第14話 仮面
翌日、私はいつも通り特訓に行こうと思ったらガイドさんに呼び止められた。
「今日は折り入ってお願いがあります」
「何ですか?」
「ギルドの依頼をこなしてお金を貰ってきてください。そろそろエインも実戦をして良い頃合いでしょうし、宿賃を稼いでくれるなら一石二鳥です」
「?お金ないんですか?」
「まだまだありますよ。元々私の持っていた分とあなたのお父さんから頂いた分。ただ、なくなっていく一方なので、少しくらいは稼いでも良いかなと」
「なるほど。任せてください!冒険者として立派に仕事してみせます!」
……………
私は朝早くにギルド内の訓練場に着いた。ルースちゃんもちょうど着いたところで、少し眠そうにしている。そんなルースちゃんに話しかけて、依頼をこなしたい経緯を話した。
「というわけで、今日は依頼に行きたいんだ。お願い!」
「うーん、そうですね。良いですよ。今のエインくらいの強さだと、その辺の魔族なら勝てる可能性は大いにあると思いますし、実戦でしか分からない事もありますからね。行きましょうか」
「あれ?ルースちゃんも行くの?」
「はい。2人で行けば早く終わりますし、実は私も実戦経験は少なく、基本は兄様の後について学ばせてもらう事が多いのです。なので、経験を積みたいなと。エインと同じですね!」
「そうなんだ」
実戦があまり経験のない人と全くない人で実戦行くのってどうなのかな?なんか、まずい気もするけど……まぁ、ルースちゃんがいれば問題ないか。元々1人で行く予定だったし。まずいのは承知の上だ。
「あ、行く前にちょっと待ってください。魔力剤等を買いに行かなくては」
魔力剤。魔力剤は魔力を回復するための栄養ドリンクみたいなものだ。甘くて美味しく、何本でも飲めそうだが、何本も飲むと魔力が狂い始めるとガイドさんに口酸っぱく言われているので、私はまだ1本しか飲んだ事ない。それに「あなたは魔力が少ないから飲む必要はない」とまで言われた。
まぁ、それはいいんだけど。
依頼を受ける為の準備は人それぞれでルースちゃんみたいに何かを買いに行ってアイテムを揃える人や適当にふらついてその辺の薬草で頑張っている人もいるらしい。私は行ったことがないから今後はどうなるか分からないけど、準備を疎かにはしたくないので、ルースちゃんについていくことにする。
ルースちゃんがギルドの中に併設されている売店に良いものがあると言って、私たちはその売店まで来ていた。
「これです」
ルースちゃんは何やら変な仮面を身につけている。8角形で小さめの赤い石みたいなものがおでこのあたりに嵌められていて、目のところは横線1本ずつ。その目から大粒の涙が描かれているようだ。
何このお面、変なの。
「……、これって何が良いの?」
良さが私には伝わらないので、ルースちゃんに聞いてみる。実はすごい能力がある仮面かもしれない。毒無効とか。
「え?カッコよくないですか?」
「それだけ?」
「はい。ここにある仮面はギルド専属鍛冶の手作りで、オシャレに作っているそうですよ」
「これ、カッコいいかな?……何か魔法とかないの?毒無効とか」
「ないと聞いています。あくまでオシャレだと」
「オシャレ」
これが、オシャレ?都会のオシャレはよく分からないな。でもルースちゃんは嬉しそうだし、良いか。
「エインも1つどうですか?必要ありませんか?」
「いらない。というか、それ買ったの?」
「はい!前々から目をつけてはいたんですが、購入する時宜を得なく」
買うタイミングがないって言ったんだろう。多分。ルースちゃんはたまに何言ってるか分からない時がある。
「今日は良き買い物が出来ました!」
「嬉しそうで何よりです」
ルースちゃんは変なものが好きなのかな?
「とりあえず、これは家に持って帰ってまた別の物を持ってきます。ちょっと待っててください!」
そう言ってルースちゃんはものすごい勢いで走っていった。
暇だし、私も記念にこの仮面買っとくか。
「どれにしようかな。うん、これが良いや」
私は青い楕円形の宝石がおでこに嵌められて、目は山なりに口はその逆の放物線を描いた笑顔の仮面にした。とてもシンプルだ。
買った後、その仮面を被りながら待つことにする。
「これ、私って気づかないかも。人バレしなくて良いかもね」
お疲れ様です。
洋梨です。
こういった主人公視点、つまるところの一人称視点は難しいですね。




