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出逢い1★

 ★★★出逢い 樹里(じゅり)視点★★★




 2ヶ月前にお祖父ちゃんが亡くなった。


 両親は仕事の関係で海外生活が長い。

 その為か、このまま日本で暮らすなら、祖父の住んでいた家に暮らさないか?と父に言われたのだ。


 呆れるほど広いというわけではないが、一端のペンションのような作りだ。


 私も、お祖父ちゃんたちに会いに行く時には、旅行にでも来た気分になれた。すごくお洒落な建物のデザインは、早くに亡くなったお祖母ちゃんの趣味らしい。


 お祖父ちゃんの晩年は、この家を一人で管理出来ないからと、たまにヘルパーさんを頼んで、掃除に来てもらって管理をいたようだ。いつ遊びに行っても、綺麗に見えたものだった。


 そして今日、この家に越してきた私は(さかき) 樹里(じゅり) 21歳。普段は、依頼のあったイラストを仕上げたりして、生活をしているので、ネット環境があれば、田舎に住んでいても仕事には困らない。


 お祖父ちゃんの土地はかなり広くて、この建物のあるお山は、とりあえずお祖父ちゃんの土地らしい。

 他にもあるらしいけれど、私には広大な土地の管理なんて、出来るはずもないので、詳しくは聞いてない。


 お言葉に甘えて、おじいちゃんが晩年暮らしていた、この土地に私は暮らす事にしたわけだ。


 そんなわけで、引っ越しの片付けが一段落したある日。気分転換に建物の裏手にある、湖まで足を伸ばしてみた。


『私有地でなければ観光地になるよね!!』


 なんて思うけど、家の近くを不特定多数の人が、好き勝手に入れる環境は流石に怖いので、思うだけでそんな事は実行しない。


 そんな事を思いながら、小さな湖の周りを散策していたら、何かが視界に入ってきた。黒と赤い……、あれって生き物!?


 そう思い近づくと、小鳥が天敵に襲われたのか、血だらけで倒れていた。黒い頭に真っ白なほっぺ、背中を覆うようにグレーの羽……って文鳥っぽい!野生の子っているのかしら!?


「大丈夫……?」


 そう声をかけると、薄っすらと弱々しい目を向けてくる小鳥。


 スカートのポケットからハンカチを出し、痛いと思うけど我慢してね?と、顔以外をハンカチで包む。衝撃を加えないように、けれど速歩きで……と、気をつけながら歩みを進める。


 動物病院?と言う考えが、頭を一瞬よぎったけど、多分野生の小鳥は見てもらえない。そんな病院が多いと、知人から聞いていたので、見てもらうところを探し回るより、どうすれば元気になるのかを、ネットで調べる事にした。


 小さな箱にちぎったティッシュ等を置いて、簡易の寝場所を作る。


「可哀想だけど、傷口を手当するね。痛いと思うけど、頑張って?もう少しだからね」


 そう声をかけながら、消毒をしていく。お薬は患部を齧ったり身繕いの際に、口にすると良くなさそうなので、焼酎をコットンにつけてゆっくり消毒していく。


 その間、痛そうに身じろぎをしつつ、その小鳥は弱々しい視線を向けていたけど、咬んだりもせずに大人しく我慢していた。


「頑張ったね……。本当にいい子だね。頑張って元気になろうね……」


 そう声をかけ、ふと小鳥用のご飯がないなと、気がつく。何を食べさせてあげたらいいんだろう。ミミズでもとってくる?車でホームセンターにでも買いに行く?


 そう考えながら小鳥を見ると、目を瞑り背中の羽が弱々しく呼吸で上下してるので、眠っていることがわかる。


 心配だけど……、小鳥は体温が高いから、体温を維持する為に、丸一日ご飯を食べれないだけでも、命を落とすと聞いたことがある。なにか食べさせないと、なんだけど……。


 けれど大怪我に見えたし、一羽置いていくのも気が引ける……。


 とうもろこしとかお米を、重湯みたいに柔らかく潰したのなら食べれるかしら??加熱したものは病気の元と聞いてたから、今日だけは我慢してもらおう!


 そう決めてスマホを取り出し、通販で雛用のフォーミュラーと粟をポチる。ベビー用のフォーミュラーは、元気がない時のサプリ代わり!

 以前そう言っている友達がいたので、そのアイデアをお借りする。


 明日届くように手配したので、今日だけ小鳥が食べれそうなものを作ろう……。

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