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天敵10★

 ★★★


 私を襲った(あやかし)達を捕まえる為に、少し裏庭から離れた林の入り口近隣に、餌場にする空間を千鶴さんが作ってくれたそうだ。


 そこに(あやかし)の木の食材を置き、雷の力を抑える効果のある餌を保管してある。

 小さな結界の穴を餌場への入り口に開け、何も知らないハクビシン達は、毎日の様に食べ物を奪いに来る……。

 よくわからないけれど、結界は2重にはっているとの事。


 最初は警戒して、食べ物を運び出していたみたいだけど、何日も日を置くと、彼らの仲間の数が12匹だとわかったそうだ。


 (あやかし)の木の生み出した食物…、という事がバレないように、品質はそれなりに落としてもらっている。


「私達に生み出す食材についても、クオリティ下げてくれませんか?他の食べ物口に出来なくなるので…」


 そう(あやかし)の木さんに嘆願した所、何度も頼み込んで、渋々聞いてくれるようになったり……。そんなドタバタな事もあったりして…。毎日、最高級の食材食べていたら、外食すら出来ないくらい、舌が肥えてしまいそう……。外食も、高級店にしか行けなくなってしまうかもしれない。それはお財布にも優しくないので遠慮したい。



 着々と彼らを捕らえる準備は、進められているらしい。


 私に出来ることは殆どないので、ご飯を振る舞ったり仕事をしたりして、大半過ごしている。

 雷の耐性と風の力が強まる食材を生み出してもらい、(せつ)くんたちに振舞っている日々を過ごしてる。


 千鶴さん以外の誰かが、文鳥の姿であったり、人の姿で必ずそばについていてくれる。



 ★★★


 最近(せつ)くんは、お料理にハマったみたいで、色々作ってくれる。お仕事の邪魔しないようにと詩紋(しもん)ちゃんは小説とマンガにハマったのか、やはり静かに遊んでいる。


 意外だったのがロゼくん。

 すごくゲームが、好きだとわかった。一人で大人しくイヤホンつけながら、邪魔しないように仕事が終わるのを待ってくれてる。


 すごく守られているな……、ありがたいな…。そう思う反面で、本来なら自由に過ごせる彼らに申し訳なくて少し胸が痛む。


 そんな手間をかけてまで、一緒にいてくれて、守ろうとしてくれるのが、嬉しくもあり足手まといな自分がすごく悲しい……。


 もっと何かしてあげれたら良かったのに……。私自身にも、出来る事があったら良かったのに。彼らの自由を、奪っている様な息苦しさに、どうしていいのかわからなくなってしまう…。


 近くでマンガを読んでいた詩紋(しもん)ちゃんが、心配そうに見ている事にも、私は気がついていなかった…。



 ★★★


 トントントンとドアをノックする音が響く。


(せつ)です。入っていいですか?」との声が聞こえ、「どうぞ」と応えると詩紋(しもん)ちゃんが扉を開けに行く。


「差し入れを作ってみたので、食べてみてもらえませんか?」


 そういって、差し出されたお盆に乗っているのは、美味しそうに焼けたワッフルと、少しいつもと色の違う生クリームとチョコクリームが添えてあるお皿と紅茶。


 (せつ)くんは日に日に、お菓子作りもお料理の腕も上達していて、こうして何か作ってきてくれるようになってきた。


「僕とロゼとおじさんは味見がてら、食べちゃったので、二人の分です」


「ありがとう」


 お礼をいい、生クリームをつけて食べてみると、アールグレイの華やかな香りとほんのりとした甘さが広がる。


 ワッフルも表面はカリカリなのに、中はしっとりふわっとしていてすごく美味しい!


「これ、生クリームにアールグレイの濃液を混ぜたの?すごく美味しい!」


 詩紋(しもん)ちゃんも「美味しい!」と嬉しそうに食べている。


樹里(じゅり)さんがいつもひと手間加えて、さらに美味しくしてくれるので、僕なりに考えてみました…。最近、樹里(じゅり)さん……、元気ないから喜んで貰えて良かったです!」


 ふと見ると、詩紋(しもん)ちゃんもニコリと微笑んでくれる。


『みんなに心配かけちゃってたんだな…』


 余裕がなくて全然気がついてなかった…。

 出来る事で恩返しすれば良いのかな。力がない事を嘆いても、何も変われないのに。私はその事実すら忘れてた…。


 (せつ)くんに、優しさと元気を分けてもらったから、できる事を私のペースで頑張ろう……。そう心に決めたティータイムだった。



★★★

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