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レイプ撲滅の日

作者: 裕介
掲載日:2021/04/09



男はいつものように、うずくまって力なく泣いている女を見下ろしながら

ジーンズのジッパーをあげた。

もう何人レイプしたのか、記憶は定かではない。


いつものようにごく自然に、

そして冷淡に、自分の欲情を満たすために犯す。

しかもその行為は男にとって、ほぼノーリスクとも言える行為だった。


犯された女はいつも

「絶対、許さない」とか「訴えてやる」なんて言葉で男を罵るか、

さもなくば泣きじゃくりながら恨めしそうな眼で睨んでくるか、

放心状態で空を見上げているだけだ。


実際、今まで訴えられたこともなければ、何らかの仕返しをされたこともない。

女はみんな、忌まわしい過去から逃げるように、男の前から姿を消していくのだ。


男は何も恐れるものがなかった。

女の弱さを知り抜いていた。

ジョディ・フォスター主演の「告発の行方」のようなことは日本では起こらない。

そう、確信していた。

レイプはどれだけ人類が進化しても、この世の中から無くなるわけがなく、

神が男に与えた特権であり、男女差別であると思っていた。



3ヶ月後、男は新たなターゲットを定め、計画を練っていた。

最近どうも気分がすぐれず、イライラすることも多いので、

気分転換のつもりだった。


ただ、少し熱っぽいので、早く済ませて帰ろうと思い、

いつもより早い時間に決行したのが全てを狂わせたのかもしれない。


人通りが少ない工事現場付近で女を待ち伏せし、

後ろから襲い掛かろうとしたら、

女はするりと右側に体をかわし、隠し持っていたベルを鳴らした。

けたたましい音が響き渡る。


男が慌てた瞬間、今度はバッグから取り出した痴漢撃退機で攻撃され、

電気ショックが走る。


「ヤバイ」と思って逃げようとした時、

後ろから駆けつけた人に棍棒のようなもので頭をガツンと殴られた。

男はもんどりうって倒れ、その場で気を失ってしまった。




「気がつきましたか?」

目を開けると、医者らしき人が男に話しかけてくる。


男は、なぜ自分がこんなところにいるのか一瞬理解できなかった。

が、時間が経つにつれて、コトの一部始終を思い出す。


「俺としたことが、えらいドジを踏んでしまったな。

さて、どうやってこの場を逃げ出すか」


思案していると、さっきの医者がニコっと微笑んで近寄ってきて、こう話しかけてきた。


「ダメですよ。無理をしちゃ。今が一番大切な時ですからね。

安静にしてください。でも良かったですね、お腹の赤ちゃんが無事で。

3ヶ月です。おめでとう」


「えっ?」

どういうことだ? この医者、何を言っているのだ?

混乱する男に、看護師がその日の朝刊を手渡した。


新聞の一面トップには、

『レイプ犯、ご懐妊! 男も妊娠する時代に突入!』

という見出しが踊っていた。



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