帰り道、返り血
遠くで働く友人がいる。
そして私がいる。
彼女と私は帰宅時間帯、この駅で交わる。
そして好きでもないのに同じ帰途につく。
彼女には友人と呼ぶのも躊躇うほどの嫌悪を抱いている。
彼女はいつだってニコニコしている。
そして今も二人の帰途でニコニコしている。
平日のこの時間は毎日腹が立って仕方がない。
私の家と彼女の家は近い。
それが彼女の横で一緒に歩くひとつの理由だった。
家の近くは人通りが少ない。
誰も見ている人はいない。
私はナイフを鞄から取り出す。
ナイフを握りしめて彼女に迫る。
交わされカラダのバランスを崩した私の手からはナイフが消え、お腹に痛みが走る。
いつも以上のニコニコで彼女はこっちをみる。
私の血は彼女へと勢いよく飛び散っていた。