表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/49

出逢い2★

 ★★★


 小鳥さんのために、卵とお粥それに缶詰のコーンを擦り潰したものを、冷ましてから食べさせようと作ってみた。食べてくれるかしら…。


 …なんて心配しながら、小鳥さんが起きるまで待とうとしていると、元気のなかった顔を上げて、小鳥さんは弱々しくお礼の様にピィョ…と鳴いてくれた。


 少しは元気になったのかな?


 ★★★


「ご飯食べれるかな?」


 そう声をかけると、嬉しそうに顔を上げてくれた気がしたのは気のせいかな…。


「私達は君たちの言葉がわからないから、都合よく解釈しちゃうんだよ?ご飯食べれるだけ食べてね。今持ってくるから、ちょっとまってね……」


 コーヒー用だけど、大きめのマドラースプーンに、小鳥さんのために作っておいた、重湯のお皿をそっと手に取る。


 熱くはないかな?そう思いながらも、フゥーと息を何度か吹きかけ、冷ましてから口元に運ぶ。


 少しでも食べてくれるのかしら……、ドキドキしながら小さな命の選択を待つ。


 はくりと大きな口を開けて、重湯を食べてくれる小鳥さん。雛ちゃんみたいでめっちゃ可愛い!


「ピィー……」


 少し力を取り戻したようなお声で、口を開けて、おねだりする小鳥さん。私の心はもう、小鳥さんに持っていかれている気がしますよ。君、咬みついても仕方ないのに耐えてくれるし、我慢強くてその上に可愛すぎるとか!


 おねだりがなくなるまで、口元にスプーンを持っていって、その愛らしさに悶絶する私。


 ★★★


 食べ終わったのを見届けると、ティッシュで口元を優しく拭ってあげる。しっかり睡眠させないと。あとはこの子の生命力が、まだあるかの問題なのかもしれない。

 だけど希望は捨てたくないよね、そう思う。


「また明日もう少し元気なお顔を見せてね」


 そう声をかけて言霊に頼るのみだ。

 そばで見ていてあげたい。万が一の時に看取ってあげたいのは本当。でも小鳥さんは安心して眠れないだろうから…。箱の上にタオルを乗せて、少しでも寝やすい空間を作ってあげる。


 ★★★


「よし。私は仕事でもしますか!」


 そう言ってそばに置いていた、ペンタブに手を伸ばす。たまにカサリと箱の方から、物音がするのを確認しつつ作業を進めた。


 ★★★


 でもここ何日かの引っ越し作業での疲れが、尾を引いていたのか私は明け方に寝落ちたみたい。


「あの子は!?」と箱の中を見に行くと、眠そうな表情でこちらを見上げていた。


「昨日と同じで良ければ、ご飯食べる?」


 そう声をかけると、「ピヨピヨ」と嬉しそうに囀る小鳥さん。マジで可愛いなこの子。飼って育ててみたくなっちゃう。多分…、人馴れしてるから、飼われてた子だろうか。


 ずっと一緒にいられるなんて、思っちゃ駄目なのに……。期待してしまいそう。


「準備してくるから待ってて?」


 つるりとした頭を、傷に触れないように一撫ですると、嬉しそうに目を閉じてくれる小鳥さん。


 元気になったらきっとすぐに、お別れなんだろうな。こんなに馴れてるんだから、飼われてた子なら飼い主さん、すごく心配してるよね。少し淋しさを覚えつつ、またマドラーでご飯を与える。


 ★★★


 嘴を拭いていると、見慣れないものが小鳥さんの体のそばに落ちていた。レモンの種のようなサイズのもの。


 何かの種?なんでこんなものがここに?


 恩返しに小鳥さんがくれた、そんな気持ちになり、大切に育てるね。そういって裏庭に埋めてお水をあげてみた。


 あれ?なんだかこの種おかしくない!?


 なんという事か、お水をかけてあげた直後から、にょきにょきとあっという間に木になったのだ。


 なんだろう、疲れてて白昼夢でも見てるのかな~。夢オチだよね……?そんなことを考えながら、現実逃避する私だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ