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天敵4★

 千鶴さんの木はご本人同様に、フリーダムというかとんでもなかった…。何やら千鶴さんの木は「すでに懐いている」と、(せつ)くんに少し不機嫌そうに言われた。でも、木が懐くって。


「アイツラが来なければ…、叔父さんの木を植える必要はなかったし、僕の木だけで良かったはずなのに……」


 (せつ)くんががボソリと呟いた言葉…。『ヤキモチかな……?』って思えて、可愛くて撫でたくなってしまう。いつもながら可愛いなぁ。


「無事に私の木とは、仲良くなれたみたいだね」


 戻ってきた私達を見て、千鶴さんがふわりと微笑んだ。木の力の増大減少の気配は、感じられていたようで、「また叔父さん……、樹里(じゅり)さん困らせた……」とロゼくんに言葉少なに責められていた……。


 ★★★


 みんなが作戦会議している食卓に戻り、あやかしの木の産物に付加をつける方法か~と思いを巡らせてみる。


 私が好きだったRPGのゲームなんかだと、グミとかいろんな食品に能力の効果があったな……。


 一時的に能力を上昇して強くなるもの。失敗作を食べさせて体力減らさせたり、相手の能力を下げるものもあったな~。けれど、ここはゲームじゃないからステータスなんて見る事はできない。実際に成功するなんてあり得ないけど……。


「ちょっと裏庭にもう一度行きたい」


 そう伝えると、今度は詩紋(しもん)ちゃんが、手を繋いでついてきてくれた。優しいなぁ。


 歩きながら「みんなが体感できる能力って何かあるのかな?」そんな質問をしてみる。


「妖力は…普通にみんな感じると思うけれど。あとは風の力とか……」


 少し考えながら、詩紋(しもん)ちゃんは教えてくれる。


「教えてくれてありがとう」


 (せつ)くんのあやかしの木の前に来ると、私は木に触れて、イメージを浮かべてみる。


『妖力が上がる林檎を作れますか?そしてバニラビーンズも……』


 木に話しかけるように思い浮かべると、『出来るよ!』何やらそんな言葉が頭の中に響いた気がした。


 大サービスとでも言いたげに、大量の林檎とバニラビーンズか、持ち歩きやすい様に袋入りな上、籠までついて出てきた!


「ありがとう。優しいね」



 ★★★


 そう木の幹を撫でると、『重いでしょう?』なんて声が聞こえてきた気がして、枝をシュルシュルと延ばし、袋に巻き付いたかと思うと、家の中へと危なげなく運んでいく……。


 唖然として見守るしかできない私。


「あぁ……! おじさん捕まえる時に、枝葉のコントロールを覚えちゃったからか……」


 なんて愛らしいお顔に苦笑を浮かべつつ、詩紋(しもん)ちゃんが「行こう?」と手を引いてくれる。



 ★★★


 そして、ここまででなんとなく気がついたのは、千鶴さんに対しての(せつ)くんと詩紋(しもん)ちゃんの呼び方。


 普段はちゃんと叔父さんとして呼んでるみたい。でも、呆れた時とか怒った時には呼び捨てになってしまうみたい。


 怒ったりお説教してるけれど、千鶴さんを好きなのだろうし、尊敬してるから呼び名を変えるのかな?


 彼らのそんな関係が微笑ましくて、密かに微笑む私だった。

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