表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/49

家族5★

 ★★★


 焼きそばの材料をキッチンに取りに行き、裏庭へと戻ると、心待ちにしていたらしい詩紋(しもん)ちゃんが抱きついてきた。


「私も、あのイロモノの千鶴いなければ、ついて行きたかった~」


 千鶴さんは、二人に通常呼び捨てされてるのか……。そんな事を思ってしまい、少し苦笑しつつも「ありがとね」そう伝え、詩紋(しもん)ちゃんを撫でる。



 ★★★


 あやかしの木に頼めば、海鮮焼きそばも材料を出してくれるけど、今日はオーソドックな焼きそばの気分。みんなの口に合えばいいなと思いつつ、鉄板にごま油をたらす。


 人参、ピーマン、玉ねぎ、キャベツにもやしといった、焼きそばの具に火を通していく。

 少し離した場所で、お肉も火を通していく。


 野菜がしんなりしてきたら、塩と粗挽きコショウに、粉末調味料のおだしを使って、軽く下味をつけてもう少し炒める。


 私の焼きそばは、何故か「別名が焼きそばと言う名の野菜炒め」と言われる程に野菜が多い。


 レンチンしてきた焼きそばの麺も、炒めながらお野菜と一緒に炒めていく。

 そろそろかな?


 中濃ソースとウスターソースを、それぞれかけつつ味を調整していく。

 ジューッといい音をさせながら、香ばしいソースの香りが広がっていく。


 ちょっと味見をして、最後に味の最終調整をしたら完成だ。


「出来たからお皿持ってきてねー」


 みんなの食べれる量を確認しつつ盛ると、私の取り分を残して、既に完売状態になった。


 みんな細身なのによく食べるぁ……。

 これならサプライズで作っておいた、アレも完食するかも知れないな。 


 ふとスカートが引っ張られ、そちらの方へと目を向ける。

 何故か終始、私のそばで焼きそばを美味しそうに、食べていたはずのロゼくんが私を呼んだらしい。


「美味しい……」


 私を見上げる様にして、言葉少なにそう言うと、にっこり笑顔をみせてくれた。可愛いなぁ。つるりとした頭をひと撫ですると、はにかんだ様に更に、笑顔を深めるから愛らしい。


 千鶴さんも「妖力の増加がすごい……!それに美味しい…」とよくわからない褒め方をしてくれる。


 私も紅生姜をたっぷり乗せて、熱々のうちに口にする。口の中いっぱいに野菜の甘味が広がり、香ばしいソースの香りが鼻を抜ける。

 うん。美味しくできたかも!


 何やら今日はたくさん料理したなぁ、楽しいなぁ。締め切りまで時間はあるけど、お仕事も進めなきゃな〜。なんてそんな事に思いを馳せる。


 焼きそばだけじゃなく、たくさんあったはずのバーベキューの食材も完売状態。


「大したものじゃないけど、デザート食べますか?」


 私がそう声をかけると当たり前のように、みんな目を輝かせながら、頷いてくれる。


 空き皿を持てるだけ持って、運ぼうとすると「今度は詩紋(しもん)樹里(じゅり)さんといくの~!」と詩紋(しもん)ちゃんが運ぶのを手伝ってくれた。



 ★★★


 そして締めは、フルーツポンチ!

 りんごやパイナップルにキウイ、オレンジと桃缶を食べやすいサイズに切ったフルーツ。それらの入ったボウルに、残っている缶詰のシロップとレモン汁をたくさんかける。


 それらをお盆に乗せて、500mlのサイダーを数本乗せ裏庭へと持っていった。


 裏庭に常備してあるテーブルに、ボウルやペットボトル等を、小皿と一緒においていく。食べたい分だけ取り分けて、サイダーをかけて完成という簡単なもの。


 本来は、もっと違うものなのかもしれないけれど、私の中のフルーツポンチといえばこれ!


樹里(じゅり)さん!これ美味しいです!!」


 (せつ)くんが喜びの、あまりお皿を置いて顔を擦りつけてくる。


 可愛い……けど、どさくさに紛れて、お口拭いてる気がしなくもないのは、気のせいだろうか……。

 小鳥ってさり気なく拭くよね……。



 ★★★


 みんなと食べるのが楽しくて、美味しくて、つい食べ過ぎちゃったな……。

 そんなことを思いつつ、思いもよらぬ立食パーティのような時間に、私は充実感を覚えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ