表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/49

天敵9★

 ★★★


 晩御飯を食べて、お茶を飲みながら一息ついていると、ロゼくんから「これ…」と木箱を渡された。


 わけもわからず受け取り、千鶴さんに「開けてみて」と、言われたので大人しく従う。


 渡された桐の箱を開けてみると、キラキラと光輝いている水晶で出来た、ブレスレットが入っていた。


「無事に作れて良かった……。上手く交わらなかければ、意味がなかったし……」


 そう深く息を吐き、呟く(せつ)くん。


樹里(じゅり)さんは、元々霊力はあったのだろうけれど、僕や詩紋(しもん)達と一緒にいること…。そして、あやかしの木の食べ物の影響や…、この地の龍脈…、いろんな影響が重なったみたいで、すごく目立つ存在になってきてる……みたいなの。お守りなしで外で歩いたら、今日みたいに狙われる位に……」


 言葉を引き継ぐようにして、詩紋(しもん)ちゃん達2人がそう教えてくれた。


 (せつ)くんの様に、食べ物を生み出す木を生み出すあやかしも、あまり存在しなかったみたいで、私の様に人間も影響を受ける事を知らなかったみたい。


 ただ、種を植えた本人だからこそ出る効果で、他の人が食べても私の様にはならないだろうと言われた…。


「僕らやあやかしの木が、樹里(じゅり)さんを大好きなように…。多分僕らが惹かれてやまない、気質なのかもしれない……」


 悪いあやかしなら、私を食べて取り込み、妖力を上げようとする可能性がある…とか、いいあやかしでも料理や気質故に、そばにいたいと思わせるそうだ。

 それ故に、私が神隠しをされかねない、存在になっている……と説明された。


 正直言ってよくわからない……。悲しければ泣いちゃうし、怒るし普通の人でしかないのに…。なんでだろう……。



樹里(じゅり)ちゃん、これからは出歩く時にはブレスレットをつけてね。君のあやかしを惹きつける要素の、目眩ましの役割をしてくれるから。そうでないと、今日みたいに狙われてしまうかもしれない……。一人で出歩けなくなってしまうから…、約束だよ?」


 真剣な顔で千鶴さんに、そう言われ息をのむ。


 思い出すだけで、背中にゾクリと悪寒が走る。あんな怖い思いを……、ずっとする事になりそうだったと言われ、恐ろしさに体が強張ってしまう……。



「そうならない様に、僕らみんなの妖力の結晶で、お守りを作りましたから……。怖がらないで…? あやかしの木達も、力を分けてくれたんですよ! あなたを守りたいと……」


 そう言って、小さな体で安心させようと優しく背中をなでてくれる(せつ)くん。


『温かい。優しい……』


 言われてブレスレットをよく見ると、木材で出来た文鳥の形をした飾り部分が2箇所ある。白い木材と黒みがかった木材。とても愛らしい。


「私も種生み出せたらなぁ~。叔父さんや(せつ)みたいに、私の木のパーツも入れて欲しかった! いつか種を生み出せたら、その時一緒につけてね!」


 ちょっと拗ねた様に、そういう詩紋(しもん)ちゃんに、無言でコクコク頷くロゼくん。


 怖くて不安な気持ちが、解けていく…。

 すごく嬉しくて、嬉しいのに泣いてしまいそうな位に、彼らの気持ちが温かい……。


「ありがとう……。大切にするね」


 私が自由に動ける様に。

 彼ら以外のあやかしに、襲われない様に。色々な理由で、彼らは私の為のお守りを作ってくれた…。


 彼らとの縁も、このブレスレットも……。私の一生の大切な宝物になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ