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天敵8★

 私は文鳥姿の(せつ)くんと詩紋(しもん)ちゃんを思う存分堪能した。遊び疲れた彼らは、今私の手の中で気持ちよさそうに寝ている。



 安心してるみたいで、ぺたりとお腹をつけて寝ているのか、手のひらに広がる温もりと、トクトクと穏やかな心音が響いてくる。


 そんな風に体を預けてくる子には、触れたことがなかったので、知らなかったけど……。彼らを手の中に握っていると、私も何やら眠くなる……。

 催眠成分でも醸し出してるのかな……、そう思うほどに……。


 私もつられてウトウトしそうになった頃、「「ただいまー」」と声が響いた。

 千鶴さんとロゼくんが、帰ってきたみたいだ。


 (せつ)くんも詩紋(しもん)ちゃんも、眠そうな目をうっすら開けて、ぽや~と寝ぼけてる顔を浮かべていて可愛い。


「もう少し休んでいて?」と机の上に置いていたタオルの上に、彼らを移動しようとすると、すかさず私の手元から絨毯の上に飛び降りて、人の姿に戻る(せつ)くん。


 詩紋(しもん)ちゃんも、よたよたとしたり降りようとするので、慌てておろしてあげる。



 ★★★


「私寝ちゃってた……。樹里(じゅり)さんの撫で撫で……、気持ちいい……」と頬を染めて言う。


「ふぁ、二人共帰ってきたんですね……。ハンバーグ焼く準備しますか?」


 あくびを噛み締め、(せつ)くんにそう聞かれた。「そうしようか」と、千鶴さんとロゼくんの元へと向かう私達。


「詳しい話はあとにしようか…」


 そう言ってみんなで、冷蔵庫で寝かせていたハンバーグのたねの形を、整えて焼いていく。

 その間に詩紋(しもん)ちゃんが「スープも温める?」と聞いてきてくれたので、「お願いするね~」と頼んでおく。


 しっかり強火で、両面に焼き色をつけて、きれいに焼き色がついたら、お皿に上げていく。


「これは…。まだ中は生じゃないのかい?」


 不思議そうな千鶴さん。


「生ですよ。見ててくださいね」


 私はそう言うと、ハンバーグの焼いた残りの肉汁の上に、スライスしておいたじゃがいもや人参、付け合せの野菜を乗せていく。


 野菜の高さより少し少ない程度に水をはりその上にハンバーグをまた乗せていき、蓋をしめる。


「あ…もしかして蒸すんですか!」


 この焼き方は、以前にテレビてみて、覚えていたものだったのだけど、試したらふわふわ肉汁たっぷりで、野菜にもハンバーグの旨味がうつるので、今では好んで作ってる調理方法。


「そうなの。ちょっと全体的に茶色くなっちゃうのは残念だけど、味は美味しいと思うから…」


 ゆっくりと、10分程蒸したら完成だ。

 そういえば椎茸もあったな~と思い、椎茸の下処理をしてから、小さなフライパンに、オリーブオイルを少したらす。

 フライパンが温まったら椎茸をいれ、お塩とレインボーペッパーをミルで削り落とし薄く味付けをする。


 ポタージュに生クリームと刻んでおいていたパセリをふりかけスープも完成。


 なんか仲良し家族みたいにみんなが手伝ってくれて、ワイワイとご飯を食べるのが嬉しい。



 バケットもあったので、斜め切りにしてフライパンで両面炙り、ガーリックバターを塗り込んだ後、とろけるチーズを乗せて、軽くオーブントースターで焼いたら完成。


「みんなが手伝ってくれたから、早く完成したね!」


「それじゃあ食べよう?」


 冷蔵庫で味を染みさせていた、カプレーゼもだしてきて、みんなでご飯タイム。


 喜んでもらえるかな?

 ドキドキしながら、彼らの様子を見ていたけど、私もハンバーグにオーロラソースをかけ、ハンバーグを一口。


 コンソメの味わいと、自然なお肉と玉ねぎの甘さに、バジルの爽やかな香りが広がる。


 炒めずに生で入れていた分の玉ねぎの、シャクシャクした歯ごたえも残っていて美味しい!

 付け合せのお野菜にも、ソースをつけてぱくりと食べると、お肉特有の旨味が染み込んでいて、食べやすい。


「はわー!詩紋(しもん)…、初めて食べた味ですが…。美味しいです。樹里(じゅり)さん」


 頬を染めつつ、そういい食べてくれる詩紋(しもん)ちゃん。食べる事にしか意識が向っていない、ロゼくん。


「僕にも作れるようになるでしょうか……?」


 なんて言いつつ、味わう(せつ)くん。



「あ、赤ワインもあるけど、千鶴さん飲みます? 一人じゃ空けられないから、料理用に使おうかと思ってたのですが…」


「いただこうかな」


「はい! なんか(せつ)くん達も、飲めるのかもだけど……、どうだろう……? 外見的には罪悪感がすごい…けど…」


 気を遣ってくれたのか、お子様見た目のあやかしさん達は「お茶がいい」と言ってくれたので、冷蔵庫で水出ししていた、マンゴーの風味のする烏龍茶を注いで三人にも渡した。


 こうして私の夜は、楽しく更けていくのであった。

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