こっそり森で
収穫祭が終わった翌朝、いつも通りブロックドロフ村に行くつもりで早起きした俺は、シュティローおじさんからしばらく自宅療養するよう言い渡された。宴会に途中から参加していたらしいシュティローおじさんは昨日、酔いつぶれて俺たちより遅くに帰ってきたのに今はしゃっきり仕事モードだ。
俺はまだ走れないからブロックドロフ村まで行くのも一苦労だろうし、ツァールトのところで勉強するより先に身体を治せと言われた。確かに頭にはまだ布を巻いてるから、ツァールトたちに気を遣わせてしまうかもしれない。
だけど家にいてなにもすることがないのは耐えられず、仕事の準備を再開しようとするシュティローおじさんの服を掴んだ。
「ねえ! じゃあ俺に身体強化する場所の切り替え方を教えて!」
俺はローセルとの戦いで得た反省点をシュティローおじさんに説明し、強化する部分の切り替えをスムーズにできるようになりたい旨を伝えた。
「オリバーがやりたいのは部分強化だな。イェンスからもオリバーがたくさん反省していたと聞いたぞ」
「うん。いっぱい反省した。今は時間をかければ全身から手と足だけ身体強化を解除できるんだけど、戦闘中にもぱっと強化する場所を変えられるように……その部分強化ってやつをしたいんだ。そうすれば属性鎧で覆う部分を切り替えるのも早くできるかもって……」
シュティローおじさんは俺の前でしゃがみ、真面目な顔で俺の肩をぽんと叩く。
「向上心があるのはいいことだが、傷を治せと今言っただろう? 部分強化の練習はまだだめだ。それにオリバーの属性鎧とやらを俺は見たことがないんだ。一応それも把握しておきたい。そしたら部分強化のやり方を教えてやる」
「……はい」
「オリバー、コパンは連れてくね。じゃないとわたし、帰ってこれないから」
……やっぱり家で1人かあ。
「うん、わかった。コパン、カーリンをしっかり守って帰ってくるんだぞ」
肩をがっくり落としうなだれたまま頷いた俺は、お尻をぷりぷり振りながらカーリンから朝ご飯をもらうコパンに声をかける。耳はこっちを向いているが目はご飯しか見ていなかった。
「でも自分で起きてきてくれてちょうどよかった。額の傷に癒やしをかけるから、椅子に座って」
俺は額の布を外しカーリンに額の傷を縫ってもらい、俺は自分で見える範囲の傷を縫っていく。丁寧に傷を縫ってくれたカーリンは元気よく玄関を出ていき、1人ゆっくりご飯を食べている最中にディータおばさんとエイミーも送り出した。
「やることがない……暇だ……」
ご飯を食べ終え食器を洗い終えると、もうやることはない。あまりに暇すぎて、俺はテーブルにうつ伏せながら家でもできる自主練を考え始めた。部分強化の練習はまだだめだと言われたが、その他のことはやるなとは言われていない。怪我をせずに練習すればいいのだ。
「筋トレはまだ痛むから今日はやめとこ。石けん作りは混ぜるのが大変かなあ。……あ、風属性の練習いいじゃん!」
石けん作りで属性鎧・水バージョンになることを思い出した俺は、我ながら良いことを思いついたと思った。
椅子から立ち上がり、身体に風を纏わせるイメージをすれば髪をそよそよと吹き散らす風が現れる。
「風って言っても空気なんだよな、これ。うまく使いこなせれば最強の盾になりそうなんだよなあ」
俺が勝手にダンゴムシと呼んでいるローセルの攻撃を空気の層が和らげたのを思い出しながら、風をさらに纏わせる。俺が動くと風につられて椅子やテーブル、扉がカタカタと揺れて音を立て始めた。少し風を増やせばさらに大きな音が鳴り始め、俺は慌てて属性鎧を解除する。
「家の中だと無理かあ。家具壊したら怒られるだろうし……」
家のボロい家具たちを思いやりながら俺は椅子に座り直す。手のひらに風を呼び出し、セルフ扇風機を顔に向けてみた。別に暑くもないけど風属性を出す練習にはもってこいだ。少しでも慣れておきたい。優しい風を浴びつつ、俺は風属性を攻撃にどう使うか考え始めた。
「うーん、これを攻撃に……風圧? 風圧で攻撃? あ! 風の刃とかどうよ!」
手裏剣みたいにしゅばば! と風の刃を出すのを妄想していると、どうしても試したくなってきてうずうずしてしまった俺の意識は、もう森に向かっていた。
「みんないないし……エイミーが帰ってくる前に帰ってくればいっか!」
そう決めたら森に行く準備を始める。靴下を脛までひっぱりながら、怪我を増やしたら絶対に怒られるから今日は長袖長ズボンだなと考えているとき、俺はある約束を思い出した。
「忘れてた! ファルクさんに靴下を貸す約束してたんだった! ……あとでイェンスさんに持って行かなきゃ」
……しばらくブロックドロフ村にも行かないし、靴もイェンスさんに貸してあげよう。
ファルクから液体石けんをもらったのに約束をすっぽかすところだった、とヒヤヒヤしながら準備を終えると、俺は家をコソコソと抜け出し、静かに広場を抜けて森へと足を運んだ。ディータおばさんもエイミーも浜にいるから大丈夫だと思うけど、なんとなく忍び足で村を移動してしまった。幸いにも他の子どもたちにも遭遇せず森に着き、人気のないところでさっそく風属性の練習を開始する。
「よし、やってみよう。手裏剣を出すみたいにこうやって、シュシュシュっと!」
俺は圧縮してぺしゃんこにした空気を思い浮かべながら、両手をこすり合わせて上になった右手を前に押し出す。歩いて20歩程度の木に、紙のように薄い風の刃をイメージして放つが、勢いが良かったのは最初だけだった。風は木に辿り着く前に霧散してしまったのだ。結果的に木から10歩程度の距離なら風の刃が届くことがわかったが、すこんと木に当たる軽い音が響けば正直使える気がしない。
「となると風圧攻撃かな?」
俺は地面を蹴り上げ砂埃を風に乗せて巻き上げる。
……うーん。目くらましには使えそうだけど、だからといって敵を吹き飛ばしたり立ち止まらせるような風圧じゃないかな……
その後、練習すれば強い技が出るかな? と何度も風の刃や風圧攻撃を出してみたが、あまり改善は見られなかった。だけど、何度も何度も繰り返し練習をしているうちに、風属性の扱いには慣れてきた気がする。
その後も練習を重ねていくと魔力もそれなりに使ったからか、お腹がとても減ってきた。俺は一旦自宅に戻って昼ご飯を食べ、再び森に向かうと今度はニクラスとライナーに出会った。籠を背負ってるからきっと採集中だろう。
「あれ? オリバーじゃん。森で会うなんて久々だな!」
「うん、久しぶりだな。俺、怪我がまだ治ってないからしばらくは家で休んでなきゃいけないんだ」
黄色と青色の頭をふさふさ揺らしながら駆け寄ってきたニクラスとライナーによっと手を振り、事情を説明すると2人とも俺の額を見ると、「まあ、そうだよな」という顔をした。
「今のオリバーにだったらデコピンだけで勝てそうだな」
ニクラスはいつかのお返しだ! とふざけながらデコピンの構えをし始めた。きっとコパンを取り返すときに怪我をさせたときのことを言ってるんだろう。もちろん本気でやるつもりはない顔に向かって、俺も笑いながら冗談を言い返す。
「ギルダおばさんとまた追いかけっ子するか?」
「ひぃ! やめてくれ! まだ昨日ぶん殴られたところ、痛むんだぞ!」
みんなでひとしきり笑うと、ライナーがおふざけの中にも少し心配を含ませた表情で俺に聞く。
「それより、家から出てきていいのかよ?」
「2人が黙っててくれたら大丈夫。家にいてもすることないんだよ!」
「そうだよな」と笑った2人は「黙っててやるよ」と笑顔で請け負ってくれた。
「ディータおばさんも怒ると怖いんだな。俺昨日、ギルダおばさんが2人いると思ったもん」
「ニクラスの言う通り、俺も怖いと思った! オリバーんちはエイミーもいるから、見張りをかいくぐんのが大変そうだな」
あたかも日々見張りをかいくぐっているかのようなライナーの発言に、ニクラスは首を激しく縦に振って「オリバーも苦労してるんだな」と同情を示した。
……俺は見張られてなんかないよ! 何やらかしたら見張られるんだよ!
収穫祭後の宴会のときに花火を打ち上げ、共に怒られた俺たちには妙な連帯感が生まれ、前よりも距離感が近くなった気がした。
「ま、俺たちは黙っててやるからさ、ボニートを釣ったらたたきをまた作ってくれよ。今度は藁焼きで食べてみたいんだ!」
「わかったよ。釣ったら持ってきて。多分しばらく家か森にいるから」
俺は2人が藁焼きを作ろうとしてギルダに怒られた話を思い出し、小さく笑いながら了承した。採集に行った2人を見送り、俺は風属性の練習を再開する。
ボニートのたたきの作り方を思い出しながら土埃を巻き上げていると、俺は唐突に何かを掴めそうな気がした。
……バーナー!! そうだよ! バーナーだ!!
ボニートの叩きを作ってからというもの、焼き魚やスルメを炙るときには欠かせない存在になっているバーナー。俺は手のひらから、すぼめるようにして細長い火を出していたことを思い出した。
「そうか! 火を一気に噴き出して威力を上げるのを応用すればいいんだ! 一点に集中!」
風属性を集中させる! そう思ったとき、俺の頭に真っ先に浮かんだのは、ニクラスのデコピンのポーズだった。
「ここに風属性を集めて弾けば……」
俺は風属性を中指の先に集める。圧縮して圧縮して、もうこれ以上ないってくらいになった瞬間、目の前の木に向かって指を弾いた。
今までの風属性を使った攻撃で1番枝葉が激しく揺れ、風圧の強さを感じさせる。指を弾いた後の風圧がすごくて思わず左腕で顔を覆ったほどだ。木に傷はついていなかったものの、この威力はなにかに活かせるポテンシャルを秘めていると確信させるものだった。
「すげえすげえ! 一点集中いいじゃんか! あとはこの威力をどう活かすか……あ!」
試しにそのへんに落ちている小石を手に載せ、風属性を集中させたデコピンで弾き飛ばす。する、勢いよく吹っ飛んで行き、小石は木にめり込んだ。弓矢を習っていたおかげで狙いをつけるのがうまくなっていることに我ながら感心した。
「おおー! これなら戦いに使えるかも!」
その後、自分の属性がこもった弾も撃てるのか試してみた。
この世界にある属性は光、闇、火、水、風、土。
俺の使える属性は火、水、風、土だ。光属性は神殿に行かなきゃわからないらしいから保留。闇属性は闇の霧を浴びた魔物が持つ属性だから、なし。
ひとまず片手に出したビー玉サイズの火の弾をデコピンで試しに弾いてみたが、これは木から10歩程度の距離じゃないと、デコピンしたときに形状を維持できなかった。水の弾も同じだ。自分から離れていくと火が形を維持できないという経験は何度かあるので、多分それだと思う。
……そういや、土属性ってどんなんだっけ?
いまだに使い道がわからない土属性。自分がなんの属性を持っているか判別するときに出して以来、使ったことがなかった属性だ。
だが弾にできれば、形を維持したまま小石と同じ働きをしてくれるんじゃないだろうか。
そう思いながら魔力を込めた手で土に触るともこもこと盛り上がり、俺はそのままビー玉サイズの泥団子を思い浮かべる。すると、徐々に丸い土の弾ができ始めた。
「できたできた! これを撃ってみよう!」
俺は10歩程度離れた先にある、練習相手の木を見据える。中指に風属性を集中させ、手のひらに載せた泥団子を打ち出せば、しっかり物体の形を維持したまま木にめり込むのが見えた。
……丸じゃなくて尖った形状にすればもっと攻撃力が上がりそう!
矢尻のように尖ったもので再度試してみると、木にぐさりと刺さった。これは弓矢より強いかもしれない。
「これなら、俺もボロボロにならずに戦えるかも……」
獣人のように頑丈な身体ではない俺には、近距離での戦いは合っていない。
アワフキ貝のときと言い、ローセルのときと言い、かなりの接近戦で敵を火で燃やすという戦い方しかできなかった俺には、距離をとって攻撃できることがとても魅力的だった。
……ドライヤーに似た原理で火炎放射も出せたけど、あれもなかなかの近距離だったなあ。ひとまず風属性と土属性を出す練習をすれば、これは使い勝手の良い武器になるぞ!!
「よし、練習だ!」
そう宣言した瞬間、俺のお腹からぐぅと音が鳴る。慣れない属性を使ったから、余計に魔力を消費したのかもしれない。それに結構時間が経っていたようだ。夕暮れ前の空模様になっていたことに、見上げて初めて気づく。こういうとき、鐘の音があると便利なのになと思う。
……エイミーが帰ってくるかもしれない。今日は一旦帰ってまた明日から練習しよう。イェンスさんに靴と靴下も届けないとだし。
それから数日。
みんなを送り出した後、俺は家を抜け出しては技の練習をしに森へ行く日々を送った。イェンスに靴下と靴を貸したから、久々に木靴を履いて生活をしている。
その間、二クラスたちが釣ってきたボニートを藁焼きでたたきにし、とても感謝された。ニクラスのおかげで技を作れたようなものだから、丹精込めたボニートのたたきを提供させてもらったのだ。
俺は思いついた技にデコピンエアガンと名付け、小石や作った土の弾を、手のひらに浮かせた状態で発射できるよう色々試行錯誤していた。手のひらに浮かせるのは、コロコロ転がって狙いにくかったからだ。
色んなポーズを試した結果、上品に日本茶を飲むときのように、左手は石を浮かせる役割を、右手は湯呑を持つ代わりにデコピンの形を取るスタイルが安定した。
デコピンエアガンは、並列で考えなきゃいけないことが多いからしばらくは結構もたついたし、今も集中しないと途中で弾がどこかへ飛んでいってしまう。それと、威力によって撃てる数の限度があることもわかった。
「ふぅ〜。この強さなら30発はいけるか。デコピンエアガン、効率よく使えるようになればもっと撃てる弾が増やせそうだけど……」
威力が弱いものから強いものまで試した結果わかったことは、威力が上がるに連れて風を溜める時間がどうしても長く必要だった。だが、長く溜めれば溜めるほど飛距離も伸びるしスピードも速い。
弾数はと言うと、威力が弱ければ数が撃て、高威力の弾を撃つと魔力をごっそり使うから数発しか撃てなかった。今撃ったのは比較的弱い弾だ。
ちなみに1番強い攻撃は、ピストルの弾丸のごとく速かった。指で弾いた瞬間弾は見えなくなり、いつの間にか木を貫通していた。ローセルも貫けそうな威力だった。風属性を指先に全集中させるのにとても時間がかかるのが玉にキズだけど。
あ、あと俺の土属性を使って固めた弾と、小石そのものに効果の違いはないように感じた。
ただ、土属性を使うと自分の好きなように形を作れるから、尖ったものを発射したときには威力が凶悪化するっぽい。
……ちょっと重たくなるけど前もって弾を作って、マントのポケットに入れておこう。そうすれば地面に魔力を流して弾を作る工程が減らせるな。
そんなことを考えながら休憩がてら軽くストレッチをし、身体にもう痛いところがないことを確認する。激しい動きをしても額がじんじんしなくなっていた。
俺はこの数日で自分の撃てる数の限界を知り、動かない木が相手ではあるがたくさん練習もしたのだ。
……これだけ動けるようになったんだから、もうそろそろブロックドロフ村に行けるよね?!
「もう、身体は痛くなくなったよ! 明日から俺もブロックドロフ村に行っても良い?!」
シュティローおじさんが早めに帰ってきた日に俺は嘆願した。勝手に抜け出して入るが、暇すぎるのだ。仕事道具を片付け終わったシュティローおじさんは俺の身体の傷を見ると、晩ご飯をテーブルに並べるカーリンに話を振る。
「カーリン、オリバーの言ってることは本当か? 癒やしはもう必要なさそうか?」
「うん、大丈夫だと思うよ。料理も作れてたし、水汲みも行けるようになってたから。けど額の傷はまだ時間がかかるかな?」
「走っても額は痛くなんないし、動くのには問題ないから! ね、いいでしょ?」
「額はまだ癒やしが必要か……日常動作ができるようになったならまあ、いいだろう」
なぜか俺の発言よりカーリンの発言の方を重要視しているように感じるが、まあ、いいだろうと俺も心の中で呟く。
「だけどオリバー、明日は休め。俺が明日休みだから部分強化のやり方を教える。オリバーの属性鎧も見てみたいしな」
「本当?! やったやった! 属性鎧の他にも俺、新しい技を開発したんだ! デコピンエアガンって言って……」
俺は風属性を出さずにデコピンのジェスチャーをして、ばしばし指を弾く。シュティローが笑顔を深めたのにも気づかずそのまま話していると、唐突に名前を呼ばれた。
「オリバー。いつ、そんな技を作っていたんだ? ん?」
「……あっ」
……俺のバカ! 今までバレずに家を抜け出せてたのに!!
シュティローおじさんは、笑顔のまま俺を黙って見つめ返事を待っている。どうしよう。目が笑ってなくてすんごく怖い。
「……えーと、あのー、森が俺を呼んでたっていうか……森に行くとお得満載だよって言われた気がし……いららら!!」
「あほか! どんな言い訳だ! 大人しくしてろって言ったろ!!」
話してる最中にシュティローおじさんに両頬を引っ張られ話を遮られてしまった。ぐりぐりと何度か引っ張られてからようやく開放され、俺が頬を押さえて見上げると、心配と叱責が両方見える表情のシュティローと目が合った。
「まったく……怪我が増えたらどうするんだ。またみんなが心配するだろ?」
「……ごめんなさい」
「ま、抜け出して動けるくらい元気ってことはよくわかった。明日、その新しく開発した技も見せてみろ。オリバーは発想が面白いから楽しみだ」
優しくぽんと頭を撫でられた俺は自分のうっかり具合に落ち込んでいると、シュティローおじさんが「そういえば」となにかを取り出す。
「オリバー、イェンスに貸してた靴と靴下、返ってきたぞ」
シュティローから手渡された靴は、なんとなく俺が数日前まで履いてたときより古ぼけて見え、靴下は黒いボサボサが出ていた。
イェンスとファルクの元で、俺の可愛い靴と靴下はどんな扱いをされていたんだろうか。ちょっと悲しい。
「……なんでこんなボロボロなの?」
「しばらくオリバーの魔力が通ってなかったからだろ?」
……どういうこと?
「自分の魔力が流れていない期間が続くと、どんどん髪の束に戻っていくんだ。靴下はもう髪の束に戻りかけみたいだな」
俺が首を傾げているとシュティローは説明してくれた。
「靴とか服とか、自分の髪の毛で作ったものは魔力を流すと小さい傷や綻びは体の傷と同じように修復していくんだ。オリバーの靴も、また履いてやれば元通りになるさ。靴下も魔力を込めてやれば大丈夫」
シュティローは今着ている仕事服を指差しそう言った。靴を作っているときにエイミーがそんなことを言ってたような気がするけど、記憶が曖昧だ。今さっき話してくれたシュティローの話によると獣人特製の衣類や靴は、肌と同じようにターンオーバーのようなものがあるらしい。
……かなり便利じゃん。
「じゃあ、マントの切れたところも直る?」
「あぁ、あのくらいの傷なら大丈夫だ。7日程度毎日着てたらふさがっていくよ。」
ローセルと戦ってついた青汁みたいな体液は洗って落ちたが、マントはあちこち破れてしまっていた。適当に布を縫い付ける前に聞けてよかった。
「じゃあ明日、オリバーは森で練習だ。カーリンはいつも通り、イェンスたちと一緒にブロックドロフ村へ行っていいからな」
「「わかった!」」
俺とカーリンは声を揃えて返事をし、晩ご飯の手伝いを再開した。
デコピンエアガンの構えがちょっとわかりにくいかもしれません。
・左手の手のひらを上向きにして、弾を浮かせます。
・その弾を中指で弾くために、右手はデコピンの構えをします。
丸めたティッシュをゴミ箱に弾き飛ばすのに、よくやってますよね?(伝われ)




