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勇者様ってなんですか!?  作者: 洋梨
第2章 自然都市と守護者の宴
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第62話 強くなってもある一難

 綺麗な池の水でタオルを濡らして、身体を拭く。これがなんとも言えないくらいに気持ちよかった。



(エイン)「あぁ……、さっぱりするぅ……」



 汗も拭きおわり、服を着直している最中で何か声が聞こえた。「もし……もし……」と言っているような聞こえ方をしたが、正直何を言っているか分からなかった。ガイボンの事がある手前、一旦無視してガイドさんやルースちゃんに相談しようと思ったが、あまりにか細い声なので、今いかないと本当に助けを求めている人だったらまずい。それに如何やら結界の外にいるようだった。尚のこと、時間はかけていられない。

 

 とりあえず「ガイドさーん!ちょっと来てー!」と大きな声を出してから、意を決して結界の外に出る。



(エイン)「まだ……、なにか聞こえる……」



 耳を澄まして声の聞こえる方に近づいていく。どうやら茂みの中にいるようで、私の草を踏む音にかき消されるほどにか細い音だった。


 それでもやっとその音の場所まで辿り着くと、女の人が倒れていた。見窄らしい格好で、呼吸をしているかどうかも分からない。

 早く確認しないと!



 そう思い、女の人の所まで駆け寄って近づく。そして、私が女の人のすぐ側まで寄った瞬間、隣の茂みから大きな口が飛び出してきた。牙は鋭く、大きさは私の顔ほどにもあるものがびっしりと幾重にも生えていた。


 咄嗟に後ろに飛び退き間一髪その口の攻撃を躱す。

 危なっ!



(エイン)「…このっ……!」



 私は反撃する為に一本斬りの態勢で前に飛び出す。しかし重要なことを忘れていた。私は水浴びの時、装備を一式外していた。そして、声を聞いて急いで駆けつけたから武器をその辺に置いたままだった。つまり私は武器を持っていない。万事休すとはこの事だと真に思う。本当に。


 飛び出してしまったのは仕方がない。しかし武器も持っていないのであれば、さながら餌。どうにかしなければいけない。そう考えた先に出た答えは、『このまま殴れば良いんじゃ?』だった。



(エイン)「……!うりゃ!!!」



 だから私はまた開こうとしていた口の下に入った後、多分お腹だろうと思うところを全力で殴った。バチゴンと大きな音が鳴り、魔物の身体が揺れる。大きく吹っ飛びしなかったものの、ダメージは入ったようで、その魔物は後ずさる動きを見せる。



(エイン)「……!」



 でもこの状況での深追いはまずい。そう思って私は動かない。相手の魔物、多分食人植物(マンイーター)だろうと思う。その魔物は茂みに足?の部分が付くなり、すかさずに何処かへ立ち去った。



(エイン)「……!……はぁ!助かったぁ!!よしよしよし!!やったぁ!!生身で勝てたぁ!!ふふん!まぁ私も日々強くなってるってことかな!新しい技も開発しちゃったしね!一本斬の打撃版!名付けて一本打(バッサダ)!!」


(ガイド)「何バカ言ってるんですか……、全く……結界から出るなんて……」



 やれやれと言いたげな雰囲気で私の後ろから歩いてきたガイドさん。でもどこか表情は柔らかだった。



(ガイド)「でも、お見事でした。あの程度ならもう助けも要らないようですね。……、随分と強くなりましたね、エイン」


(エイン)「えへへ……、そうかな?」



 ガイドさんに珍しく褒められてしまった。

 こそばゆい……



(ガイド)「とう!」


(エイン)「ぐは!!」



 ちょっと感動してたらこの女!いきなり脇腹にチョップかましてきやがった!しかも私の目には追えないスピードだった。普通に痛くて死にそう。許すまじ。



(ガイド)「不意打ちでもこの程度の攻撃は難なく防げるようになってくれないと、今のままでは次代の魔王には到底敵いませんよ」


(エイン)「……、今のを防げるようになれたら……、魔王にも勝てますか……?」


(ガイド)「今のを防げるようになって、やっと足元くらいでしょうね」


(エイン)「……、頑張ります……」


(ガイド)「はい、頑張ってください」



 腐してきたかと思えば表情はどこか楽しげなガイドさんの顔を見て、少しホッとする。確かに強くなっている。今はそれが分かっただけ良しとしよう。


………


 小屋に戻るとルースちゃんとツキ君は何やら鍋で煮込んでいた。甘い香りがする。昨日と同じできのみを煮込んでいるようだった。ルースちゃんが優しい表情でおたまで鍋の中身を回しながら、その横ではツキ君が少し項垂れている。



(エイン)「2人とも、お疲れ様。料理順調?」


(ルース)「エイン、おかえりなさい。はい、もう直ぐ出来上がりますよ。味の方は可もなく不可もなくといったところです」


(エイン)「そっか。楽しみ!……、ツキ君、ルースちゃんのお料理楽しみだね!」



 見ればわかる。ツキ君は今日の失敗を引きずってる。なんで声をかければ良いか、あまり分からない。でも



(エイン)「ツキ君、今日は残念だったね!でもまた明日もあるし!その次もあるし!頑張ろう!」



 次があるとそう言って私はツキ君の背中を軽く叩いた。



(ガイド)「……、そうですね。誰にだって失敗はありますし誰にだって成功はあります。次、成功すると良いですね」


(ツキハ)「皆さん……!はい!次こそは!!頑張ります!」


(エイン)「その意気だ!!あ、そういえば次の山の頂上にいる魔物は何なの?」


(ガイド)「力鯉(どすこい)という魔物ですよ。でっかい魚です」


 

 でっかい……、魚?



(エイン)「でっかい……、魚?」



 だめだ、スルー出来ない。



(ガイド)「まぁ、実物を見たらわかるんですが。大きな鯉が山に張り手を打ってるんですよ、なので力鯉(どすこい)と言うんですよ。いつから呼ばれてるかは知りませんけどね、昔はポンポンブッパーンって呼ばれていたんですが」


(エイン)「ポンポンブッパーン」


(ルース)「ふふ、その名前は私も存じ上げませんね……、皆様どうぞお座りください、御食事の時間にいたしましょう」


(エイン)「わーい!ツキくんもほら!」


(ツキ)「わ、わーい!あ!美味しそうな匂いですね!エインさん!」


(エイン)「うん!」


 何か気を遣わせたような気がするが、元気が出てそうなのでよし。


 ルースちゃんが作ったほんのり甘くて酸味も程よく、食べるほどにもう一口を望んでしまうような舌触りの夕食を食べた後、私たちは眠りについた。


 翌朝、準備を終えて小屋を出る。私は自分からこの先に行った事はないが、エルフたちの村がこの山の麓の森の中にあるからとガイドさんにさっき聞いたから、足を踏み入れた事自体はあるようだ。何言ってるか分かんなくなってきた。


(エイン)「さて、時間もそれほどないかもだし、急ごう!」


(ツキハ)「はい!!!」


(ルース)「そうですね、急ぎましょう!」

お疲れ様です。洋梨です。


お久しぶりです。久々すぎてこっちの作品の書き方分かんなくなってきちゃった。

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