番外編 ハロウィーンパーティー前編(詩紋 視点)
今日はハロウィーン当日。
詩紋も、樹里さんのスマホを借りながら、料理作りに勤しんでいる。
ロゼはカボチャを練り込んだクッキーやカボチャのプリン作りに余念がない。
「可愛いクッキーに焼き上がりそうね。生クリーム手伝おうか?」
「大丈夫。頑張る…」
「詩紋は何作るの…?」
「カボチャでグラタンとか? 美味しく出来るといいけど」
雪が作るのは、サラダとポタージュかな。あんまりカボチャカボチャしたメニューも飽きちゃうかもだからか、ちらし寿司なんかも用意しているみたいだ。
さすが雪。樹里さん直伝で料理を、教わってるというべきか手際がいい。
詩紋達も手伝ってはいるけど、多分一人で作った方が早そう。
でも私達の手伝いたい気持ちも汲んでくれてるから、やらせてくれてる感じ。
大人しくケージで、遊んでた方が良かったかな。でも樹里さんの喜ぶ顔見たいし。
詩紋達が元気に遊んでる姿見てるだけで嬉しそうにしてくれるけど、役に立ちたいのはロゼも一緒だと思う。
詩紋は、ちょっと塩気のあるクラッカーをぐしゃぐしゃに砕いてバターを練り込む。美味しくなりますように…、そう願いながら出来上がった生地をタルト皿に敷き詰める。
軽くオーブンで焼いて、蒸しておいたカボチャとホワイトソースを混ぜ合わせ、レインボーチーズを沢山かけて焼き上げれば完成だ。
創作料理だけど美味しくなりますように。
グラタン皿で食べるのも美味しいけど、ケーキみたいに切り分けて食べたら、きっと樹里さん驚いてくれる。
ベッチャリとしないように、雪に作って貰ったホワイトソースは水分少なめだ。
ロゼか作ったプリンも美味しそうに出来上がった。
「あとはクッキー乗せるだけね。飾りの生クリームもおいしそうね!」
詩紋がそういうと、ロゼも嬉しそうな顔をした。
雪もポタージュが、美味しくできてご機嫌みたい。
「あとはお部屋を少し飾りつけるだけかしらね?」
窓にカボチャの顔やおばけや蝙蝠のステンシルを貼ったらなんだか楽しくなってきた。
部屋の雰囲気が変わったからかな。
そんなことを思っていたら、千鶴叔父さんから夕方に開けてねと袋を渡された。
雪やロゼも一緒。
軽くみんなでご飯を食べて夕方まで、好きに過ごしていいと言われた。
ゲームが大好きなロゼも今はそんな気分じゃないみたい。
私もなんだか落ち着かなくて、大好きなマンガも手につかない。
「樹里さんの邪魔したら雪に怒られちゃうしなぁ、ロゼ…ブランコ乗る?」
「受けて立つけど…」
これでもかと言うくらい揺らしてみたけど、ロゼはブランコから落ちる事はなかった。