表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/49

家族1★

 ★★★家族★★★


 私は数種のタレを用意しする。食材を裏庭にある、祖父のお気に入りのガーデンテーブルの上へと、所狭しと並べる。串に刺した牛肉やら、切り分けたピーマンや人参、とうもろこしに玉ねぎといった、まずはお野菜を準備する。


 ふと、ワインのおつまみにと買った、カマンベールの存在を思い出す。アルミホイルに乗せて上部をくり抜いたものも持ってくる。


 加熱してトロトロにすると、簡易のチーズフォンデュの様になるのだ。


 ちょっとワイン入れたくなるけれど、そこは見た目が子供な彼らもいるし我慢する…。


 食材を運ぶ手伝いを(せつ)くんが頑張ってくれてるおかげで、スムーズに準備ができた。途中から起きてきた、詩紋(しもん)ちゃんも手伝ってくれた。


 今日買ってきたばかりのトングで、少しずつ、野菜やお肉を、網へと乗せていく。


 食材の焼ける匂いに、お腹がすいてくる。


「ご飯楽しみだねぇ」


 そんなことを言いながら、焼き上がりを心待ちにしている(せつ)くんや詩紋(しもん)ちゃんは、焼き上がる前に手を出してしまいそうな勢いだ。


 少しずつ焼けていくお肉や野菜に、大人びた印象が強い(せつ)くんまで、釘付けになっている。

 本当に食べ物には弱いみたい。


 2人とも可愛くて、そんな2人を見ているだけでも、お腹いっぱい幸せいっぱいになれる気がする。


 うーん。でも……、あの食材もあったら…。

 ふと、そんなことを思いついて、あやかしの木に食材追加をお願いする私。



 ★★★


 こぼれ落ちないように気遣ってくれたのか、食材は紙のような容れ物に入って出てきた。


 あれ?

 さっきまではそのまま枝になってたのに…。何やらあやかしの木さんの気遣いが、グレードアップしている気がする……?


「ありがとう、優しいですね。あやかしの木さんは…」 


 そう声かけると、そんな私に詩紋(しもん)ちゃんがニコニコしながら、声をかけてきた。


「木も喜んでるよ!あと…それで何作るのかも、詩紋(しもん)早く知りたい~!」



 ★★★


 詩紋(しもん)ちゃんにとって、その材料を使って、何を作る気なのか…、の方が重要らしい。ふと笑ってしまいそうになるけど、お腹をすかせた雛鳥のようになっている、2人の為に食材を取り出す。


 車海老と帆立貝。それらを鉄板に並べ、岩塩をミルで削りながらふりかけていく。帆立も焼いて開いた貝の上に、醤油をふりかけ火の通りを待つ。


 でも、あやかしの木さんは万能ですね。車海老は、殻付きで想像していたのに、殻や下処理がされた物が出てきてる……。


 有り難いけど、せっかく身につけた下処理などの方法を、忘れてしまいそうなので、程々にお願いしますね…と、思わず呟いてしまう。


 何やら、木がしゅんっと下を向いたように感じたから、「お願いした時だけ助けてくださいね」とだけ言葉にしてみる。その言葉を受け嬉しかったのか、サワサワと揺れるあやかしの木。


 木にも感情があるのか…。

 そんな事を感じつつ、ジュースを2人に渡す。

 


 ★★★


「追加したものも、どんどん焼くから食べようか!」


 そう言って、お箸と小皿を彼らの前に置いた。


「2人と私の同居を祝して乾杯!」


 私がそう言い、3人でグラスを軽くそえるように乾杯をしてから、みんなでジュースを飲んだ。


 飲みかけのグラスをテーブルに置くと、それにならうようにして、2人も置テーブルに置くと小皿とお箸を手にする。


「じゃあ焼けたとこから食べよう。好きなタレを使ってみてね?」


 魚介類は野菜やお肉より、火の通りが早い気がするので、2人に渡した小皿の上に、焼き上がったものを分けていく。


「好みで粗挽きコショウかけたり、オレンジを絞りかけてみてね。さっぱりとした味で食べられるから」


 そう伝えると、箸休めのフルーツでオレンジは食べると思ってたらしい。そんな2人は、目を丸くして恐る恐るオレンジを絞り、海老へとかけていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ