出逢い3★
なんだか小鳥さんの側にあった種を、好奇心で植えたらすごい勢いで木になった?
★★★
私疲れてるのかな~?
…なんて思いながら、まだ体調が良くないであろう、小鳥さんの様子を見に戻る。
ふと拾った小鳥さんを見てみると、そんなはずはないのに怪我の回復が早い??
心做しか…、傷口が小さくなった??そんな気がする。やっぱり疲れているんだな〜と、小鳥さんも少し調子良さそうだし、箱ごと小鳥さんを連れていく。
早くに傷が塞がったら嬉しい!それは良いことなんだけど、お別れか……、そう思うとすごく淋しい。
この子が飼い主さんがいるのか、野生なのか。かえってしまったら、私も文鳥を育てようかなぁ……、なんてそんなことを考えてしまう。それぐらい癒やされたし可愛かった。
『僕そばにいちゃ迷惑なのかな…??』
そんな声が聞こえた気がした。
周りを見るけど誰もいるわけないし、小鳥さんを見ると、大きなつぶらな瞳をこちらに向けている。
「君のはずはないよね??」
無駄だと思いながら、小鳥さんに呟いてしまった。なんだか本格的に、疲れてるみたいだ。まだご飯は大丈夫そうだし、もうちょっとだけ休も……。
★★★
心配だから君も一緒に行こうねーと、軽く小鳥さんへと声かけて、振動が伝わらない様に、箱を大切に両手で持ち、共に寝室へと足をすすめる。
仕事はまだあるし、寝れても1〜2時間だなぁ~。などと目覚ましをセットし、「おやすみなさい…」と眠りにつく私。
★★★
ピピピピ…と、時間の訪れを知らせるアラーム音に、意識を覚醒しようとするけど、疲れが取り切れないのかまだ眠い。
だけど…、お布団が妙に温かいから、よく眠れたんだなぁ。なんてぼんやり思っていると、少しずつ意識が覚醒してくる。
「ん?」
誰かが腕に巻き付いて寝ている。
『小さな男の子??』
黒髪に黒っぽいお洋服を着た男の子が、幸せそうに隣に寝ている。お洒落に装着しているソックスガーターが似合っている。
「へ?誰?迷子!?」
「んん……」
私の上げた声に意識が浮上したのか、男の子は覚醒しきっていないのだろうなってくらい、ゆっくりした動きでムクリと起き上がり両目を擦る。
瞳を開けた顔は見たことないけど、あどけなくてこのまま成長したら、美形に育つのだろうな。そんな雰囲気が伝わってくる、可愛らしい少年の姿があった。
『いや!なぜこの子は、私の寝室にいるの!?』
動揺を隠せない私は、その子の様子をぽかんと、見ているしか出来なかった訳だけど……。
★★★
クリクリとした大きな茶色の瞳を開き、私を見ると少年は抱きついてきた……。
「助けてくれて、ありがとうございます!!貴女が、龍脈に木を植えてくれたおかげで早く回復できました!!」
龍脈だと!?なんぞやそれは?
聞き覚えのないワードにポカンとするも、異常な成長を果たした『木』には覚えがある……。
「はぁー…。君は誰なの??なんでここにいるのかな?」
漆黒のキューティクルヘアに、茶色の瞳を持つ少年は、大きな瞳に涙を沢山ためて、私を見つめてくる。
こんなかわいいおショタと、前に知り合ってたら友達に自慢するさぁ…。…というかなぜ、この子はここにいるんだろ?
どうしてこうなった??困惑する私の耳に届いたのは……。
「僕を助けてくれた恩人なのに……!わかって貰えないなんてっ!」
そんな言葉と共に、ギャン泣きを始めた少年の姿に、私は思わず言葉を失った……。