけどご主人がわかってくれなくて足が熱いんです…って困ってた」


「そうか、わんちゃんは地面に近いからアスファルトがもろに照り付けて人間より温度も高くなるのね」


「そうそう、でさ 僕がその子と話し込んでるのを不思議そうに見ていた飼い主に言ったんだ。真夏の明るい時間に散歩させたらアスファルトで火傷しますよ。

犬はぼく達より下を歩いているからもろに地面の照り付けが来て辛いんだって言ってますって」


「それで?」


「首傾げながらはぁ?って何言ってんだこいつ、みたいな態度だったから…嘘だと思うんならその子の足の裏、触ってみて、熱いでしょ、苦しくてハアハア言ってるし…

あなた、殺したいの?犬は地面に近いから辛いんだよ。

夏の散歩は早朝か涼しくなってきた夕方過ぎにしてあげないと…って注意したら飼い主が焦ってその子の足を見て慌てて抱き上げるとそそくさ帰って行ったよ」


「そうか…犬は喋れないから辛くても痛くてもわかってもらえないもんね」


「チカたん、お茶どうぞ」


条くんがアールグレイを淹れてくれた


「いい香り~ありがとう♪ そうそう、チーズケーキ焼いて来たの」


「おお、手作りケーキやった♪ 切ってくるね」


ひろちゃんが切り分けてお皿に出してくれる


ケーキを食べながら美味しい紅茶でまったりお喋り


なんて素敵なティータイムなのかしら…今度マミも誘ってみよう




「じゃ、約束のランチに麻婆豆腐作るね~」


「すごい! 麻婆豆腐?素とか使わないの?」条くんは無邪気に感動してくれる


「チッチッチ…そんなモノ不要なのだよ。待ってて、本格的な四川の麻婆豆腐作るからね」


「四川か…チカたん、僕、豆板醬多いと口の中が腫れるから入れ過ぎないでね」


とひろちゃんに言われたがつい本格派に拘り少しだけ辛みを控えてほぼいつも通りに作ってしまった


副菜に得意の揚げ物の春巻きもテーブルに並べる



「お待たせ~どうぞ♪」


「すげえ! 旨そう~」


二人とも感動しながら麻婆豆腐を口に運ぶと…


「美味しい、辛いけどチカたん、美味しいよ」と微笑む条くんはちょっと辛そう


どうしょう…やっぱり、辛すぎたのか…


「僕、いらない…」とムッとしながらひろちゃんはスプーンを置いて立ち上がり部屋を出て行く



え…?


予期せぬ展開に焦って後を追いかける


「ひろちゃん、待って…食べられないの? せっかく作ったのに…」


ひろちゃんは振り向くとキツイ眼差しで私を睨んだ


「確かに美味しいとは思うよ。でも僕言ったよね? 辛すぎると口が腫れるから気を付けてって…」


「あ、うん。言われた…」


確かに作る前に豆板醬を入れ過ぎないよう言われたのに…私は本格派に拘って加減しなかったんだ…ヤバイ…


「ごめん。ごめんなさい。つい本格的なのを作りたくてもっと少なくすればよかったね」


「いいよ。料理が自慢なんだろ? だからきみはどうしても四川の麻婆豆腐が作りたかったんだよな」


「ひろくん、チカたんが可哀想だよ。せっかく作ってくれたんだからさ…美味しいよ?」


「なら、お前が食べれば? 僕は外で食べるから」


ちょ、私の麻婆豆腐で喧嘩しないで~ど、どうしょう…謝らなくちゃ



「ごめんなさい、すぐに味、直すからちょっと待ってて。お願い」


「あんな辛いのどうやって? 不味かったら食べないよ…僕は不味いモノだけは食べたくないんだ」


「わかった、お願い。待っててね」


幸い、家庭風の味噌ベースの優しい味の麻婆豆腐も得意だったので私は速攻、キッチンに行き、水で薄めて鶏がら、味噌、酒、砂糖で味を直すと

子供の頃に母が作ってくれていた麻婆豆腐にカスタムして念のため、キッチンにひろちゃんを呼んで味見をしてもらった


「あ…美味しい。僕はこのほうが好きだな」


よかったぁ…食べてもらえる!


ほっとすると同時に泣けてきた


やだ、どうしょう…自分が悪いのに…


と、ひろちゃんに頭を撫でられる


「ごめん。泣かしちゃった…俺もキツく言い過ぎたよ…俺達ね、性欲とか女の見た目にうるさくない代わりにグルメで味にうるさいんだ。

せっかく作ってくれたのにごめんな…」


そんな風に謝られると切なくなる


「ううんうん、正直に言ってくれてよかったの。我慢して口に合わないモノ食べられより教えてもらったほうが美味しく食べてもらえるもん」


ひろちゃんは優しく微笑んでまたナデナデしてくれる


「いい子だね。きみ」



「ひろくんはキツいんだよ。チカたん、気にしないで。麻婆豆腐優しい味がする~僕もこれ好き♪ すっごく美味しいよ」と優しい気遣いをしてくれる条くんに癒されて心がポカポカ温まる


素敵な兄弟だなぁ


なんだかすごく居心地がいい…


二人に心を読まれたのか同時にニコニコと満面の笑みを返され私もテーブルにつくと麻婆豆腐と一緒に並べた緑豆春雨入りのササミの春巻きについて説明した


「具はササミと玉ねぎが入ってるの。酢醤油につけて食べてみて。カラシ入れるといいんだけど念のために別の小皿に絞ったから(笑)」


「わぁ~皮がパリッとして旨っ♪ササミの春巻き初めて~」


「サッパリして旨いよ~さっすが揚げ物クイーンだな」


「クイーン??」


「きみのフライは天下一品だからね」


ひろちゃんに褒められ条くんに喜んでもらえて私の食欲も回復し三人で楽しくランチを満喫した



ランチのあとはひろちゃんが旅好きで無計画に旅行に行き素泊まりでいろんな体験をしたことや山に入って綺麗な川に生まれたままの姿で泳いだこと


ひろちゃんと条くんはスタジオミュージシャンでひろちゃんが以前、フルハーモニー楽団と仕事をした時に地下のエレベーターで身も凍るような恐ろしい体験をしたことや昔、日本格にあったプールで小さい頃、謎の女性の幽霊にプールでバタ足の練習をしていたら話しかけられて足の立たない深いとこまで連れていかれて襲われそうになったことなど…怪談好きのマミが聞いたら感動しそうな上質な怖すぎる実話怪談の数々…


二人ともGが苦手で発見すると部屋に籠りジャンケンでどちらがスプレー片手にやっつけるか決めてることなど楽しいエピソードの数々に笑わされているうちにあっという間に時間が過ぎてしまった


帰りは二人して車で家まで送ってくれてとっても楽しいくて離れがたい気持ちになった


「送ってくれてありがとう。すっごく楽しかった」


「僕も楽しかったよ。今日は…ごめんな、これ」


ひろちゃんが板チョコがたくさん入ったレジ袋を渡してくれる


あ、さっきコンビニに寄ってたのって…


「好きだろ? 」


「これは僕から」


条くんは大量のポテチやクッキー、お煎餅、私とマミの好きなお菓子を袋いっぱいに買って渡してくれた


二人とも…優し過ぎるよ


「また遊びに行っていい? あ、よかったらどうぞ。マミはおにいちゃんとデートでいないから(笑)」


「女性がひとりでいる部屋に男が入るわけにはいかないよ(笑) 今度、改めてお邪魔させて」


二人とも…優しいだけじゃなくなんて紳士なの…


「チカたん、またね~」



走り去る車に手を振りながら私は家に入り着替えるとマミに楽しかった今日の出来事を報告したくてわくわくしながら帰りを待った











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ