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家族2★

 ★★★


 私はこういう、素材の味が生きてる料理が好きだけど、二人の口には合うかな?


 恐る恐る口にした2人は、頬を押さえてて幸せそうに味わっている。


「口に合ったみたいで良かった〜」


 私がそう言うと、2人はコクコクしながら、「「美味しいです〜!」」と言ってくれた。


 私も醤油をかけて、焼いていた帆立を加熱され柔らかくなったカマンベールチーズをつけて、チーズフォンデュのようにして食べてみる。


 カマンベールチーズが程よく加熱され、トロリとした舌触りと濃厚なチーズの香り、帆立を焼く時に少量だけど、かけておいたお醤油の焦げた香りがたまらなく食欲をそそる。


「やっぱり、美味しいなぁ」


 私は作るのも食べるのも好きだけど、誰かとその美味しいという気持ちを、共有出来るからお料理が好きなのだと思う。



 ★★★


 最高級食材と化した、食材で作ってるんだから、不味いわけがないし!幸せすぎる。


 だけど、ふと考えると誰彼構わずに、やはりこれはご馳走していい物ではないと思えた。多分それをすれば、(せつ)くん達が狙われたり、危険な目に合うような…。迷惑をかけそうな予感がする……。


 家族や友人だからといって、簡単にこの食材は出せないな……としみじみ思った。自分で買いたいから入手先を教えてと言われても困るのよね……。実際問題…。


 少しだけ私の行動で、(せつ)くん達が、人に狙われる存在になりかねない。それ程の物を握っているのかもしれないそう感じてしまった。


 便利だしありがたいと思う反面、ほんの少し怖くなった……。



 お肉にも火が通り、それぞれが自由に食材を、鉄板に乗せつつ食べだした頃。誰かが私のスカートを、クイクイと引っ張る。

 ふと見ると、(せつ)くん達よりもっと小さな男の子がいた。私有地なのに何故?そう思うのに、あまりに可愛くて何も言えない。



 ★★★


 真っ白な髪に、きれいな赤い瞳で私を見つめてる。茶系の色合いのスッキリしたスーツを着ており、ふわふわとしたフリルの多い、愛らしい服を着た男の子が佇んでいる。


「美味しそう……。ボクも……欲しい……」


 ポツリとそう言うと、視線はバーベキューに釘付けだ。


 なんだかこんな感じ、昼と似てるなと思い、お皿を渡してみると、男の子に気がついたのか食事に夢中になっていた(せつ)くんが、「ロゼ…!?どうしてここに!?」と声を上げる。


 彼も親戚くんなのかな?


 そう思いつつ、「火傷しないでね?」とロゼと呼ばれた男の子が、目線で追っていた焼けたお肉を、取り分けてあげた。


「千鶴叔父さんが……、ここに連れてきてくれた……」


 ロゼ(?)くんはボツりポツリとそう言い、バーベキューを静かに食べ始めた。


「千鶴叔父さんが、ここに来てるの!?」


 何故か(せつ)くんと詩紋(しもん)ちゃんは、引きつった顔をしている。

 意味がわからず呆然としている私は「もし千鶴叔父さんが姿を現したら、絶対に近づかないでね」と強く2人に言われた。


「千鶴叔父さんは…、見た目だけはいい。美形の紳士にしか見えないから、余計に質が悪いんだ。あの人…本当にエロオヤジだから、樹里(じゅり)さんが危ないし近づかないで!」との事。


「ねぇ、(せつ)…。千鶴叔父さん対策にトラップ準備した方が良いかな?」


 少し黒い笑みを浮かべつつ、天使のようなお顔で、とんでもない事を言い出す詩紋(しもん)ちゃん……。


「でもそれで、万が一樹里(じゅり)さんが怪我したら嫌だから、見つけたら駆除すればいいと思うよ?ご飯くれたお姉さんが困るの嫌でしょ?ロゼも手伝ってくれるよね?」


 え??(せつ)くん…。今、駆除って言った?私の天使達が何やら黒く見えた瞬間だった。



 ★★★


 ロゼくんは、マイペースにほっぺ一杯にお肉や野菜を詰めて、もぐもぐ食べてる。そんなロゼくんも何やら神妙なお顔をしてコクリと頷く。


 千鶴さんとは一体……?

 バーベキューをパクつきながら、私は困惑気味にそう思うのだった。

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