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勇者様ってなんですか!?  作者: 洋梨
第2章 自然都市と守護者の宴
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第58話 きいてないようできいている

 その後ルースちゃんと話し込みついつい長風呂になってしまい、私は普通にのぼせた。脱衣所のベンチに寝そべりルースちゃんが団扇を仰いでくれている。不甲斐無い。



(ルース)「エイン、大丈夫ですか?」


(エイン)「うーん……だいじょぶ……じゃない……」



 ダメだ。身体があっつい。



(ルース)「冷たい水でもかけてみますか?」



 鬼か。



(エイン)「それはやめてぇ……」


(ルース)「分かりました」



 良かった。



 それから数分、団扇を仰ぎ続けてくれたルースちゃん。そのおかげで私はだんだんと身体から気怠さが抜けていく。



(エイン)「んしょ……」



 私は上体を起こしてベンチに手を下ろして、腕に体重をかける。足を少し伸ばして少し伸びしてみた。意外とこういうのが効いたりするのだ。たぶん、いや分かんないけど。



(ルース)「お水飲みますか?」


(エイン)「うーん……」



 ルースちゃんからお水をもらいコクコクと飲み、喉に水を通す。胃に水が溜まる冷たさを感じた後、スッと目が覚めたような気分になった。



(エイン)「……復活!」


(ルース)「いけません。もう少しゆっくりしましょう」



 そんなこんなで同じベンチでルースちゃんと話し込み少し時間が経った頃、ぞろぞろと人が入ってきた。夜も更けてお風呂に入り、そろそろ眠ろうというところだろう。

 私たちはその人たちの邪魔にならないように部屋に戻りベッドへ寝転がった。



(エイン)「はひゅぅ……疲れたぁ……」


(ルース)「お疲れ様です」


(エイン)「ありがとぉ……そういや、ガイドさんまだだね……」


(ルース)「そうですね。まだ話しているのでしょうか?」


(エイン)「……もしかしてエッチな本の話と思ってる?それはさすがにしてないと思うよ?」


(ルース)「え?いえ、そうではなくて……久々の再会のようですし……積もる話もあるのかと……」


(エイン)「うーん、それはあるかもね」


(ルース)「ところで気になるのですが……、エイン、もしかして私のことを誤解してい」


(エイン)「誤解じゃない。ルースちゃんはスケベ。もはやむっつりでもなくなってきてる」


(ルース)「そ、そんなはっきり仰らなくても……」


(エイン)「……、私はそれでもルースちゃんのこと好きだよ。ルースちゃんがスケベでも、ルースちゃんの魅力が消える事はないから大丈夫」


(ルース)「あ、あの……それは大変嬉しいのですけれど」



 ちょっと照れてる。照れ顔は普通にかわいいのにこの子。



(エイン)「ねぇ、それよりさ。そんなに未来都市エレクトリアでは流行ってるの?そういう本」


(ルース)「……、うーん。未来都市エレクトリアには様々なものが流行っていますし、情報等は最新を更新し続けている場所なので、あっても不思議ではない話かと」


(エイン)「……特殊なのも?」


(ルース)「そうですね。最新を更新し続けているという事は、数多の情報が雑多に入ってくるという事にはなるので、他の都市よりかは数も多く、【サークル】と呼ばれる組合も多いんですよ」


(エイン)「……、やっぱりルースちゃんはエッチだ」


(ルース)「え?!今の会話でどのような点が!!」


(エイン)「さぁ?」



 ルースちゃんは私の肩を持ってブンブン振ってくるが、もはやルースちゃんがそうである事を否定する事はしてあげられない。ふっ……



(エイン)「……、でもさすがに【本で栄えた都市】と言われてるだけあるよね。色々な本があって。楽しそう」


(ルース)「そ、そうなんですよ!様々な本!!未来都市エレクトリアはこれを非常に大事にしておりまして!!今まで生み出された本は全て!!全てですよ!!!!かの異世界国!!!【日本国】から到来した!!!!!【国立国会図」


(エイン)「ん……ルースちゃん、近い」



 ルースちゃんは自分が楽しい話になると顔をグイグイと近寄せてくる傾向が出てきた。息と息が交わる程度には近くだ。別に嫌じゃない。嫌じゃないけど、ドキドキするから心臓に悪い。なので少しだけ遠ざける。



(ルース)「す、すみません……はしゃぎ過ぎてしまい」


(エイン)「ううん。それがルースちゃんの良いところで私は好きだから。そのままでいい。私もちょっとびっくりしただけだから」


(ルース)「エイン……!私もエインが大好きです!」


(エイン)「ん。ごめん、ちょっと疲れたから眠っていい?」



 正直限界だった。息を入れて空気を頭に送りながら、何とか意識を保っていたものの、もう瞼が上に上がらなくなりそうだった。



(ルース)「あ!こちらこそすみません!お疲れ様でした!おやすみなさい……」


(エイン)「ん、おやすみなさい」



………


 『おやすみなさい』と言ってから多分、数秒もしてないうちに眠ったのだろう。そこからの記憶が一切無い。ガサガサ音がしていたとかもなく、おやすみなさいが最後の記憶といった感じだ。とどつまり、よく眠れたのである……



(エイン)「……、ふぁあ……、あれ?」



 辺りを見渡すと誰もいなかった。



(エイン)「ルースちゃん……?ガイドさん……?」



 魔力探知を使って探してみたところ、ルースちゃんは下の階にいて何かしているようだったが、ガイドさんが見当たらない。まだ帰ってきてないのだろうかと思うものの、まぁ、ビリカさんと色々あるだろうしと思い、気にしないようにした。



(ルース)「!エイン!おはようございます!」


(エイン)「おはよう……」



 起きてから数分くらい経った様な気もするが、私は未だベッドの上でうつらうつらとしていた。よく眠れた割には眠気が覚めてないみたいだ。



(ルース)「お疲れですか?」


(エイン)「うーん……、ちょっと眠気が落ちない……」


(ルース)「失礼、……、熱はありませんね」



 ルースちゃんが私のおでこに掌を当てる。少しだけ温もりを感じる手が、何処となく気持ちが良い。身体が辛いとかはなくただ眠気が取れないだけだから、熱がないのは確かではあるようだった。


 ただ、眠気はやはり取れない。



(ガイド)「ただいま」


(ビリカ)「お邪魔します……」



 その時ガイドさんが帰ってきた。ビリカさんと一緒に。ビリカさんはちょっと機嫌が悪そうだったけど、ガイドさんは気にしていない様だった。ガイドさんの態度からすると話はもう、終わったのだろう。



(ビリカ)「……、ガイド様……、帰ってきたら今度は詳しく話してよ……」


(ガイド)「分かっています。もう隠す意味もありませんからね。帰ってきたら全て話しますから」



 終わってなかった。



(ルース)「あの、ガイド様。エインの様子が少しおかしくて……熱はない様ですが……魔力に翳りが……」



 魔力に陰り?何?



(ガイド)「……、うーん」



 ガイドさんが私の頬っぺたをぷにぷに触る。首元にも触れてくるが、やはり眠たくて、為されるがままの状態だった。



(ガイド)「やはり……、ガイボンの歌を聴いてしまった影響ですかね?」


(エイン)「歌?歌って何?」



 私はガイボンの歌を聴いてない。襲いながら『幾人か』とは叫んでいたけど、あれを歌と呼ぶには歌の地位が高すぎる。きっと誰もあれを歌とは言わないと思う。



(ガイド)「セーラーさんが耳を塞いでもがいていた時に、人には聴き取れない音がガイボンから発されていたんですよ。声だったのか、声とは異なる器官があったのか、詳しい事は分かりませんが……聴き取れはしなくても少しダメージがあったようですね」


(エイン)「……なんでガイドさんは平気なの?」


(ガイド)「私は常時魔力を覆って、他の魔力の侵入を防いでいるのでそういうのは基本的に効かないんです。完全にとは言えませんけどね」


(エイン)「……そっか」


(ガイド)「でも……ガイボンの魔力が少し残ってますね……どうしようかしら……ビリカ、お願い出来ますか?」


(ビリカ)「……、しゃーない。解呪系は苦手だもんね。ガイド様」



 そう言って、ビリカさんが今度は私の耳に触れてくる。ムニムニと触って引っ張ったり揉だりしている。



(ビリカ)「なるほどね―。こういう感じ。……、勇者ちゃん。エルフたちの為に命張ったんだってね」


(エイン)「……?はい……」


(ビリカ)「勇者ちゃんって何処出身なの?」


(エイン)「……?、英雄都市インカです……」



 ダメだ……眠い……

 何とか意識を保っているけど、限界も近い。



(ビリカ)「……、インカか……、きっといつかが……今になったのかもね」



 ビリカさんの魔力が大きく膨らみ私を包んでいく。温かくて少しピンクな気持ちも感じるような魔力だった。身体の疲れが取れていくと同時に頭が冴えてくる。けど、ピンクの感情が奥から湧いてくる。



(ビリカ)「勇者ちゃん、頑張ってみせてね」


(エイン)「?あ、ありがとうございます?」



 ビリカさんの最後の言葉の意味は分からなかったけど、きっと私に何か、きっと何か託してくれたんだろうと、そう感じさせてくれるような瞳だった。


お疲れ様です。

洋梨です。


この世界の根幹である話を出しました。エインですらも疑問に思わないほどにこの世界の常識。異世界にあるとされる国、日本国という場所から飛来した大きな図書館が7大都市を創り発展させたという話です。

まぁ、特にこの話を深掘りするつもりはなくて(もしかしたら今後女神様からお話があるかも?程度)、ここで書きますが、内容としては女神様が国立国会図書館(2020年代)をコピーアンドペーストで400年近く前のとある土地(現未来都市)へ転送しました。その後、翻訳する人も必要でしょうか、という理由でその辺にいる人も転送してきました。

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