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勇者様ってなんですか!?  作者: 洋梨
第2章 自然都市と守護者の宴
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第48話 広いな大きいな

 何とかガイドさんとビリカさんを宿に持ち帰った私たちはその後、泥のように眠った。今回はシェーラルカさんも私たちの宿に泊まることになった。


 目を覚ますとみんな眠っていた。窓の外を覗くとお祭りが今日も賑わいを見せてガヤガヤしている。日もかなり昇っているけど、皆んなはすやすや眠っていた。


 少し伸びをして服を叩くと汚れが落ちてきた。身体もちょっとベタベタする。



(エイン)「お風呂、入りたい……ここあったんだっけ?」



 お店の人に訊いてみるとお風呂に案内された。朝昼晩、ずっとお風呂に入れるらしい。掃除の為に入れない湯船があるみたいだけど、それは仕方ないので気にしてない。



(エイン)「わぁ……!!いっぱいある!!」



 湯船は石造り、桶風呂とか色々あってパッと数えて10個は湯船がある。それも大きい湯船がだ!すごい!!

 私は身体を洗った後、石造りの湯船に入る。日は昇っているとはいえ朝の時間帯だからか、人は殆どいなくて、それぞれの湯船が貸切みたいな感じになっていた。



(エイン)「ふぅ……、生き返る……」


(女の人)「失礼します」


(エイン)「あ、はーい」



 端正な顔立ちをした人が片足を湯に入れ、優しそうな笑顔で私に話しかけてきた。目尻の皺が細かくてとても優しそうに見える。

 礼儀正しい人だな。わざわざ声かけてくれるなんて。



(女の人)「先ほど……生き返るとおっしゃっていましたが……死んだ事がおありで?」


(エイン)「え?いやぁ、たとえですよ。それくらい気持ちの良いお湯だって事です!!」


(女の人)「ふふ、すみません。冗談です」



 クスクスと笑う顔にドキドキとする。本当に綺麗な人だからだ。つい見惚れてしまう。



(女の人)「……、素で話しても良いですか?」


(エイン)「す?」


(女の人)「話し方を崩したくて……丁寧だと少々疲れるというか……」


(エイン)「あぁ、どうぞ?」


(女の人)「ありがとねぇ……ほんに気持ちいいねぇ」



 崩すといってもそこまで崩れないと思ったから、そこまで崩されて普通にびっくりした。でも幸せそうな顔しているので何より。



(エイン)「お風呂好きなんですか?」


(女の人)「うん。でもこういう大きなお風呂にはあんまりねぇ……入らんで……久々なんよぉ」


(エイン)「毎日入りにくれば良いんじゃないですか?」


(女の人)「……、一回でも良いから皆んなと来たいんやけど……大所帯やしねぇ……」


(エイン)「???」


 

 家族のことかな?あまり触れない方が良さそう。



(エイン)「どのくらいの頻度で来るんですか?こういうところ」


(女の人)「私は……年1くらいかねぇ……皆んなには住んでいるところに作ったお風呂だけで我慢してもらってるんよぉ……連れてきてあげたいんやけどねぇ……あ、でも……気持ち良さはここと変わらんように丹精込めて作ってるからそこは心配していらんのやけどねぇ……その為に年1で入りに来とるのやし……えへへ」



 なんかヤバい人なのかな?



(エイン)「……、ネイチャルエデン?」



 ふと私の口からその言葉が出てきた。何も考えていないのに、その言葉が出て来たのだ。目の前の女の人は目を丸くして私を見つめる。



(ネイチャルエデン)「どこで気付いたのぉ?」


(エイン)「いや……別に気がついたわけじゃないんですけど……口が勝手に……」



 クスクスと笑いながらネイチャルエデンは顔を近づけて来た。特に否定もしないし、笑いながら私の頭を撫でて来た。撫で方が洞窟で撫でられた時と同じ感じだったから、この人はネイチャルエデンなのだと確信した。



(エイン)「今、確信しました」


(ネイチャルエデン)「そう?名前……エインっていうたっけ?」


(エイン)「……?、はい」



 名前言ったことあったっけ?忘れた。



(ネイチャルエデン)「いやねぇ、エインのこと見てると……勇者インカの時代以前の……あの子たちのことを思い出してねぇ……、いやねぇ……お年寄りは昔話ばっかりで……歳なんて概念もないくせしてね……、今の子たちもそれはそれはかわいいんよ、かわいいんはわかっとるんよ。でも思い出は昔の方が花が咲くもんなんかねぇ?」



 何いってるかよく分からないけど、とりあえず私と誰かを重ねているようだ。



(エイン)「よく頭、撫でてたんですか?」


(ネイチャルエデン)「ううん、昔は少しだけ距離を取ってたから……罪滅ぼしのつもりなんかねぇ……罪があるなら消えるわけないのに……」



 良くない。これ以上この話題は良くない。暗くなる一方だ。話を変えよう。



(エイン)「エデンさんはどの辺に住んでるんですか?森の中?」


(ネイチャルエデン)「……、それは言えん」


(エイン)「じゃあわざわざ会いに来てくれてるんですか?」


(ネイチャルエデン)「……!会いに来てる……そうねぇ……そうかも。やっぱり何処となく……ツバキに……いや!なんでもないよぉ!」


(エイン)「おぶえあ!」



 いきなりわしゃわしゃと頭を撫でて来たものだから私は変な奇声を発してしまった。

 その後特に会話をすることもないままお風呂に浸かり続け、もう十分温まったところで私たちはお風呂から出ることにした。私は半分ギリギリの、のぼせないところで堪えた。



(エイン)「エデンさんって服色々持ってるんですか?」



 脱衣所でエデンさんは今までのワンピース姿とは異なるダボっとした半袖の服とキュッとしまったズボンを履いた。新鮮でより綺麗に見える。



(ネイチャルエデン)「うん。作ってくれてねぇ。器用よねぇ。この服は変装というか……バレないように着てるんやけど……バレてしもうたね!」


(エイン)「あはは!バレましたね!あ、そういえばエデンさんって女の人だったんですね?土地神?的な人だからだ性別とかないのかと」


(ネイチャルエデン)「あぁ、性別は確かにないよぉ。ただ……本物の女神様に造られた私は……身体も何もかも中性で作られとってねぇ。顔だけは女の人ぽく作られとるから、女の人とよく思われるんよぉ。だから、女湯に入っとるんよねぇ」


(エイン)「……神様の趣味?」


(ネイチャルエデン)「あはは!そうやね!趣味かも!!」



 その後も他愛もない話をしながら、2人で脱衣所を後にした。エデンさんはそのままホテルから出て行って私は部屋に戻る。楽しい時間だった。


 部屋に戻るとルースちゃんとシェーラルカさんが起きていた。2人ともまだうつらうつらとしていたが、ベッドの上で座りながら向かい合わせになっている。



(エイン)「おはよう!ルースちゃん!シェーラルカさん!」


(ルース)「エイン……、おはようございます」


(シェーラルカ)「おはよ……エイン……」


(エイン)「何してるの?」



 そう言いながら私はルースちゃんの横に座る。



(シェーラルカ)「……、いや……私はそろそろ自然都市を離れるからな。その話をしてたんだ。……、冒険者は続けるよ。エインに背中を真似てもらえるような立派な先輩になるからな」


(エイン)「え?もう十分立派な気が」


(シェーラルカ)「何?嬉しいこと言うな!こいつ!」


(エイン)「わぁいや」



 シェーラルカさんが私の頭をわしゃわしゃして来た。少し乱暴だけど優しい感じがする。



(エイン)「じゃあ今日でお別れ?」


(シェーラルカ)「いや……ツァービが出歩けるようになるまでは待とうと思う。それからお別れだ」


(エイン)「……、じゃあお別れの前にツァービさんと一緒に、皆んなでお祭りに行こう!」


(シェーラルカ)「……、ごめん、それはいけないや」


(エイン)「え?なんで?」


(シェーラルカ)「本当は今すぐにでも天空都市スカウドに行かなきゃならない。仕事があるからな。無理言って……待ってもらってるんだ」


(エイン)「……そっか。分かった。じゃあまた次に来ようね!」


(シェーラルカ)「ん、約束だ」


(ルース)「……、ツァービさんのお見舞いにいきましょうか?ガイド様達もお医者様に診てもらわねばいけないと思いますし……」


(エイン)「あ!そうだね!大丈夫だとは思うけど……一応だね!」


お疲れ様です。

洋梨です。


シェーラルカさんはエインのこと好き好き大好きになってます。

ネイチャルエデンには複製体ようはネイチャルエデン2号みたいなのはいません。

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