第59話 幼き魔物使役者?
ビリカさんのおかげですっかり目の覚めた私は急いで着替えて宿を出る準備を整えた。しかし、ガイドさんがゆっくりと用意をしていて私の準備が整った時はまだ、髪の毛を整えている状態だった。ビリカさんは『ベッド借りるね』と言って、私の使っていたベッドで眠っている。
(エイン)「ガイドさん!はやく行かなきゃ!ルースちゃんも準備出来たって!」
(ガイド)「まぁまぁ。実はエインたちが帰ってしまった後飲みに行ってたんですが」
急に話変えて来た。びっくり。それより何してたのかと思えば飲みに行ってたのかこのスケベが。
(ガイド)「その時あの囚われの方々に会いまして。話を詳しく聴いたところ、7つの山向こうのナズナ様に7日後までに届ければ良いとの事でしたのでまだ時間にゆとりがあります」
(エイン)「ほんと?」
(ガイド)「ですです」
(エイン)「だって」
(ルース)「うーん……、しかし何か問題が起こるかもしれませんし、余裕を持つ事は悪い事ではないと思うのですが……」
(エイン)「ほら!早く行こうよ!」
(ガイド)「とは言ってもまだ少し時間がかかるので……そうだ!魔者使役者を雇ってきて頂けませんか?やはり山登りには必要でしょう!」
(エイン)「……なるほど。ルースちゃん知ってる?魔者使役者達の場所」
(ルース)「はい。ギルドに行けば登録している魔者使役者が一時的にパーティーに加入して頂ける事が出来ますよ。それか、ギルド所属では無い団体にお金を出してついて来てもらうかですね。その方達もギルドで営業していますよ」
なるほど。とりあえずギルドに行けば良さそうだな。
(エイン)「分かった。魔者使役者探してくるよ」
……………
私とルースちゃんは少しだけ会話を弾ませてギルドまで歩いて行った。昨日の事は話していなくて他愛もない、ただの雑談だ。『今日はいい天気だね』とか、『お花綺麗だね』とか、そんな感じ。なので、少し気分が良かった。
気分の良いままギルドまで到着した。ルースちゃんはテーブルの確保、私は受付に行き、魔者使役者の事について訊いてみる。この時受付にいた人は私には見覚えのない人だったけど、ドワーフの女性だった。少し歳をとっていそうだけど、老人というには若々しいくらいの見た目だ。
(エイン)「すみません、エインという冒険者なのですが……魔者使役者の方のお力を借りたいんですけど……、どうしたらいいですか?」
(受付)「あら、お仕事?若いのに偉いねぇ。ちょっち、待ってね」
(エイン)「はい」
受付の人は本をパラパラとめくりながら難しい顔をしている。少しした後、勢いよくパタンと閉じた。
(受付)「やっぱり皆出払っているよ。急ぎのよう?そうでないなら他の仕事にしんしゃい、良いのあるよ?」
(エイン)「いえ、急ぎなんです。それにギルド経由でもなくて……、すみません」
(受付)「あら。そうなの?ならほらそこに他団体の営業来てるからあの辺に聞いてみると良いかもね。ギルド経由じゃないのは気にしないでいいからね」
(エイン)「はい!ありがとうございます!」
私は待たしているルースちゃんの所まで駆け戻る。ルースちゃんはギルドに併設されているテーブルの上で紅茶を飲んでいた。私はルースちゃんの前に座って、私の分の紅茶をもらう。
(エイン)「お待たせ、ありがと。ギルド所属の人たちは出払ってるって。どうする?そのつもりはそうだったんだけど、やっぱり他団体の人に頼む?」
(ルース)「そうですね。そうしましょう」
(エイン)「分かった!また待ってて!」
憩いの場とは別に用意されている机の所に座っている人に私は話しかける。机の横に『魔物使役者をお探しならここへ』と書かれたのぼり旗があったからだ。いかにもな営業しています感。机には金色の髪が綺麗だけど気怠げなお姉さんがいる。
(エイン)「あの、魔物使役者のお力をお借りしたいんですけど……、魔物使役者の方はいらっしゃいますか?」
(受付)「うーん、今はねぇ……いないねぇ」
お姉さんが机に顔をつけながら気怠げに返事してくる。
(エイン)「いつ戻るとかは?」
(受付)「それも分かんないね」
(エイン)「えぇ……、おおよそでも良いんですけど……」
(受付)「うーん……、まぁ……、あと1週間は戻んないかもね」
(エイン)「なるほど。分かりました。ありがとうございます」
うーん。気怠げ。なんでだろ?まぁ、いいか。
その辺は本当にどうでも良いとしても、魔物使役者がいなかったのは、けっこう痛い。どうしようか?
結局打開策も何も思いつかず、ルースちゃんのところまで戻った。戻った時にはガイドさんが到着していて、2人仲良く紅茶を嗜んでいた。
(ルース)「この紅茶は自然都市の特産品らしいですよ」
(ガイド)「へぇ。……、すっきりした味わいにほのかに甘い香り。身体にスッと入っていくような感覚です」
(ルース)「分かります!!それに恋情のくすぐりを感じますよね!」
(ガイド)「あぁ、分からなくもありません」
なんか紅茶談義してる。紅茶ってそんなに味違うのかな?まぁ、いいか。
(エイン)「……お待たせ」
(ルース)「あ、おかえりなさい。どうでした?」
(エイン)「誰もいないみたい。どうする?待つ?行く?」
(ルース)「うーん……、いえ。出発しましょう。ガイド様は宜しいですか?」
(ガイド)「私はあなた達の決定に従いますよ」
(エイン)「なら!出発!!」
……………
ということで出発した私たちだが、街から出る前、すでに怪しいことが起こっていた。何かというと、ギルドを出発した直後から街の出口まで誰かにつけられているのだ。おそらくリンダと同じくらいの年齢の少年で、ずっと建物の影に隠れながらこちらに視線を送ってくる。
街の出口の前で私たちは止まり、話し合いを始める。
(エイン)「……ねぇ、小さい子につけられてるよね?」
(ルース)「はい」
(ガイド)「よかった……、これに気付かない様だったら一回ビンタしていたところです……成長しましたね!」
(エイン)「……褒められた事にしとく。それよりどうする?多分、何か用があるよね?あんなに視線飛ばしてくるってことは……、訊きに行く?」
(ルース)「そうしましょう」
そんなわけで私たちは視線を送ってくる子に近づいた。よくよく見れば可愛らしい顔をした少年だった。急に私たちが近づいてきたものだからか、おどおどしていたが逃げようとはしていなかった。
(エイン)「ボク、お姉さんたちを追いかけてきてたけど……どうしたの?」
私は屈んで視線を合わせる。それほどにまで幼い子どもだった。
(少年)「あ、あの……、えっと……、あの!ぼ!僕も一緒に!連れて行ってくれませんか!?」
(エイン)「???、どこに?」
(ルース)「エイン、……少年。私たちは今から危険な所に行ってきます。ついてきたいと思ってくれたそのお気持ちは誠に嬉しいですが……、その気持ちは次の」
ルースちゃんがしゃがんで少年の手を取り、優しく話しかける。少年は照れているのかよく分からないけど、あたふたしていた。
(少年)「ぼ!僕!魔物使役者です!!お力になれるはずです!!」
あたふたしている少年だったが、ルースちゃんの言葉を遮ってまでそう言ってきた。そう、この子は私たちが必要としている魔物使役者らしいのだ。
お疲れ様です。
洋梨です。
この作品というか、私の作品においてとても珍しい男性、しかも子どもです。とどのつまり、とても貴重なショタ枠です。
よろしくお願いします。




