天敵7★
一応仕事は、頼まれていた数作品のラフを描き終えた。それなりに、切りのいい所までイラストは描けたように思う。
ラフのデータを取引先に送って、変更が必要な所を擦り合わせつつ、完成させていく。今の私にできることは一通り終わらせたので今はないかな……。
ペンタブから離れ、軽く伸びをし窓を見ると空が赤らんでいる。
★★★
「もう夕方かぁ……」
とりあえず、家にある材料でなにか作りたいな。そう思い家にあった材料で作れるのは…ハンバーグ!
よし作ろうかな…!
そう思いリビングに足を運ぶと雪くんと詩紋ちゃんがいた。
「お仕事進みましたか?」
雪くんは、にこやかに聞いてきた。
すかさず、お茶まで淹れてくれるのでありがたい。
「ありがとう…」
温かいお茶を飲んで、体のこわばりが少し緩んだように感じる。
「千鶴さんとロゼくんは?」
「ちょっと用事が出来たので、一旦家に帰りました」
「じゃあ夜は3人だけかな?」
ちょっと淋しい気持ちになって、聞いてみる。
「晩御飯は一緒に食べたいと言ってましたけど、迷惑じゃないですか?」
そんな風に、雪くんに問われた。
「私も一緒に食べたかったから嬉しいよ!」
「いつもはみんなで、ご飯食べたりしないから、私も嬉しい!」
心配そうな顔で見ていた詩紋ちゃんも、嬉しそうにそう言ってくれた。
「お腹すいたら、それぞれ食べる感じですからね。大体食事は1羽ですね」
雪くんも、普段は妖力を吸うか、文鳥姿で食べてるから……と、言いつつふわりと笑う。
「バジル入りのハンバーグ作りたいんだけれど、みんなハーブとか大丈夫かしら?」
そう聞くと二人は「好き嫌いはあまりないから大丈夫」と笑った上で、手伝うと申し出てくれる。
「ちゃんと遊びに行ったりできてる? ずっと傍にいてくれるから嬉しいけど心配……」
「「とりあえず作りましょう。その後に遊んでくれたら嬉しいです」」
二人にそう言われたので、お言葉に甘える。
ひき肉を出してもらい常温に戻す。食パンを小さくちぎって、牛乳につけておく。こうすると肉汁たっぷりで、ジューシーなハンバーグになるから、すごく好きなのだ。
★★★
粗塩と粗挽き胡椒、コンソメ一つに玉ねぎのみじん切り、バジルの葉も4つほどにちぎって準備しておく。
下準備は完了したので、オリーブオイルをフライパンに入れ、玉ねぎの半分ををじっくり炒める。そこに塩、コショウとコンソメを足して、更に炒める。味を少し見て、ちょっと玉ねぎの塩味が濃いかな?そのくらいで火を止めて、まだ熱の残った玉ねぎの中にバジルを入れ香りと風味を移すのが私流。
次にひき肉に卵と、牛乳につけたパンを混ぜ込んで行く。玉ねぎも少し熱が取れたら、一緒に粘りが出るまで、混ぜ込んで行く。残しておいた生の玉ねぎのみじん切りも!
「バジルの香りがすごくしますね……。あと僕も混ぜてみたいです」
雪くんが楽しそうにいう。
「ありがとう!」
お言葉に甘えて交代してもらい、ひき肉に粘り気が出てくるまで、混ぜ込んでもらう。
「かなり力がいるんですね…」
なんて驚いてる雪くん。
手の汚れていない詩紋ちゃんに頼んでラップをつけ、冷蔵庫に入れて30分程休ませる。こうすることで、型くずれがしにくくなるような気がするのでやっている。
あとは付け合せに人参とじゃがいもを1.5cm程のスライスを作っておき、じゃがいもは水につけて……。
マヨネーズと、ケチャップとトンカツソースをよく混ぜてオーロラソースの出来上がり! あとは成形して焼くだけ。二人が帰ってきたらご飯にしようねと話す私達。
トマトとモッツァレラチーズのスライスを交互に重ねる。その上に玉ねぎのスライス、バジル、オリーブオイルに塩、コショウをかけてカプレーゼも手抜きだけと完成ね!
冷蔵庫に入れて冷やしておこう。
スープは手抜きさせてもらおうかなと粉末のポタージュスープと牛乳と水でできるスープで完成にさせてもらおう。
★★★
「下準備できたし、遊ぼうか?」
そう言うと二人は大きな目をキラキラさせながら、文鳥姿になって撫でてと寄ってくる。
モフは正義だとつくづく思う……。