番外編 ハロウィーンパーティー後編(雪 視点)
あとはちらし寿司作ったら終わりかな。
樹里さんは仕事が終わってないみたいで、少し焦見えた。
いつも頑張ってくれてるから無理しなくて良いのに。
お寿司を混ぜ合わせながら、特別なお寿司にしたいけど…。そんな事を考える僕。
錦糸玉子を散らしたら完成なんだけど、樹里さんの喜ぶ顔がみたい。
詩紋だって、ロゼだってきっとそれぞれの特別を考えてる。
お刺身とかいくら散らしたらゴージャスに見えるかも。でもカボチャ料理が思いつかないからって、ポタージュスープにちらし寿司はないかな。
そんな事を考えながら、樹里さんなら笑って喜んでくれるかな。
妖の木に頼んで、マグロにサーモンにイクラを出して貰って、お刺身を切り分ける。食べる直前に乗せるのが良さそうだけど、味が薄いかもしれないなと漬け汁に浸した。そんな事をしていたら、あっという間に午後を回ってた。
「パーティーの時はこれ着てね!」
ニコニコしながら、千鶴叔父さんが袋を渡してきた。
仮装用の衣装かな。僕達の洋服は千鶴叔父さんが作ってくれてるから、センスは悪くないんだたまには付き合うか。
身内以外の女性の洋服だと露出が多めだから、樹里さんの洋服は基本作らせないんだけど、今日の彼女の衣装を楽しみにしてる僕もいる。
夕方まで何をしようかなって思っていたら、少し意地悪そうな顔した詩紋がロゼをブンブン振り回してた。
そんな事しててお互い疲れないのかなとか思いつつ、ぼんやり見守る僕がいた。
うっすら空も暗くなってきてパーティーの始まりだ。
樹里さんは腕や胸元まで黒いレースに包まれてるけど、とんがり帽子をかぶっていて、コンセプトは魔女みたいでロングのワンピースが似合ってる。
詩紋はオレンジ色のワンピース。
かぼちゃがコンセプトかな。ワンポイントの様に腰の辺りについてる黒い蝙蝠を型どったリボンがいいアクセントを出している。
ロゼは真っ黒のタキシードに白いケモミミ。尻尾もモフモフだ。文鳥なのにケモミミか。
千鶴叔父さんも珍しく洋装の白いタキシードに翼を出してる。
天使がコンセプトかな。
僕はというと、紳士っぽい帽子に黒いタキシードにマント姿。マントの裏面はご丁寧に真っ赤に染め上げられていて、吸血鬼をイメージしたんだと思う。
僕達が料理の仕上げをしていたら、キラキラした笑顔で喜んでくれてる樹里さんが目に飛び込んできた。
「仕事で全然手伝えなかったのにすごくみんな、頑張ってくれたんだね!」
すごく美味しそうに料理を楽しんでくれる彼女に喜んでらえる様に、またこんな日を作りたいねって目配せする僕らだった。