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獣人村で目覚めたら  作者: ニガヒジキ
第1章 獣人村のオリバー
30/62

街に行く前に

現在本編執筆中です。


今回はシュティローの視点からの話です。

これから本編に出てくる人物たちもちょっと出てきます。

 

 容赦ない日差しが陰り、辺りを月明かりのみが照らしている。ぬるい風が吹く中、俺はブロックドロフ村の宿屋に顔を出す。


「ツァールト、まだ仕事か?」


「お疲れ、シュティローさん。俺はまだ仕事だから今日は飲めねえや。さっきイェンスが居酒屋に入ってったぜ」


 金髪の癖毛を撫でながらツァールトは残念そうに微笑み、俺から見て左の方を手で指した。


「そうか。じゃあイェンスと飲むかな」


 撫でても直っていない癖毛をいじっているツァールトはこの宿屋の亭主で、俺の古くからの友人だ。宿屋の入り口から左に進むと、そこは併設された居酒屋につながっている。楽しそうな話し声が聞こえてくる居酒屋に足を踏み入れると、カウンター席でエールを飲むイェンスを見つけた。


「お疲れ、イェンス。俺も今日はここで食って帰るわ。親父さん、俺にもプレートとエール!」


「はいよぉ!」


 威勢のよい返事をした親父さんは息子のツァールトに宿屋を継がせ、今は居酒屋をやっている。この人も古い付き合いだ。


「お疲れ様です、シュティローさん。今日は家で食べないんですか? いつも自慢してくるくせにー」


 いたずらっぽく笑っているこのイェンスというトゥルフ族の青年は、元々冒険者だ。今俺が住むリープベル村にいるトゥルフ族の大半が俺と同じ一族だが、イェンスはよそから来たため、年上の者には敬語を使っている。色々あって今はリープベル村に住み、冒険者として働いている。


「今日は遅くなると言っておいたからいいんだ。それより、ヴェラートの様子はどうだった?」


「うーん、やっぱり機嫌が悪いですね。話しかけにくいし、今日一緒に同じ依頼を受けたみんなもやりにくそうにしてました。まぁ、話しかけにくいのはいつものことですけどね」


 イェンスは眉尻を下げ、苦笑いしながら俺を見た。

 今話に出てきたヴェラートも俺と同じく冒険者だが、トゥルフ族族長の座に俺が就いてから敵対心と嫌悪感をむき出しにし、俺の命令を聞かないことが多々あった。以前から扱いに困っていたのだが、数日前、ヴェラートの妻のニクヒルと、その同僚クレルが仕事をサボっていた事をディータが注意し、閑職に就けたことに対してヴェラートが突然俺に文句を言ってきた。


「ニクヒルはお前んのとこのクソガキにやられたって左手が腫れてんだぞ! しかも見習いと同じ仕事をさせやがってどういうつもりだ!」


 ニクヒルとクレルは以前から仕事をせず二人で喋ったり、子どもに絡んでわけのわからん噂を流したりと、問題行動が多かったらしい。そして二人は仕事をサボってオリバーに暴言を吐き、また暴力を奮っていたとケバルトから報告があったことが決定打になり、そのような沙汰になったとディータから聞いていた俺は、明らかに二人が悪いと思った。


「ニクヒルとクレルは仕事をサボっていたんだろう? なら悪いのはお前の奥さんじゃないか。それにニクヒルの怪我のことを言うのなら、オリバーを殴ったことを謝るのが先だろう」


 あの二人がしたオリバーへの仕打ちを考えると俺も苛立ちが抑えられなくなり、ヴェラートと言い争いから殴り合いに発展した。他の冒険者たちに止められ、流血騒ぎにはならずに済んだが、その日を境に、ヴェラートは朝の連絡事項もふてくされた態度で聞くようになり、村の他の冒険者とも連携を取らないようになったのだ。


「最近ヴェラートさんは一人でこなせるような依頼ばっかり受けてますし、今日の依頼も渋々って感じでしたもん。よっぽど人数が必要な依頼でもない限り、一人で受けてもらった方が良いと思いました。連携できないと怪我につながるし」


 今日実際にヴェラートと仕事をしたイェンスからの率直な意見を聞いてると、給仕が俺の前に香草焼きの肉のプレートとパン、それとエールをどんっと置く。


「はい、お待ちどうさまです!」


 男はそう言うと別の卓にもエールを持っていき、俺はこの店特製のソースを肉にかけた。


……この店は塩だけじゃなくてソースもあるからいいんだよな。ヴェラートのことなんて考えてないときに食いに来たかったぜ。


 フォークで刺してかぶりつくとソースと絡み合った肉を十分堪能し、エールで流し込む。


「他のみんなのためにも、ヴェラートには極力声をかけなくていい。次に何か問題行動を起こしたら村から追放する。冒険者の人数が減るのは苦しいが……仕方ない」


 今村にいる冒険者の数は見習いを含めて10人程度だ。冒険者は体力も気力も必要で大変な仕事だから、村の中ではあまり人気がない。他の村や街と繋がりを作るためのなくてはならない仕事のため、一人でも多くほしいところだが連携を取れない者は別だ。特にあの夫婦には、ずっと前から困らされているのだから。


「わかりました。俺からみんなに伝えておきますね……そう言えば、オリバーはどうなんですか? なんか街に行きたがってるんですよね?」


「オリバーはハイス山まで片道なら走れるようになった。今はコパンに乗る練習中だ」


 エイミーとハイス山までの走り込みを真面目に続けているオリバーは、見違えるほど明るくなり、体力も付いた。最近はカーリンと石けん作りを楽しそうにしているらしい。

 ハイス山まで一緒に走ったときに体力の無さを知り、軽い気持ちで街に行こうと誘ったことを申し訳なく思ったが、オリバーは俺との約束を胸に頑張って走り込みを続けている。

 それにハイス山で拾った狼の魔物であるコパンの魔力コントロールも地道に行い、俺よりも大きくなるくらいまでコパンを成長させていた。コツコツと努力を積み重ねられる子なのだろう。


「オリバー、明るくなったみたいで良かったですね。でも、そのコパンって魔物を家で飼うって聞いたときはびっくりしましたよ」


 イェンスがごくごくとエールを飲み終え、言った言葉に俺も同意した。


「俺もびっくりしたんだぞ。まあでも、オリバーが生き物の世話をすれば、気持ちも塞ぎにくくなるかもしれないと思ってな」


 基本的に従魔は外で飼うものだと言われている。怪我の手当をしているときは家の中でも仕方ないと思っていたが、さすがに怪我が治れば外に出すだろうと思っていた。だが、オリバーは当たり前のように自分の荷物籠をコパンに使わせ、それを寝床にすると言い出したのだ。


……助けてもなんにもならない動物か、従魔にできる魔物か理解せずハイス山でコパンを守っていたのだ。コツコツと努力を積み重ねられるだけでなく、きっと優しい子なんだろう、オリバーは。


 それからディータと話し合い、家の中では小さいままでいさせることを条件に飼っても良いということになった。コパンは毎晩小さくなり、オリバーの荷物籠で寝ている。


「俺がなんでオリバーの話をしたかって言うとですね、オリバーをいきなり街に連れて行くより、この村で人に慣れさせておいた方が良いと思ったんですよ。この村なら、獣人にも友好的ですし。俺がガキの頃、人間がいっぱいいるところに突然行って、結構怖かった印象があるんで」


「なるほど。確かにそうだな。オリバーは今まで人付き合いも避けてたみたいだし、人慣れさせてた方がいいか……」


「絶対その方がいいですよ。それに混血児ってことでヴェラートさんの奥さんに虐められてたじゃないですか。だから、獣人の耳がついたマントもあった方が良いと思いますよ。ブロックドロフ村からどう情報が漏れるかわかりませんから」


 イェンスが提案してくれたことは、どれも俺が思い至らなかったことだった。人慣れさせることも、混血児であることを隠すことも、全く思いつかなった。俺が気付かない細かいことに気付けるイェンスを、村に引き入れて本当に良かった。助言をもらえなければ、またオリバーが虐げられるところだった。


「そうと決まれば、早めにこの村の村長に話してみる。ありがとよ、イェンス」


 オリバーがハイス山まで行けるのであれば、ブロックドロフ村にも来れるだろう。ここの村の方がハイス山よりも距離が短い。すぐ往復するわけでもないし、オリバーでも行き来できると思う。街に行きたがっているオリバーは、近くの村でも喜ぶんじゃないだろうかと想像し、早めに村長と話そうと心に決める。


 俺はイェンスの分も合わせてマスターに銅貨2枚を払い、居酒屋を出る。


「ごちそうさまです、シュティローさん」


「おう、俺もいい情報をもらえたからな。その分ってことだ」



 家に帰るとさすがに寝静まっていた。誰も起こさないように仕事道具を片付け、着替えをしているとコパンが尻尾を振りながら俺をお出迎えしてくれた。この可愛らしいお出迎え姿を見ると、家の中で飼ってみて良かったなと思う。


「ただいま、コパン。お前も寝てていいぞ」


 頭を撫でてやると、俺の手をペロペロと舐める。多分手についたさっきの肉汁を舐めているんだろう。なかなか目敏いやつだ。

 寝室に入るとコパンを寝床に降ろして、俺は今日もため息を吐く。5人で寝れるようにしてある2つの大きなベッドの窓際の方が俺の寝る場所なのだが、夏の初め頃から必ずオリバーがそこで寝ているのだ。毎晩カーリンの隣にぐいっとずらす作業が発生している。今日も真ん中の方にオリバーを押し込み、俺も眠りについた。



 しばらく日が経ち仕事が一段落したところで、ブロックドロフ村での用事のついでに村長にオリバーの件を伝えることにした。


「そういうわけで、オリバーを街に連れて行く前に人慣れさせておきたいんです。この村に連れてきてもいいですか?」


「あぁ、かまわんよ。ヴィルバルトさんの子どもなんだろう? あの人には何回も魔物から助けてもらったからねえ。うちの村でよければいつでも連れておいで」


 朗らかに笑いながら受け入れてくれた村長にお礼を言い、俺はカーリンの様子を思い出す。


……オリバーのそばでいつも聞き耳を立ててたな。前も村の外の仕事を気にしてたし、もしかしたら村から出てみたいのかもしれない。それに2人の方が、何かあったとき村に助けを求めに行けるだろう。


「子どもが増えても大丈夫ですか? カルツェ族の子なんですが……」


「もちろん大丈夫だ。シュティローの子どもも連れてきていいぞ」


 何度も行った場所でないとすぐ道に迷ってしまうエイミーは、あまり村の外に出たがらない。

 ハイス山は小さい頃から何度も行っているから大丈夫だが、ブロックドロフ村に来たら多分迷子になり困惑するだろう。あまりいい顔はしないエイミーの顔を想像し、俺は曖昧に笑って返事をした。


「あ、それと今年もそろそろオリンバ園の護衛をお願いしてもいいかな? 魔物が出たと報告があったんだ」


 依頼の内容が書かれた木札を見せられ、報酬がいつも通りオリンバの実8袋であることを確認する。秋には少なくなるパルメの実の代わりになるオリンバの実は、村に絶対に必要なものだ。

 ことりと机に置いた村長に俺は二つ返事で頷く。


「もちろんです。明日にでも冒険者を配置させます。この依頼書は、俺が冒険者ギルドに持っていきます」


「あぁ、よろしく頼む」


 俺は村長の家を出ると、次は宿屋に入った。


「ツァールト、オリバーに文字や計算を教えてやってくれないか? 仕事の合間でいいから」


「ヴィルバルトさんの子、もうそんなに大きくなったのか? まだ見習い仕事をする年齢じゃないだろう?」


「今年で6歳になるんだ。文字を早く覚えたいって言っててしつこくてね」


「早い気がするけど……でもヴィルバルトさんの子なら助けになってやりたいからね。いいよ、文字も計算も教えてやる」


 ツァールトは小さい頃、ヴィルバルトさんに街までおぶってもらっていたのだ。そして、ツァールトが奥さんのミルテに出会えたのは、街に頻繁に行っていたおかげなので、結婚できたのは実質ヴィルバルトさんのおかげと言っても過言ではない。


 癖毛を撫でながら笑顔で了承したツァールトはまだ文字を覚える歳じゃないと心配しているが、オリバーは賢い子だ。ハイス山で武器がないなりにエーバーを倒そうと苦結晶を使っていた。それに少し前にアワフキ貝を属性鎧だとかいう火で炙って、友達を助けるために頑張ったと、いつもは落ち着いているエイミーが興奮気味に喋っていたのが記憶に残っている。


「オリバーは、お前が思っている以上に頭がいいぞ。きっと文字も計算もすぐ覚えられる」


 俺が自信満々に言い切ると、ツァールトは呆れたような目で俺を見た。


「なんでヴィルバルトさんの子なのに親バカなんですか……そういや、ヴィルバルトさんの子ってことは混血児ですよね? 人さらいに遭わないといいですけど……」


「あぁ、それなんだが獣人の耳付きマントを被らせようと思っている。獣人として見られた方が、親子として説明しやすいからな。それと文字と計算教えるの、もう一人増えるかもしれないんだが、大丈夫か?」


「いいですよ。1人も2人も変わらないですし。いつから来ますか?」


 マントはオリバーでも3日もあれば出来上がるだろうと予想し、俺は目を閉じ日にちの計算を初めた。


……いや待てよ。靴のように変な凝り性を発揮するかもしれないな。一応もう少し日を取っとくか。今日が水の日だから7日もあればいいだろう。


「俺の予定だと次の水の日に顔合わせだとありがたいんだが……」


「大丈夫です。と言っても、店の状況によっては夫婦揃って挨拶できないかもしれないですけど……それでもよければ」


 俺はツァールトの返答に了承する。その後街に依頼書を出しに行き、仕事を終わらせると家に帰った。今日はいつもより早く帰れたが、すでにオリバーとカーリンは寝てしまっていたようだ。村の件を伝えてやりたかったのに残念だ。


「父さん、お疲れ。ねえあたしの髪見て! ツヤツヤじゃない? すごくない?」


 家に入ると、興奮気味にエイミーに髪を見せられた。いつもよりふわふわな毛のコパンはなぜか息を切らして俺を出迎えた。


「どうしたんだ? そんなにツヤツヤで……しかも肌も綺麗じゃないか」


 くすんだ剣を磨いたかのようなツルツル具合のエイミーの肌を触ってみたくなり、手を伸ばすと「やめて!」と拒否された。


……エイミーに嫌われた?! なぜだ?!


「あ、ごめん。父さんの手がなんか汚くて、つい……」


「家に入ってすぐにエイミーが声をかけたからでしょ。シュティロー、今日は先に水浴びしてきて。エイミー、洗い方教えてあげて?」


「水浴びなのに洗い方?」とエイミーを嗜めた声の主の方へ視線を向けると、そこにはいつもよりさらに美しいディータが立っていた。

 長い髪にはツヤが出て、エイミーと同じくツヤツヤの肌に目が釘付けになってしまった。


「母さんに見惚れすぎよ、父さん。 ほら、水浴び行こ!」


「あ、あぁ……」


 俺はエイミーの小さな手で頭を洗われたあと、四角くて固い石鹸で体を洗う方法を教わる。

 頭からはオーランの実のような匂いがして、洗い上がりがさっぱりしていた。とても気持ちがいい。

 そして、体を洗うと汚れで茶色っぽい泡が浮いているのが見えた。確かにこんな汚れた身体で触ろうとしたら、誰だって嫌がるだろう。エイミーに水を背中にぶっかけられながら反省した。


「この石けん、もしかしてオリバーが作ったのか?」


「材料集めはあたしとか、シンゴウキチームも手伝ったけど、作ったのはオリバーとカーリンよ。オリバーが作り方を考えて、一生懸命混ぜたってカーリンが言ってた」


 シンゴウキチームとはなんだろうかと思ったが、チームとついているから冒険隊かなにかだろう。オリバーも友達と仲良くやってるようで良かった。

 しかし、よくあの液体の石けんを混ぜて固めたものだ。しかも動物臭さもない石けんの作り方を考えるとは、オリバーは本当に賢い。

 オリバーの頭の良さを見抜いた俺は機嫌よく身体を拭き室内着に着替え、居間に行くとディータが料理をテーブルに並べてくれていた。


「材料集めで思い出したんだけど、そういえば最近ハイス山で黒い魔石のついた魔物や顔つきの怖い魔物をよく見かけるの。闇属性の魔物だと思う。あと、オリバーが魔石の色の違いをわかっていないようだったから説明しといたよ」


「そうか。闇の霧が発生してるのかもしれないな……街に報告しておくよ。オリバーにも教えてくれてありがとな」


 いつ発生するかわからない闇の霧は、魔物を闇属性に変えてしまう。闇属性になると他の魔物の縄張りを荒らしたり、凶暴化したりするので、闇の霧をはらう必要があるのだ。光属性を持っている神官のみが闇の霧をはらえるため、ハイス山に来てもらえるように冒険者ギルドにお願いしなければならない。


「そうだ、エイミーもブロックドロフ村に来るか? 村長さんが来てもいいって言ってたぞ」


「……あたしはいいかな。見習い仕事を頑張る」


「そうか。わかった、行ってみたいときはいつでも言ってくれ」


 冴えない顔で頷いたカーリンは、やはり行かないようだ。


「あとはわたしがやっておくから、エイミーはもうそろそろ寝なさい。明日も仕事でしょ?」


「うん、わかった。おやすみ、父さん、母さん。コパンもこっちおいで」


 エイミーとコパンが寝室に入るのを見届け、ディータは俺のそばに座った。


「シュティロー、実は海の主がまだ……」


「もう仕事の話はたくさんだ。明日聞くから、今日はこのままご飯を食べさせてくれ」


 俺はディータの頬を撫でそのまま指で唇を抑える。


 面倒な人への対処や、冒険者ギルドへの報告と神官派遣の交渉、闇の霧への対処などやらなければいけない仕事が増え、今日はもう仕事の話はしたくない気分だった。


「……そうね。オリバーの受け入れはどうだったの?」


「上手くいったよ。次の水の日に、顔合わせの予定だ」


 唇に触れていた俺の指をディータは握って離さない。俺はご飯を手早く食べ、塩を入れなくても美味しくなったスープを飲み込む。


「さすがシュティローね。オリバーもきっと喜ぶわよ。最近頑張って走ってたもの」


「俺じゃなくてヴィルバルトさんの行いがオリバーに還ってるだけだ。俺は調整しかしてないからな……それより、今日はとても綺麗じゃないか。思わず見惚れたよ」


「カーリンが洗うのを手伝ってくれたのよ。とても楽しそうに石けん作りのことを話してくれたんだけど、色々難しいことをしているみたいでちゃんとはわからなかったわ。でも、すごく楽しかったみたい。ずっと尻尾を振って話してたわ。 ……ねえ、カーリンが村の外で働きたいって言ったらどうする?」


 俺も薄々勘づいていたが、カーリンが塩作り職人にも、冒険者にも、漁師にもあまり興味を示していないのはディータの目から見ても明らかだったようだ。


「……あの子が自力で見習い先を見つけられない限り、難しいだろうな」


 俺がスープを飲み干しそう言うと、ディータは暗い顔のまま、俺の手を握り込み柔らかい頬にそっと押し付ける。


「なにも無理と決まったわけじゃない。紹介はできないが、あの子がよその村に行く気があるなら見習い先が見つかるかもしれないじゃないか。俺たちは俺たちのやり方で、応援してあげよう」


 椅子をずらしてディータを抱き寄せ、額に口づけをすると持たれかかってきたディータからふわっとオーランの実の良い香りが鼻をくすぐる。


 ……もっと近くで綺麗になったディータを見たい。香りを嗅いでいたい。


「うん、そうね……ねえ、もう子どもたち寝たと思う?」


「俺もそれ、気になってた」


 俺は仕事のことは忘れ、ロウソクの火を消しディータを抱き寄せた。


 その翌日、オリバーにブロックドロフ村の話をすると、カーリンから一緒に行きたいという申し出があった。俺は先回りして話をつけておいてよかったと、心の中で安堵する。


……今年の秋は忙しそうだ。頑張ろうな。オリバー、カーリン。


エイミーがオリバーに教えた属性の色について。

本編の説明でも出します(多分)が、魔石の色は、属性によって変わります。


火属性:赤

水属性:青

風属性:緑

土属性:黄

光属性:白

闇属性:黒


コパンは火属性です。

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