出逢い6★
雪くんの鳴き声とともに、木々が揺れてこちらへと、いろんな鳥が一斉に飛んでくる。
「うわぁ~~!!」
雪くんに甘えるように、飛びながら戯れる雀。足元まで飛んできて体を擦り寄せたり肩にとまったりする鳩。尻尾をピコピコ上下するかと思えば、忍者のようにシタタタタっという素早い足取りで、雪くんに寄っていくセキレイさん!!
私は父親の転勤が頻繁な為、小動物であってもペットを飼える環境になかった。
★★★
いつか動物と一緒に暮らしたいなぁ~なんて思いつつ、少し離れたところから姿を見れるだけで幸せだった。
そんな私が、こんなに間近で野生の鳥を見れるなんて!!
何なんなのここは鳥パラダイス!?
ほわわーと呆けた気分になってると、雪くんが、「今…、近くにいるのは彼らだけみたいですね…」なんて、サラリという。
こんな夢のような空間をつくってくれるとは、雪くんは天使かなんかだろうか。
そんな事を真剣に考えていると、何やら勘違いしたらしい雪くん。
「む……、僕よりセキレイのがお好きですか!?」
微妙に何かを察したように、詰め寄られ焦る私。悪い事は考えてないはずなのに…。
「ふぇ?いえ、裏庭をこんな素敵な楽園にしてくれる、雪くんは凄いなぁと思ってました」
「何か……、誤魔化されてる気もしますが。あなたが喜んでくれたなら良しとしましょうか…」
「雪くん、ありがとう」そう言って、雪くんの頭を撫でると幸せそうに目を閉じる。
その姿をみて可愛い……!と和んでいた……。
★★★
「せーーつ!」そういいうと雪くんに駆け寄り、抱きつく美幼女。彼より小さいミルクティーを思わせるふわふわカールを、肩までのばした女の子。
「可愛い……!」
茶系のメイド服を思わせる、ひらひらなドレス翻し、雪くんに巻きついている。
「詩紋!この近くにいたの??」
知っている子なのか、雪くんは気にもせず答える。
「あ、樹里さん……、こいつ仲間のあやかしの詩紋です。遠縁だけど親戚筋なんだ…」
「あれ?雪…?人形で接してるってことは、主決めたの?」
「アイツラに襲われて、そのまま残されて、もう駄目だと思ってたときに助けてくれた恩人なんだ…」
話の内容がさっぱりわからず、ぽかんと愛らしいふたりをぼんやり眺めるしか出来ない私。
「アイツラまだつきまとってるんだ……。雪の生み出す種は特殊みたいだからね。これからは気をつけてね」
そういった少女は、徐ろにこちらに向き直り、いたずらっぽく微笑みながら挨拶してきた。
「雪の遠縁の詩紋です。詩紋は、シナモン文鳥のあやかしなの……。雪を助けてくれてありがとう!詩紋とも仲良くしてね!」
「私は榊 樹里と言うの。仲良くしてね」
私がそう伝えると、嬉しそうに微笑む詩紋ちゃん。ストロベリーソースの様に澄んだ、赤いお目々が印象的な見た目癒やし系の女の子。
★★★
「樹里さん。友達呼びましたけど、したいことがあったのですよね??」
雪くんに、少しすねたようにそう言われる。
私は雪くんにそう言われ、ハッ!!っと当初の目的を思い出すのだった。