第43話 勝てる見込みは低くない
作戦会議をしようと思い、ルースちゃん達に近づくと何やら不穏な雰囲気を感じた。シェーラルカさんは先程から全く表情が変わっていないけど、ルースちゃんはシェーラルカさんを見ながら難しい顔になっている。
どうしたんだろ?
(エイン)「どうしたの?」
(ルース)「エイン……、シェーラルカがもう嫌だと……」
(エイン)「嫌?何が?」
(シェーラルカ)「全部だよ……もう嫌になった……、あんな弱いオークにすらもたついたんだ……私はもう……戦いたくない……」
(エイン)「……、何でシェーラルカさんはここに来たんですか?」
(シェーラルカ)「……、何でもいいだろ……」
(エイン)「良くない!!どうなってたか知りませんけど!!死んでいた可能性だってあるんですよ!!!」
私はつい怒ってしまった。どんな理由であれ、自分のことを蔑ろにする事は許せない。
(シェーラルカ)「……、ごめん……悪かった……」
(ルース)「……、それで何故ここに?ツァービさんの側にいたはずなのでは?」
(シェーラルカ)「……、仇討ちだよ……、ツァービをあんなに追い詰めた奴らをぶっ飛ばしにきたんだ……ほんと……何やって」
(エイン)「なら!あと一息!!あのオークさえ倒せば仇は取れるよ!!」
(シェーラルカ)「……、倒せねぇから……問題なんだろ……」
(エイン)「……、諦めるの?」
(シェーラルカ)「倒せねぇヤツに……!!挑んだところで……!!何にもならねぇだろ……!!!」
歯を食いしばりながらも眉間に皺を寄せた顔を私に見せつけてきたシェーラルカさん。目に浮かべた涙からもその悔しさがひしひしと伝わってくる。私としては何としてもシェーラルカさんを奮起させて勝率を上げたい。それに、その方がシェーラルカさんにとっての今後も良い。そんな気がしてならない。
(エイン)「……、私たちはあなたがいなくてもあの入り口を抜けた先にいるオークに戦いを挑む」
私はガイドさんが何処かに走って行った場所等は逆にあった道を指差した。その指をシェーラルカさんは見ようともしなかったけれど。
(エイン)「でもその状況だと勝率は高くて30%、私たちは死ぬ確率のほうが高い。だから、死なせたくなかったら後からでも良いから来て。いくよ、ルースちゃん」
(ルース)「え?!」
私はルースちゃんの手を引いて歩く。ルースちゃんは戸惑いながらも足を動かして私についてきた。
(ルース)「エ、エイン、今のは脅しなのでは?それはあまりにもシェーラルカにとって……」
(エイン)「酷な事だと思う?だろうね。でも……、私たちだけで挑む訳にはいかないんだ」
(ルース)「……」
(シェーラルカ)「おい待て。私もいく……」
シェーラルカさんはその場から動かないものの、声を出して私たちを引き止めた。私は走ってシェーラルカさんのところまで戻り顔を掴む。
(エイン)「やった!!!その言葉を待ってた!!!」
(シェーラルカ)「や、やめろ!!離せ!!」
(エイン)「おぅ……」
私は力づくで振り払われてその辺に座り込んだ形になる。
(ルース)「よろしいのですか?シェーラルカ」
(シェーラルカ)「仕方ないだろ……、コイツ……、多分本気で挑むつもりだぞ……いくらおまえがいてもアレに勝てる見込みはあんまりないだろ……」
(エイン)「ガイドさんは100%だって言ってたよ!!ね!!」
(ルース)「正直なところ……あれはただの励ましだということだとは理解しています。とだけ……」
バレてる。
(シェーラルカ)「……、私がいて……3人で戦うとして……勝てる見込みは何%だ?」
(ルース)「……、やはりどれだけ高く見積もっても……40%、普通に考えるなら30%が妥当かと」
(エイン)「そんなに低くないよ!!そこまで低くないって言ってたから!!」
(ルース)「……」
(シェーラルカ)「……、なら案外高いのな。……、オークの弱点って何だっけ?電?」
(ルース)「……はい。そう記憶しています」
(エイン)「はいはい!その電の技使える人っている?ちなみに私は電系は初歩のやつだけだよ」
(シェーラルカ)「私は無理だ。属性系統は相性が悪くてな。風系統しか扱えない。それも初歩のやつだけだ」
(エイン)「なるほど。ルースちゃんは使えるよね?」
(ルース)「はい。火系統や風系統には劣りますが、中級までなら確実に」
(エイン)「弱点って当たれば勝てるの?」
(シェーラルカ)「……、大ダメージは確実だろうけど……正直分からない。あのオークの強さが未知数すぎるからな」
(ルース)「動きは止めれど……倒すまではいかないかと……」
(エイン)「動きは止められるんだ。なら動き止めたところを!シェーラルカさんが殴れば完璧だ!!」
(シェーラルカ)「……、問題はあの鎧だな。あの鎧は硬すぎる。普通に攻撃だけじゃ……、あれは壊せないだろうな」
(エイン)「ほんと?」
私は四つん這いになってシェーラルカさんに顔を近づけた。シェーラルカさんの言い方に少しだけ含みがあるように感じたからだ。少し気まずそうにするシェーラルカさんを他所に私は顔をどんどん近づける。かなり近くまで近寄ってからシェーラルカさんは少しだけ息を零す。半ば諦めたような感じだったけど話す気にはなったみたいだ。
(シェーラルカ)「……、わかったわかった……鬼の一撃じゃあ、多分歯が立たないだろうけど……鬼の拳なら、壊せる可能性はある」
(エイン)「鬼の拳?が当たれば壊れる可能性があるんだね?」
(シェーラルカ)「そうだ」
(エイン)「なるほど。うーん、じゃあルースちゃんと私が攻撃を仕掛けるから、隙を見てシェーラルカさんが攻撃する。これでいこう!合図は各々ここだと思った時にしようね!」
(シェーラルカ)「……、それは構わないけど……なんでさっきから急にためぐ」
(ルース)「決まりならそれでいきましょう。ここぞという時に電系の技を使います。それならば確実に当てられるはずです。その後は、お任せしますよ。シェーラルカ」
(エイン)「よし!いこう!!」
(シェーラルカ)「……、どうなっても知らないからな……」
お疲れ様です。
洋梨です。
なんか、引っ張った感じですね。




