出逢い9★
★★★
うん。
文鳥のあやかしちゃん達は、びっくりするほどよく食べた。結構唐揚げも残るかなって思ってたのに、ぺろりと平らげてしまった。
「にんにくと生姜の唐揚げ幸せの味でした~」と雪くんがうっとりと目を細めながら言う。
可愛すぎる。
★★★
「食器の片付けくらいは、僕らにさせてください!」
「詩紋もお手伝いする!」
「二人共ありがとうね~。あ、後で車で買い出しに行くけど、一緒に来る??それとも人前に出ちゃ駄目とかルールあるのかな?」
「特にはありませんけど…。あ、来客時には子供が住み着いてるって、噂になったらまずいでしょうし、買ったほうがいいかな?ケージ…、ねぇ詩紋どう思う?」
「確かに、文鳥飼い始めたって方が自然だねぇ。みんなで2人のおうちと食材買いに行こう!」
「え?食材ならたくさん出てくるのに……」
「それはそうなんだけど……。外から見たら大きな畑もないのに、食料品買わないのもおかしく見えちゃうでしょ?だからメイン以外は材料買うとかした方がいいのかなって思って。勘ぐった人達が出てきて、君達を危険な目に、あわせたくもないから」
「ありがとう!」
ぽふんと小さな音がして、文鳥になった2人…、2羽が肩に乗り、頭を首に擦りつけてくる。
どうして文鳥に??
「樹里さんは、こっちの姿も可愛がってくれそうだから!ご飯作ってくれてありがとうの、スリスリ~!」
シナモン文鳥らしい、赤くて艷やかなつぶらな瞳で、こちらを見上げながら、詩紋ちゃんが話しかけてくる。モフモフ天国……。
★★★
懐いてくれるし、撫でさせてくれるし、お話もできるなんて夢のような子達……。
右手の人差指をすっと差し出すと、軽くジャンプして2羽が指へと飛び乗る。たまに互いを突っつきあいながら、お腹を指にピッタリつけて休んでくれるので、なんだか指が温かくてほんわかした気持ちになる。
「なんだか、小鳥さんを触ってたり握ると、眠くなるよね。なんでかな……」
頭をなでたり、頬の辺りにあるお耳を撫でてあげると、2羽ともすごく嬉しそうな顔をする。
何やら彼らもウトウトしてる。
「樹里さん!背中まで撫でてください~!物足りないです~」
うっとりしながら、雪くんがねだってきた。
★★★
「怪我は!?あ、治ったって言ってたね。あと背中撫でて発情したりしないの??」
「なっ!?僕たちはあやかしだから、そこまで単純じゃないですよ!」
焦ったように雪くんは言った。
詩紋ちゃんも、それをみてケラケラと笑ってる。文鳥あやかしかぁ…、どっちの姿も可愛いなぁ…。なんてしみじみ思う。
「小鳥はそういうので寿命縮んだり、卵詰まりの危険があるって聞いたことあって。そうなったら可哀想だから…、確認したんだけど…、なんかごめんね…」
「そんな事まで心配してくれるなんて!樹里さん好き!」
「私もこれで心置きなく、モフれます!」
★★★
思う存分モフったあと、買い物に行こうと思ってたのに、もう少し満喫してからで良いかな~なんて、一時間ほど遊んでしまったのに気がついたけど、私だけのせいではないと思いたい。